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2019年の「デイトナ24時間レース」優勝の小林可夢偉選手。2020年も参戦して2連勝を目指す
コニカミノルタ主催の優勝記念イベントが有楽町で行なわれる
2019年7月19日 21:38
- 2019年7月19日 開催
コニカミノルタは7月19日、有楽町マリオン(東京都千代田区)の特設会場で1月に米国で行なわれた耐久レース「デイトナ24時間レース」で勝利を飾った小林可夢偉選手の優勝を記念するイベントを開催した。
可夢偉選手はコニカミノルタの米国子会社であるコニカミノルタビジネスソリューションズUSAがスポンサードした10号車 Konica Minolta Cadillac DPi-V.Rに搭乗してデイトナ24時間レースに参戦。日本人として1992年の長谷見昌弘/星野一義/鈴木利男組(23号車 日産 R91CP)以来となる優勝を飾っている。
このイベント内で、10号車を走らせるWTR(ウェイン・テイラー・レーシング)のチームオーナーであるウェイン・テイラー氏は「2020年もコニカミノルタのスポンサードを受け、10号車には可夢偉選手に乗ってもらう」と述べ、可夢偉選手のドライバー起用継続を明らかにした。可夢偉選手は日本人として初の2連勝を2020年のデイトナ24時間レースで目指すことになる。
デイトナ24時間レースで1992年の日産チーム以来となる日本人優勝
デイトナ24時間レースは「IMSA(International Motor Sports Association)」が主催する米国の耐久レースシリーズ「IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ」の開幕戦として開催されている24時間レースだ。フランスで6月に行なわれる「ル・マン24時間レース」、そしてベルギーで7月に行なわれる「スパ24時間レース」、そして1月に米国で行なわれるこのデイトナ24時間レースは「世界三大24時間レース」とされており、規模、人気、そして歴史と伝統という面でもル・マン24時間に次ぐ格式と伝統を誇っているのがデイトナ24時間レースになる。
過去には日本メーカーも挑戦した歴史があり、有名なところでは1992年にNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)が23号車 日産 R91CPをひっさげて挑戦し、長谷見昌弘氏、星野一義氏、鈴木利男氏という当時の日本を代表する3人のドライバーが日本人として初優勝したのはよく知られているところだ。
そして1月26日~27日(現地時間)に行なわれたデイトナ24時間レースでは、可夢偉選手がフェルナンド・アロンソ選手、ジョーダン・テイラー選手、レンガー・ヴァン・デル・ガルデ選手とともに、WTRの10号車 Konica Minolta Cadillac DPi-V.Rに搭乗して見事初参戦で初優勝を遂げた。
2019年のデイトナ24時間レースは雨に翻弄されるレースで、最後は赤旗中断のまま終わってしまったのだが、その時点でトップを走っていたのが10号車。天候も味方につける見事なレース展開で、WTRとしては2017年以来の優勝となった。そして可夢偉選手は日本人ドライバーとして、1992年以来、4人目のウィナーとなったのだ。
可夢偉選手は「必ず勝つ」と有言実行を果たしたとコニカミノルタ社長
コニカミノルタが行なったのは、そうした可夢偉選手の優勝を記念するイベント。コニカミノルタビジネスソリューションズUSAが10号車をスポンサードしていた縁で今回のイベントは開催されており、米国からレーシングカーを空輸して展示するなど力の入ったイベントとなった。
イベントはレースアナウンサーのサッシャ氏が司会進行を担当。まず冒頭に、コニカミノルタ 代表執行役社長 兼 CEO 山名昌衛氏によるスピーチが行なわれた。
山名氏は「米国支社がメインスポンサーになってデイトナ24時間レースに参戦している車両に、日本人として可夢偉選手が参加して優勝を果たすという結果を残してくれた。レースに先立って弊社を訪れていただいた時に『必ず勝ってくる』と高らかに宣言されていたが、有言実行してくれた。世界と戦って勝った可夢偉選手と喜びを分かち合いたい」と述べ、可夢偉選手の優勝を祝った。
このスピーチに続いて可夢偉選手が入場すると、山名氏が可夢偉選手に祝福の花束と、プラネタリウム「コニカミノルタプラネタリア TOKYO」の1年間フリーパスを進呈。その後、サッシャ氏と可夢偉選手によるトークショーが行なわれた。
サッシャ氏:デイトナ24時間レース、ル・マン24時間レース、スパ24時間レースという三大レースに全部参加したことがある日本人ドライバーは可夢偉選手だけだ。実際に出てみた感想は?
