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【NGK 鈴鹿2&4】予選トップ3インタビュー。3位の王者山本選手「新しいオーバーテイクシステムの使い方次第であり得る、自分が1位のホンダ1-2-3を」

デビュー戦ポールの牧野選手「オーバーテイクはない方がいい」

デビューレースでポールポジションを獲得した牧野任祐選手(65号車 TCS NAKAJIMA RACING SF19)

 全日本スーパーフォーミュラ選手権 開幕戦「2019 NGKスパークプラグ鈴鹿2&4レース」が4月20日~4月21日の2日間にわたり、鈴鹿サーキットで開催されている。4月20日の15時45分からは予選が行なわれ、このレースがデビュー戦となる牧野任祐選手(65号車 TCS NAKAJIMA RACING SF19)が鮮烈なポールポジションを獲得した。2位も同じくTCS NAKAJIMA RACINGのアレックス・パロウ選手(64号車 TCS NAKAJIMA RACING SF19)で、パロウ選手もデビューレースでフロントロウ獲得となった。3位には昨年のチャンピオン山本尚貴選手(1号車 DOCOMO DANDELION M5Y SF19)が入り、ホンダ勢が上位を独占する結果になった。

 予選終了後には予選トップ3による記者会見が行なわれ、デビュー戦ポールポジションを獲得した牧野選手に質問が集中したほか、明日の決勝でJRPがオーバーテイクが容易になるように作ったと説明した新車シャシーSF19で追い越しは可能なのかなどについて質問が行なわれた。その質問に対してポールの牧野選手は「F2に比べてSFはオーバーテイクが難しく、明日は追い越しがないことを願う」と言えば、3位に入った昨年のチャンピオン山本選手は「オーバーテイクシステムの使い方によってはオーバーテイクできる可能性がある。明日は自分が1位で今度こそホンダ1-2-3を実現したい」と言って、これがデビュー戦の上位2人と、昨年の2冠王の間で早速精神戦が開始されていた。

F3時代以来久々のポールになるので嬉しかった、チームのお陰と牧野選手

──それではトップ3それぞれに本日に振り返りを

牧野選手:みんなアレックス(パロウ選手)が速くて、そのままポールを獲るだろうと考えていたと思うので、それを裏切ることが出来たのが嬉しかった。Q1は非常にトリッキーなコンディションだったので、それを突破出来たことが鍵だった。

パロウ選手:わるくない一日だった。Q1は何度も赤旗が出る展開で、すごくトリッキーな状況だった。しかし、クルマの調子はよくて、Q1、Q2ともにいい仕事ができた。ただ、Q3に関してはちょっとミスをした結果牧野選手にやられてしまった。でもここに来ることが出来るとは思っていなかったので、ハッピーだ。大事なことはチームとして1-2を獲得したことであり、エンジニアも、メカニックも、そして牧野選手もいい仕事をしたので、今はおめでとうと言いたい。明日のレースでもこの調子で頑張りたい。

2位のアレックス・パロウ選手(64号車 TCS NAKAJIMA RACING SF19)

山本選手:得意、得意と言われている鈴鹿ということもあって、ポールポジションを狙っていた。だが、デビュー戦でポールポジションという偉業を成し遂げた牧野選手と、1-2を獲得したTCS NAKAJIMA RACINGにおめでとうを言いたい。今日は完敗だった。明日はうまくやり結果を残したい。ポールは逃してしまったが、ここに(会見場に)これたことは少なからず意味がある。荒れた予選できちんと生き残って3位に入れたので、明日の決勝は頑張りたい。明日こそホンダの1-2-3を、自分が1位で実現したい。

3位は山本尚貴選手(1号車 DOCOMO DANDELION M5Y SF19)

──牧野選手はQ2とQ3でコンマ7秒近くタイムをあげてきている。それはQ2を余力を持って走っていたのか、どこかで何かを見つけてきたのか?

牧野選手:余力を残す余裕はなかった。アレックスもスプーンでミスをしたあと言っていたが、実は僕もスプーンでミスをしていて、やっちゃったなと思っていたのだが、Q2からQ3でセットアップを少し変えていてそれがうまくいき、乗ってからのフィーリングも違っていいと感じた。Q2からQ3ではその変更が一番効いた。

──ポールポジションを獲ったと聞いたときの率直な感想は?

