ニュース
アプリリア、そのままレースに参戦できるレベルの「トゥオーノ V4 X」
レーシングチームが作りあげる本格派レース仕様のハイパーネイキッドバイク
2020年9月8日 13:38
- 2020年8月31日（現地時間） 発表
- 3万4900ユーロ
伊アプリリアは8月31日（現地時間）、ハイパーネイキッド「トゥオーノ（Tuono）V4」の特別バージョンとなる「トゥオーノ V4 X（テン）」を発表した。特設サイトからの予約制販売で、価格は3万4900ユーロ。ただし、日本の正規代理店であるピアッジオグループジャパンでは現在のところ取り扱う予定はない。
トゥオーノ V4 Xは、54回の世界タイトル、その内の7つのタイトルをスーパーバイク世界選手権において、ナローV4エンジンで勝ち取っているアプリリアレーシングが直接開発および組み立てを行ない、シリアル番号入りで限定生産されるマシン。
アプリリアレーシングが丹念に開発したモーターサイクル技術開発用のピアッジオグループプラットフォームによって、もっとも要求の厳しいユーザーにも最高のライディング体験とスリルを提供するアップハンドルレースバイクで、レーストラックを最高に楽しむために開発された、最高出力221PSで車重166kgと、パワフルで軽量なハイパーネイキッドとなる。
現役ライダーも納得する高性能
開発中にイモラサーキットで1ラップ1分50秒というタイムを叩きき出したアプリリアのライダーであるロレンツォ・サヴァドーリ選手は「これは私がライディングした中でもっとも楽しいバイクだね。快適性と性能を両立させている点がユニークです。信じられないほどすぐれたエンジンは、エキスパートでもビギナーでも簡単にコントロールできるし、空気力学に配慮したデザインによってハイパーネイキッドとは思えない安定感があるよね。トゥオーノ V4 Xは、再び新しい基準を打ち立てたと思いますよ」とコメント。
また、オーストリアのレッドブルリンクでテスト走行を行なったアプリリアレーシングチームMotoGPライダーであるアレイシ・エスパルガロ選手は「トゥオーノ V4 Xはこの世の物とは思えないね。私はハイハンドルバイクのテスト走行をサーキットで行なったことはなかったけれど、この安定感には驚いたね。エンジンは信じられないほど性能が高いし、シャシーの剛性も素晴らしく、ライディングポジションと電子制御のおかげでとても楽しくライディングできたよ。クリーンなライディングが可能でありながら、ドリフトも可能だし、これは凶暴な一面を持った純粋なスポーツバイクだね！」と熱狂している。
ノアレ（イタリア）にあるアプリリアのレース部門がトップカテゴリーで得た経験がトゥオーノ V4 Xの開発に生かされ、このタイプのバイクで初めてとなる、MotoGPでアプリリア「RS-GP」に取り付けられたカーボン製のフロントウイングを採用。これによりハイスピード時はもちろん、減速中および加速中の安定性も向上したという。
この特別なトゥオーノをレーストラック専用のハイハンドルバーレーシングバイクとして開発するという目標は、MotoGPプロトタイプの仕様に近い乾燥重量166kgを軽量化技術によって達成された。すべてのフェアリングはカーボン製で、2006年の伝説的なフランスの耐久レースに参加したアプリリア「RSV 1000 Rファクトリー」にインスピレーションを受けた専用の“ボルドール”グラフィックがあしらわれる。
また、燃料タンクはオリジナルと同じ形状だが、より軽量化が施されている。さらに、クラッチレバー、ブレーキレバーガード、エンジンクランクケースガード、調整可能なフットレスト、そして燃料キャップなど多数のビレットアルミニウム部品によって軽量化を実現。
レース用スリックタイヤを採用する鍛造マグネシウム製のマルケジーニホイールによって、フェアリングで覆われたスーパースポーツバイクでも実現できないハンドリングという付加価値を提供してくれる。
エンジンはRSV4 1100ファクトリーで成功を収めたユニットがベース。アクラポビッチエキゾーストシステムはチタン製マニホールドとカーボン製アウトレットを採用し、エアフィルターは市場で最高の通気性（および耐水性）を提供し、MotoGPでアプリリアレーシングが使用しているものと同じユニットであるスプリントフィルターを使用。
電子制御デバイスの細かなセッティングはECUによって制御され、ロジック、機能の面で刷新され、アプリリアレーシングが開発したエンジン制御および車体力学マップが採用される。
エンジンマップはすべて「フルパワー」であり、レース用エキゾーストシステム向けに最適化済み。エンジンブレーキ、トラクションコントロール、そしてアンチウィリーレベルはサーキットを念頭に置いて設計され、電子制御シフター（ダウンシフトを含む）そして内蔵GPSセンサーを用いるラップタイム表示機能をプログラミングされた液晶カラーTFTディスプレイを標準搭載する。
ノアレ製V4エンジンの最大出力はファクトリーユニットの217PSから221PSまで向上し、250ccクラスにおいて143回グランプリで18回ものタイトルを獲得したチームが開発するフレーム、そしてオーリンズ製のSmart EC 2.0セミアクティブサスペンションシステムによって性能をフルに引き出すことが可能となっている。
ブレンボブレーキシステムも、T-Drive技術によって2枚のスチールディスクをグリップし、ビレットアルミニウム製の19x16ラジアルマスターシリンダーによって制御しつつ、GP4-MSビレットアルミニウムキャリパーを採用し、本格的なレースでの使用も可能となっている。
初回ロットは完売。現在追加オーダーを受付中
3万4900ユーロで販売されるアプリリア トゥオーノ V4 Xは、既にトゥオーノ V4 X特設サイトからオンラインでの予約を開始し、数時間で最初の1ロットである10台が完売したため、新たに追加オーダーの受付を開始。ページ内の【BOOK NOW】と書かれた赤いボタンから予約ページへ進める。
購入者はアプリリアレーシングから直接商品を受け取れるのと同時にノアレにあるレース部門を特別に見学し、バイクのグラフィックにインスピレーションを得た専用の「KYT NX レースヘルメット」が入手可能となる。
トゥオーノ V4 Xは、アプリリアレーシングが立ち上げたファクトリーワークスプログラムの一環で、レースの世界で開発された技術をファクトリーチームが参加する選手権への参加を目指す人々や、レース用に最適化されたRSV4もしくはトゥオーノV4を望む人々に提供するとしている。