可夢偉選手:僕も本当のことを言うと、デイトナで勝つと時計がもらえる(筆者注:デイトナ24時間レースのタイトルスポンサーは時計メーカーのロレックス)と聞いたので、よし出ようとなった(笑)。アメリカのモータースポーツ文化は、日本はもちろん欧州とも違う。アメリカでレースをしていていいなと思うことは、エンターテインメントのレースであるということ。エンタメのためならレースを延長するぐらいで、お客さまを喜ばせるためにいろいろ考えている。実際にレースがスタートするギリギリまでお客さんが近くで見ていたりする。こんなレースがあるんだとびっくりする半面、これがレースじゃないかと感じた。アメリカの耐久レースというのが長い歴史の1つなのだと実感できた。
サッシャ氏:フェルナンド・アロンソ選手と組んでの参戦になったが。
可夢偉選手:勝てるときというのはチャンスが巡ってくるとき。どうやったら勝てるかと考えてきた。フェルナンドが前の年に乗った経験などを共有しながら、チームもいい仕事をしてくれた。本来なら出ていきなり勝てるようなレースではない。そういう体制を整えてくれたたくさんの人に感謝したい。
サッシャ氏:オーバルコースを走ってみてどうだったか。
可夢偉選手:オーバルは初体験だった。映像で見ていると大したことはないように見えるが、実際には立ってられないぐらい角度がついている。バンクで抜くときにどうやったら安全に抜けるかなどをチームが教えてくれた。そうしたことからも、耐久レースはチームワークが大事だと感じた。デイトナ24時間レースはこんなに多くのチームが走っているのに優勝できたのはチームのおかげだ。
サッシャ氏:今年のデイトナは雨のレースだった。
可夢偉選手:すごい雨の量だったので、できるだけ走って、経験のある人が常に回すという作戦で走った。そうしておけばどこかでレースが中止になっても勝てるんじゃないかと。実際、今年のレースは23時間56分で終わったのだが、そういう状況にも対応できたのがよかった。ただ、優勝が決まったあと、パレードやセレモニーはすごかった。映画で見るようなセットになっていて、そこで中央に立てた。ただ、ありがたいけど、ずぶ濡れの状況なのにちょっと長いんじゃないのと感じるぐらい(笑)。だが、それでビッグレースに勝ったんだということを実感できた。
サッシャ氏:この車両はどうか?
可夢偉選手:僕の中ではすごくかっこいいクルマという印象。カラーリングもすごくいい。最初はチームも全然知らなかったけど、カラーリングを含めて印象深いクルマだったので、すぐに「あぁあのクルマか」と分かった。チームオーナーのウェイン・テイラー氏もデイトナを勝っているレーサーで、常に勝つためには何が必要かを考えている。このWTRはとてもコンパクトなチームだが、その分決断が早くて昔からあるレーシングチームという印象。そのチームが巨大チームのペンスキーとかと戦って勝っているのはすごいことだ。
2020年のデイトナ24時間レースにもコニカミノルタがスポンサーを務め可夢偉選手が参戦
その後、WTRのチームオーナーであるウェイン・テイラー氏が登壇してスピーチを実施。続けてマシンの除幕式が行なわれた。テイラー氏は「コニカミノルタをはじめとしたパートナーに感謝したい。1年の最初に行なわれるレースで優勝できたのは本当に素晴らしいことだ。そして可夢偉のような優秀なドライバーにドライブしてもらえて最高だし、彼は世界最速のレーサーだと私は考えている」と可夢偉選手を称えた。
可夢偉選手とテイラー氏による除幕式が行なわれた後、テイラー氏は「2020年もコニカミノルタのスポンサーシップは継続して、デイトナ24時間レースに参戦する。そしてそのドライバーとして可夢偉選手に乗ってもらう」と述べた。なお、2020年のデイトナ24時間レースは2020年1月25日~26日(現地時間)に開催される。
最後に可夢偉選手が「来年も簡単に勝てるとは思っていないが、2年連続の優勝を狙いたい。しっかり準備してテストからクルマを作って、24時間レースはいろいろ想定しないといけない。1月のデイトナはよく雨が降るので、調子がよくないと勝てないレース。経験があるドライバーがいろいろなコンディションに合わせて走ることが大事になる。ライバルチームも強化してくると思うので、しっかり自分自身を強化していきたい」と述べてイベントは終了した。