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国内自動車メーカーに6月以降の生産状況や新型コロナ対策を聞いた【ホンダ編】

おおむね通常生産を継続、大きな生産台数減には繋がっていない

撮影のためマスクは未着用

 新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が、5月25日に解除されて約1か月。新型コロナウイルスの長期化を前提にした新しい生活様式“Withコロナ”という考え方も定着しつつある。

 この“Withコロナ”時代において、移動中に第三者との接触が避けられるという意味で改めてクルマへの注目が集まっているという見方がある一方で、世界的には新車需要の低迷を受けて生産調整を行なっているとも聞く。そのあたりを含め、自動車メーカーの生産体制はコロナ禍前と後でどう変わったのか? 4月には中国における単月の生産数が過去最高を記録しているが、6月以降の生産状況や新型コロナウイルス対策などの取り組みについて、本田技研工業 広報部に聞いてみた。


――国内各工場について、緊急事態宣言が出された4月や5月と比べ、6月以降はどのくらいの生産量まで戻せそうでしょうか? または戻す予定を組んでいますでしょうか?

ホンダ広報部:新型コロナウイルスに端を発したサプライチェーン影響により、部品調達が一時的に困難となり、4月度を中心に一部完成車ラインの稼働を休止したが、5月以降はおおむね通常生産を維持できており、大きな生産台数減には繋がっていない。

 依然、見通しは不透明であり、適宜生産の調整は行なっていくが、足下のお客さま来場や受注状況は回復傾向にある。

 今後に関しては、部品供給状況および、国内需要動向を慎重に見極めながら生産対応を検討していく。

――納期にもっとも影響が出ているモデルは何でしょうか? またその期間はどのくらい遅れていますでしょうか?

ホンダ広報部:一部部品の調達が困難となり「N-WGN」が最大で2か月程の納期遅れが発生し、お客さまにご迷惑をお掛けした。現在は、部品調達目途も立ち、お客さま納期影響を最小化すべく生産対応を行なっている。

――緊急事態宣言は解除されましたが、コロナ禍において各工場で取り組んでいる感染防止対策(出社の手順、従業員の出社人数、拠点での移動方法、休憩や食事の方法、訪問者や請負業者との接触方法など)は、どういったものがありますでしょうか?

ホンダ広報部:生産ラインについては、従業員の安全確保と感染拡大リスク防止の観点で生産活動を継続している。

・マスク着用で作業
・一部工程エリアには、ビニールシート等のパーテーション設置
・アルコール消毒/手洗い/うがいの奨励
・咳エチケットの徹底
・各執務エリアにおける定期的な消毒
・食堂は対面や隣接での着席を避け交互に着席、もしくはテーブルに仕切りを設置

――海外の拠点は現在どのような状況になっているのでしょうか?

ホンダ広報部:・6月19日時点で、四輪/二輪ともにグローバルの約9割の拠点で稼働および再開をしている。

・四輪完成車工場25拠点中、日本・アメリカ・中国などの地域含め、約9割の拠点で稼働及び再開済み。稼働停止はインドネシア四輪工場/ブラジル四輪工場のみ。

・二輪完成車工場は、23拠点中、日本・中国含むアジアなどの地域含め、約9割の拠点で稼働及び再開済み。稼働停止はペルー二輪工場のみ。

――搬送車両(仕立て車両)の提供やフェイスシールドの生産など、医療従事者への支援といった動きがありますが、これから始めようとしている新たな取り組みなどはありますでしょうか?

ホンダ広報部:今後の国内における新たな取り組みに関しては、搬送車両の提供やフェイスシールドの生産に加え、ホンダのノウハウを活用した、人工呼吸器の“量産支援”を行なう予定。

これまでの取り組み

「感染者を搬送するための車両(仕立て車)」を提供
自治体への軽症者の移動を支援するための車両を提供。オデッセイやステップワゴンなどに、搬送時の感染リスクを削減するため、運転席と後部座席の間に仕切りを設置。さらに前後席間の圧力差を利用して、飛沫感染を抑制する構造に仕立てています。埼玉製作所(狭山工場)を皮切りに、国内事業所で生産。各地の販売会社でも車両の仕立てを行ない、地元の自治体に車両を提供。
感染者を搬送する車両(仕立て内容)
車内(運転席と後部座席の仕切り)
素材の切り出しから加工。すべてハンドワークとなる
治具を作成して、1枚ずつ丁寧に塗装していく
ロゴステッカーは切り抜きタイプ
セット時の隙間を無くす合わせ込み。差圧計測とチェック、洗車と内装掃除もして出荷
フェイスシールドを生産
医療現場のニーズが高いフェイスシールドの生産を、ものづくりセンター栃木で5月11日より開始し、自治体を通じて、順次、医療現場へ無償提供。
バイザーの材質はポリプロピレン、シールドはポリエチレンテレフタレート
会社の健康管理センターの産業医の方たちのアドバイスを仕様に反映
金型の形状調整。よい製品を作るには匠の技が必要となる
できあがった金型を成形機に搭載。1回の成形で4個のバイザーが作られる
安心して使えるように、成形されたバイザーを1つひとつ丁寧に面取り作業
医療機関への感謝と応援メッセージを添えて、ホンダロジスティクスが自治体に運搬

