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ホンダF1 田辺豊治TD、「温度的なところも含めて非常に難しい週末でした」「PU側も車体側も準備をして次のレースに向かう」

ポルトガルGPで5位に入ったアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー選手(10号車) (C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 10月25日、F1第12戦ポルトガルGPの決勝レースがアルガルベ・サーキットで開催された。結果は、ポールポジションからスタートしたメルセデスのルイス・ハミルトン選手(44号車)が優勝、2位も同じくメルセデスのバルテリ・ボッタス選手(77号車)でメルセデスが1-2を達成。ハミルトン選手は、ミハエル・シューマッハー氏のF1勝利記録91勝を抜き、F1 92勝の新記録を達成した。

 ホンダ勢の最高位は、3位表彰台を獲得したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手(33号車)。また、アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー選手(10号車)は5位に入るなど活躍を見せた。

メルセデスのハミルトン選手が優勝しF1新記録となる通算92勝目、F1第12戦ポルトガルGP決勝

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1285129.html

 決勝レース終了後、ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏のオンライン会見が行なわれた。

田辺豊治 ホンダF1 TD

 本日ポルトガルGPが終了しました。今週の走り始めから、ドライバーからですね、「タイヤのグリップがない」ということ。新しい舗装ということで、その内走行を重ねるにしたがってラバーが乗ってグリップが向上するかなっていうところも最初あったのですけど、どうもそうじゃないみたいだねっていうところで、タイヤのグリップを上げる、要はタイヤのマネジメントですね、特に温度的なところも含めて非常に難しい週末でした。
 その辺をうまく、車体のセットアップなり、ドライビングなりを詰め切れたチームのドライバーは、今日は強かったのかなと思っています。

 昨日の予選もソフトタイヤ、ミディアムタイヤと(異なるタイヤ戦略の)チームがあり。今日もレースでは、ミディアム(タイヤ)スタートのグループとソフト(タイヤ)スタートのグループ、ハード(タイヤ)がそこに絡まってきて、いろいろなタイヤを各チームが履いていました。

 今週末の結果でいうと、素人の私(本人発言ママ)が外から見た感じでは、ミディアムタイヤがベストだったのかなと。それぞれ使い方の中で工夫をしてやったと思いますけど、その辺の影響は大きいです。

 そんな予選、決勝を終えてですが、ガスリー選手が非常に今週末好調でした。ちょっとトラブルでクルマを大修理するような状況になりましたけど、それを跳ね返してくれた。

 チームのメカニック、我々のメカニック、エンジニアともども非常に遅くまで作業にあたってクルマを仕立て、きっちりやったことを、よい結果で応えてくれたなと思ってます。

 マックス選手は3位ということで、やはりメルセデスの2台、ちょっと今回も崩すことができずと。

 2人のドライバー(マックス・フェルスタッペン選手とピエール・ガスリー選手)に関して言うと、レッドブル、アルファタウリそれぞれが持っているものを最大限に性能を引き出して結果を得られた。

 アルボン選手は、ちょっと大きく(遅れ)スターティングポジションから最終的なレース結果を落として、クビアト選手もレース序盤にちょっと大きく落としたらもうそれから上がれなかった。両ドライバーともにタイヤのマネジメントというか、タイヤのグリップ力がなかったという話です。

 同じチームでそれぞれのドライバーでちょっと状況がかなり違いましたけれど、この辺りは非常に残念だと思います。4台完走、4年入賞となりませんでしたけども、うまくレースを運べた2台に関しては非常によい結果だったなと思います。

 うまく運べなかった2台に関しては、2人のドライバーに関しては、これから今回何がわるかったのか、この辺りをじっくり見極めて。チームとしてもドライバーも含めて。

 (次戦の)イモラもですね、結構涼しいという予報が出ていますし、また若干雨模様みたいな話も出てますので、その辺に備えて同じ状況が来たときに、同じところに陥らないように。うまく戦えるようPU(パワーユニット)側も車体側も準備をして次のレースに向かいたいと思います。


 田辺TDも言及しているように、ポルトガルGPではトラブルを克服し、決勝レースでは5位を獲得したアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー選手の走りの素晴らしさが際立っていた。この点について、とくにホンダ ハイブリッドPUで適切なエネルギーマネジメントを見出したのか確認してみたが、それについては「基本的に各ドライバーの乗り方に最適化を図るというところでやっています。なので、いつもサポートしています。特に、だからというのは、チーム別にというのはまったくありません」とのこと。ホンダとしては、各選手の乗り方を分析し、ハイブリッドPUで適切なエネルギーを出すことでサポートしているといい、それを使いこなすガスリー選手自身の進化が結果に表われていることになる。

 2周連続開催となる次戦のエミリア・ロマーニャGPはイタリアのイモラで開催される。このイモラも、アイフェルGPで使われたニュルブルクリンク同様、ハイブリッドPUを用いるようになったF1にとって初めて開催されるサーキット。

 この初めて開催されるサーキットについては、ハイブリッドPUをどのように使っていくか、シミュレーションがとくに大事になる。それについては、「今年おしなべてやってきた傾向を、さらに初めてのところにシミュレーションだけで臨んだときの傾向というのを見て微妙に修正を加えながら事前シミュレーション、例えばイモラに関して進めるという形になります」「カレンダーが発行されているので、各サーキットに対してのシミュレーションのタイミングは、レース前、何日っていうのは全部決まってまして、それに対して今回学んだことを入れていく作業があります。短い1週間なんですけどもそこは大丈夫です」と、事前準備について語ってくれた。

 F1第12戦ポルトガルGPの決勝結果を見て分かるように、現時点で差は詰めたとはいえ、メルセデスPUに対しホンダPUに負けている部分が存在するのは誰もが認める部分だろう。それを逆転するには、マックス・フェルスタッペン選手やピエール・ガスリー選手のような才能あふれるドライバーのドライビング、チーム戦略などに加え、ホンダ ハイブリッドPUをどう使うのかというエネルギーマネジメントが大切になる。今シーズン、ホンダ ハイブリッドPUは、70周年記念GPやアルファタウリの地元となるイタリアGPといった特別なGPで勝利を獲得してきているだけに、やはりアルファタウリの地元となるイモラ開催のエミリア・ロマーニャGPに期待したい。

 エミリア・ロマーニャGPは今週末、10月30日~11月1日に開催される。

F1第12戦ポルトガルGP 決勝結果
順位号車ドライバー車両周回数タイムポイント
144ルイス・ハミルトンメルセデス661時間29分56秒8280
277バルテリ・ボッタスメルセデス66+25.592秒0
333マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ66+34.508秒0
416シャルル・ルクレールフェラーリ66+65.312秒0
510ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ65+1周0
655カルロス・サインツマクラーレン・ルノー65+1周0
711セルジオ・ペレスレーシングポイント・BWT・メルセデス65+1周0
831エステバン・オコンルノー65+1周0
93ダニエル・リカルドルノー65+1周0
105セバスチャン・ベッテルフェラーリ65+1周0
117キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ65+1周0
1223アレクサンダー・アルボンレッドブル・レーシング・ホンダ65+1周0
134ランド・ノリスマクラーレン・ルノー65+1周0
1463ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス65+1周0
1599アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ65+1周0
1620ケビン・マグネッセンハース・フェラーリ65+1周0
178ロマン・グロージャンハース・フェラーリ65+1周0
186ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス64+2周0
1926ダニール・クビアトアルファタウリ・ホンダ64+2周0
NC18ランス・ストロールレーシングポイント・BWT・メルセデス51DNF0
(C)Getty Images / Red Bull Content Pool