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陸上自衛隊、新装備19式装輪155mmりゅう弾砲も公開した「令和元年度富士総合火力演習」レポート

電子戦に対応した車両も登場する後段演習

2019年8月25日10時から配信

一般には初お披露目となる19式装輪155mmりゅう弾砲

 陸上自衛隊は8月22日、東富士演習場(静岡県御殿場市)畑岡地区において、「令和元年度富士総合火力演習」を公開した。この日の演習は学校予行と呼ばれるもので、8月24日に教育演習が行なわれた後、8月25日に本番となる公開演習が実施される。チケットの申し込みはすでに終了しているが、当日10時より「FRESH LIVE」においてインターネットライブ配信が実施される。

 富士総合火力演習は「そうかえん」の略称でおなじみの、陸上自衛隊における国内最大規模となる実弾演習。昭和36年から始まり、昭和41年からは陸上自衛隊の広報活動の一環および日ごろの訓練の成果を披露すべく一般にも公開されている。見学には事前申し込みによるチケットが必要となるが、今年も応募総数約14万通、当選確率約27倍となかなかのプラチナチケットとなった。

令和元年度富士総合火力演習の学校予行がスタート。射撃を行なう10式戦車

 令和元年度の総火演には富士教導団をはじめとした人員約2400名、戦車・装甲車約80両、各種火砲約60門、航空機約20機が参加するなど、例年と変わらない規模で実施。プログラムも例年通りの2部構成となっており、はじめに陸上自衛隊の主要装備品を紹介する前段演習、休憩をはさんで「島嶼(しょ)部に対する統合作戦」をシミュレートした後段演習となる。開始前や休憩時、終了後には音楽隊による演奏が披露されたほか、演習後には参加した車両を間近で見学できる装備品展示も行なわれた。

そうかえんの舞台は東富士演習場 畑岡地区。この日は早朝はまずまずだったものの、時折ポツポツと小雨が舞う天候になってしまった
大型ビジョンは車載タイプから仮設タイプに変更となった

主要装備品を紹介する前段演習

99式自走155mmりゅう弾砲

 10時から約50分間にわたって行なわれた前段演習では、陸上自衛隊の主要装備品を紹介。りゅう弾砲、迫撃砲といった迫砲火力からはじまり、人や戦車などの地上目標、ヘリコプターなどの対空目標に対応する装備が登場し、実弾射撃を行なう。来場者の注目が高いのはやはり90式、10式の各戦車と16式機動戦闘車(16MCV)。そのほか、この日は実施されなかったが空挺部隊による自由降下も予定されている。

99式自走155mmりゅう弾砲
155mmりゅう弾砲FH70は自走が可能
異なる火器による時間差を考慮しつつ炸裂した火炎を使って富士山を描く
19式装輪155mmりゅう弾砲
高機動車を搭載したCH-47JA
車両に牽引された迫撃砲
73式小型トラックは81mm迫撃砲 L16をカーゴに積載
120mm迫撃砲 RTは高機動車が牽引
発射シーン
96式装輪装甲車
軽装甲機動車
対戦車ヘリコプターAH-1S
87式自走高射機関砲
16式機動戦闘車
16式機動戦闘車
10式戦車
90式戦車

後段演習ではシナリオに基づいて展開

後段演習
後段演習のシナリオを場内アナウンスに加えて大型ビジョンで解説

 15分の休憩を挟み、11時5分から実施される後段演習は、具体的なシナリオに基づいた対応をシミュレーションしていく形で進行していく。例年、島嶼(しょ)部に対する攻撃への対応がテーマとなっているが、今年は宇宙、サイバー、電磁波といった新領域での戦いまでも念頭に置いたものとなった。一連の流れは、島嶼部に配置した部隊による敵部隊の阻止、増援部隊による敵部隊の撃破1、増援部隊による敵部隊の撃破2と、陸上自衛隊だけでなく海上自衛隊および航空自衛隊の各部隊が連携して作戦を遂行していく様子を見ることができる。

電子戦に対応した車両も登場。こちらは電子戦装置4型
電子戦装置2型
12式地対艦誘導弾
03式中距離地対空誘導弾
中距離多目的誘導弾
16式機動戦闘車
96式装輪装甲車
水陸両用車
観測ヘリコプターOH-6Dを従えて飛ぶAH-1S
OH-6D
AH-1S
上陸部隊を乗せて飛ぶUH-60JA。ブラックホークの愛称で映画などでもお馴染みの機体
輸送ヘリコプターCH-47Jからはラペリングで降下
煙幕を張る水陸両用車
偵察用オートバイ
多目的誘導弾、92式地雷原処理車が増援部隊をサポート
対空、戦車火力で突撃、殲滅を行ない演習が終了