ホンダグループとして、湖北省赤十字へ総額1000万元を寄付

本田技研工業株式会社本田技研工業(中国)投資有限公司
500万元500万元

世界での取り組み

中国
 湖北省赤十字へ500万元、武漢市チャリティー協会へ100万元、武漢市経済技術開発区(漢南区)へ300万元を寄付。  また、武漢市の医療機関へ車載用イオン式空気清浄機3500台(約180万元相当)、広州第一人民病院へマスク4000枚、広州赤十字病院へマスク1000枚、中部戦区総病院、武漢協和病院(西病院)、東風出行などへマスク5400枚、医療従事者用防護服600セット、ラテックス手袋1000足、武漢協和病院と武漢同済病院へ電動バイク46台を寄贈。
タイ
 医療機関へ感染者用の「陰圧可動型ベッド」100台、医療従事者用防護服1万着、フェイスシールド1000個を製作し寄贈。また、医療機関近在の地域へマスク10万枚を配布。医療機関へ救急車10台、救急バイク10台を貸与(総額4000万バーツ相当)。
インド
 インドではホンダグループ企業の製造工場があるハリヤーナ州、ウッタルプラデーシュ州、カルナータカ州、グジャラート州、ラジャスターン州の中央政府および州政府の救済基金へ5500万ルピーを寄付。さらに、ホンダグループ5社すべての従業員が自主的に給与1日分を寄付。複数政府機関へ公共エリア消毒用の動力噴霧機2000台を寄贈した(総額11億ルピー相当)。また、地方行政へホンダ各工場に配備されている救急車数台を貸与や、貧困層や恵まれない人々への食糧支援を実施。
ベトナム
 ベトナム祖国戦線中央委員会へ100億ドン、ハナム省ベトナム祖国戦線へ10億ドンを寄付。ビンフック省ベトナム祖国戦線へ手洗い消毒液200個、体温計422個を寄贈。他にも10の州へマスクやハンドウォッシュ19万6000個を寄贈。10の州の労働者32万人以上へマスクを配布。
フィリピン
 フィリピンでは、医療機関へ車両15台貸与。
パキスタン
 アトラス財団へ6500万パキスタン・ルピーを寄付。
アメリカ・カナダ・メキシコ
 米国、カナダ、メキシコのフードバンクや食事プログラム、医療関係団体へ150万ドルを寄付。食事プログラムに対する従業員マッチングギフトを実施(個人毎最大1000ドルのマッチング)。また、医療機関へマスク等個人用保護具 20万件以上、へフェイスシールドを製作・寄贈。  さらに、地方自治体(ミシガン州デトロイト市)へ感染者の搬送車両(仕立て車)を貸与、人工呼吸器用コンプレッサーの生産支援(月産1万個を目標)、従業員有志による“virtual volunteers”として、在宅で対応可能な支援を実施。  ホンダセンター(南カリフォルニア州のHondaが協賛するエンターテインメント施設)を、セカンドハーベストフードバンクによる食料配布の配送センターとして提供、合わせて食品等も提供。新型コロナウイルスへの対応で最前線で働く人々へ感謝の意を表し、ソーシャルメディアキャンペーン(#ThankaHealthCareHero)を実施。
ブラジル・ペルー
 ブラジルサンパウロ州スマレ市へ動力噴霧機4台、マスク2000枚、ブラジルアマゾナス州へモーターポンプ10台、ペルーリマ市へ動力噴霧機30台を寄贈。  その他にも、人工呼吸器の修理支援、ブラジルアマゾナス州政府およびアマゾナス州立大学と人工呼吸器開発に関する技術協力、ペルー保健省へ車両を貸与。
イギリス・ドイツ
 医療機関へフェイスシールドを製作し寄贈。また、医療機関等へ個人用保護具や消毒液5万個、現地NGO団体へ日本で手作りされたマスクを寄贈した。他にも政府運営の医療機関NHS(National Health Service)で活動するボランティアへPCX20台を提供。従業員によるNHSのボランティアサポート。
世界共通のスローガン「TEAM honda」