牧野選手:嬉しかった。ポールを獲るのはF3時代に雨の中でとって以来なので、叫び散らかしていたけど、何を言ったのかは覚えていない(笑)。

──おそらく国内のトップフォーミュラにおいて、デビュー戦でポールポジションというのは初めてではないか?その感想は?

牧野選手:本当にそうなら光栄なことだ。でもそれはチームが準備してきたおかげで、チームに感謝したい。

──シーズンオフのテストでもそう目だったタイムを出していないように見えていたが、そういう戦略だったのか?

牧野選手:戦略でも何でも無くて、自分で言うのもなんだが、ゆっくりとやっていく派なので、今週に入ってから攻めていた。テストの時とか、100で走るんじゃなくて80で走るようにしていた。もちろん手を抜いて走っていてもセットアップとか進めないので、レースウィークに入ってからギアを上げてきた。

明日のレースはオーバーテイクシステムの使い方次第で追い抜きは可能だと山本選手

──山本選手に。予選でのSF14と、今シーズンからのSF19の違いを説明してほしい。

山本選手:コンディションが毎回違うので、厳密に比較するのは難しい。特に今回はメインストレートが向かい風の中で、鈴鹿でコースレコードが出るときのセオリーである追い風ではなかったことも影響している。鈴鹿ではメインストレートが追い風で、セクター1で向かい風になることがダウンフォースも出て、速く走ることができる。ただ、隣の二人は既に36秒フラットが出ているので、(SF19は)ものすごくポテンシャルを秘めているとは言えると思う。いつの日かコースレコード(1分35秒9)を破ることができるのではないか。というのも、エンジンは変わらず車体とタイヤが変わっただけでこれだけのタイムが出ているのだから。

──今日のJRP会見でも、倉下社長がオーバーテイクしやすい車をというリクエストで作ったと言っていたが、明日レースに来るお客さんにオーバーテイクを見せることは可能か?

山本選手:そこを目指してもらった意図は感じている。ただ、このSF19は強力なダウンフォースを発生する車になっており、クリーンなエアがあたらないと本来の性能を発揮できないということは感じている。その意味ではそんなに多くなるとは思えないが、オーバーテイクシステムが変わって、100秒間使うことが可能になった。そのシステムを頭を使いながら使えば、これまでとは違う展開はあり得るのではないかと感じている。その結果は明日レースをやってみればわかるので、お客様にはそこを楽しんで頂ければと思っている。

パロウ選手:去年参戦していないのでわからないけど、そうした意図がうまく働いて沢山のオーバーテイクがあればいいなぁとは思っている。また、フロントタイヤがワイドになったこともいい影響を与えると考えている。

牧野選手:山本選手とアレックスが言ってくれたとおりだ。自分が去年レースをしていたF2はオーバーテイクが多かった。その理由はDRSがついていることで、かつストレートが速くコーナリングが遅いという車の作り方も影響していると思う。その違いで正直スーパーフォーミュラの方が追い抜きが難しいかなと感じている。というか、明日は僕が一番前からスタートなので、追い抜きがないことを期待したい(笑)。

──パロウ選手はちょっとしたミスをとおっしゃっていたが、具体的に何があったのか?

パロウ選手:誰もがそうだったと思うが、他の選手がめちゃくちゃ速く来るのではないかと思っていて、急いでいったらヘアピンのブレーキングでミスして、スプーンでもミスしてしまった。

──TCS NAKAJIMA RACINGの二人はフロントローからのスタートだがどちらも初めてのスーパーフォーミュラでのスタートになる。スタートの自信は?

牧野選手:スタートは意識していたので、テストの時から試している。スタート練習でもいろいろやっており、今のところうまくできていると思おう。レースになってどうなるかは解らないが、感触的にはまずまずだった。

パロウ選手:自信はあるが、練習の時は牧野選手の方がうまくやれていた。自分としては明日は普通にスタートできればいいと考えていて、あとは自分達の作戦をきっちり遂行するだけだ。