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BASFとトヨタ、新型「シエナ」の3列シートの30%軽量化に成功
新型シエナに3列フリースタンディングシートバック採用
2020年9月9日 18:10
- 2020年8月6日(現地時間) 発表
BASFとトヨタ自動車の北米研究開発部門Toyota Motor North America Research & Development(以下、TMNA R&D)は、米国で2020年後半発売予定の新型「シエナ」の軽量化に成功したことを明らかにした。
新型シエナでは、初の3列フリースタンディングシートバックを採用。従来モデルでは3列シートに15点もの鋼製部品が使用されており、非常に重いものであったが、BASFのソリューションにより、従来モデルと比較して30%の軽量化と15%の製造コスト削減を実現させたとしている。
今回、BASFとTMNA R&Dが協働することにより、新型シエナの3列シートにおいて、すべての性能基準を満たし、かつ、軽量で価格競争力のあるものにするための軽量化を実現させた。
従来、シートの樹脂部品には金属補強を施すため、より多くのコストがかかっていて、TMNA R&Dでは複雑でコストのかかる後処理を必要としない、一体成形の射出成形部品を求めていた。
そこでBASFは、BASF独自の35%ガラス繊維強化材で高い衝撃性を有するポリアミドPA6グレード、Ultramid(ウルトラミッド)B3ZG7 CRを採用するとともに、CAE(コンピューター支援エンジニアリング)ツールである「ULTRASIM(ウルトラシム)」を活用して、さまざまな開発フェーズでの正確なCAEシミュレーションを可能にさせた。
TMNA R&DのToyota Technical Strategic Planning Officeのトッド・マック氏は「軽量化によって、必ずしも価格が高くなるわけではありません。製造コストに関する目標を達成し、前世代と比較して15%の削減を実現できました。シートの質量は、旧モデルに比べて30%軽くなっています。こうした目標を達成するための素晴らしいパートナーシップのひとつが、BASFでした」とコメント。
BASFパフォーマンスマテリアルズのアプリケーション開発エンジニアリング兼コンポジットテクノロジー担当マネージャーのマット・パーキンソン氏は「この3列シートは、射出成形されたシートバックとしては初めて一体成形として設計され、実現した技術です。高い伸長性と耐衝撃性を確保することが課題のひとつでした。同時に、座面がラゲッジスペースとしても機能するため、強度と剛性も重視しました」とコメントしている。
なお、3列シートの質量を低減させて車両軽量化を実現したことにより、市販自動車の軽量化の功績およびテクノロジーを対象とした「Altair Enlighten Awards」を受賞している。