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ホンダF1 田辺豊治TD、「最終的にレースで歯車がかみ合わないまま終わってしまった」

中東3連戦に向けては「準備を進めていきたい」

トルコGPで6位となったマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ) (C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 11月15日、F1第14戦トルコGPの決勝レースがイスタンブール・パークで開催された。決勝結果は、メルセデスのルイス・ハミルトン選手(44号車)が優勝して年間チャンピオンを獲得。一方、ホンダハイブリッドPU(パワーユニット)を搭載するレッドブル・レーシング・ホンダ、アルファタウリ・ホンダの4台は、マックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)の6位が最高、ポイント獲得もレッドブル・ホンダの2台のみと残念な結果に終わった。

F1第14戦トルコGP、メルセデスのルイス・ハミルトン選手が年間チャンピオン獲得 7度目のタイトル獲得を勝利で決める

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1289206.html

 決勝レース後行なわれたオンライン会見において、ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏は、「非常に滑りやすい路面でいろいろなことがあった週末」と表現。決勝レースもレース直前に雨が降り、ウェットと路面という状況の中で思うようなレース展開にできず「最終的にレースで歯車がかみ合わないまま終わってしまった」と語った。

 田辺TDは、その中でも「我々の弱点をきっちり見直して、来年に向けてきちんと備えていく」とし、ウェット路面においてレッドブル・ホンダの2台がスタートで出遅れた部分を対策していくという。レッドブル・ホンダの2台は予選で、マックス・フェルスタッペン選手が2位、アレクサンダー・アルボン選手が4位と好位置を得たが、決勝では2台もスタートでトラクションを得られず出遅れ。そのため、難しいレース展開となり、速さはあったものの前走車を抜く際にスピンするなどスタートの出遅れを取り戻すことができなかった。

 シャシーやサスペンションの特性なのか、ホンダハイブリッドPUのパワー特性によるものか分からない部分だが、明らかな弱点となっていたので同じ失敗はないということだろう。

次戦は11月27日~29日のバーレーンGP。そして、そこから中東3連戦

 2020年のF1はコロナ禍によるスケジュールの変更やサーキットの変更、連戦の設定など変則的な開催となっていた。とくに、イモラやニュルブルクリンク、アルガルヴェなど、ハイブリッドPUを用いるようになったF1にとって初めて行なわれるサーキットが多く、そこでは事前のシミュレーションがとくに大切になっていた。そうした初めてサーキットシリーズは、このイスタンブール・パークで一段落となるのだが、田辺TDはその分をどう評価していたのだろう?

 とくにイスタンブール・パークにおいては、路面のμ(ミュー、摩擦係数)がここまで低くなることが読み切れておらず、事前に想定したラップタイムと全開率が異なっていたという。これらの係数は、ハイブリッドユニットにどれだけエネルギーを蓄え、どれだけ解放していくかということにかかわっており、速いラップタイムを作っていく上で重要な要素となる。

 そこについては。「実走データの方からシミュレーションとの乖離を検証して、突っ込んでいくとか、かなり早いペースで検証をやらなきゃいけなかったんですけどその辺はうまくいったと思ってます」と、これまでの知見が役に立ったという。雨が降るという天候的に予測しづらい状況でもしっかり調整でき、実際FP1からフェルスタッペン選手はトップタイムを叩き出しており、最終予選となるQ3の直前までトップタイムはいつもフェルスタッペン選手だった。

 初めてのサーキットシリーズは、このトルコGPで終了。次戦は第15戦(11月27日~29日)、第16戦(12月4日~6日)のバーレーンでの2連戦、そしてさらに日程的には連戦となるアブダビでの最終戦(12月11日~13日)と、中東における3連戦が2週間後に始まる。

 ドライバーチャンピオン、コンストラクターズチャンピオンは決まったが、メルセデスのバルテリ・ボッタス選手とフェルスタッペン選手における年間ランキング2位争いのポイント差は小さく、フェルスタッペン選手がランキング2位を得るためにもホンダのハイブリッドPUは大切な要素となる。

 ハイブリッドPUでのデータが存在する中東3連戦に向けてのアドバンテージポイントを田辺TDに聞いてみたが、「ないです」とのこと。とはいえ、「次回のレースに向けて準備を進めていきたい」とのことなので、今シーズンを締めくくる3連戦の戦いに注目したい。

レース途中ルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)の前を走るアレクサンダー・アルボン選手(23号車 レッドブル・レーシング・ホンダ) (C)Getty Images / Red Bull Content Pool
F1第14戦トルコGP 決勝結果
順位号車ドライバー車両周回数タイムポイント
144ルイス・ハミルトンメルセデス581時間42分19秒31325
211セルジオ・ペレスレーシングポイント・BWT・メルセデス58+31.633秒18
35セバスチャン・ベッテルフェラーリ58+31.960秒15
416シャルル・ルクレールフェラーリ58+33.858秒12
555カルロス・サインツマクラーレン・ルノー58+34.363秒10
633マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ58+44.873秒8
723アレクサンダー・アルボンレッドブル・レーシング・ホンダ58+46.484秒6
84ランド・ノリスマクラーレン・ルノー58+61.259秒5
918ランス・ストロールレーシングポイント・BWT・メルセデス58+72.353秒2
103ダニエル・リカルドルノー58+95.460秒1
1131エステバン・オコンルノー57+1周0
1226ダニール・クビアトアルファタウリ・ホンダ57+1周0
1310ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ57+1周0
1477バルテリ・ボッタスメルセデス57+1周0
157キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ57+1周0
1663ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス57+1周0
1720ケビン・マグネッセンハース・フェラーリ55DNF0
NC8ロマン・グロージャンハース・フェラーリ49DNF0
NC6ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス39DNF0
NC99アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ11DNF0
F1第14戦トルコGP終了後 ドライバーズランキング
順位ドライバー車両ポイント
1ルイス・ハミルトンGBRメルセデス307
2バルテリ・ボッタスFINメルセデス197
3マックス・フェルスタッペンNEDレッドブル・レーシング・ホンダ170
4セルジオ・ペレスMEXレーシングポイント・BWT・メルセデス100
5シャルル・ルクレールMONフェラーリ97
6ダニエル・リカルドAUSルノー96
7カルロス・サインツESPマクラーレン・ルノー75
8ランド・ノリスGBRマクラーレン・ルノー74
9アレクサンダー・アルボンTHAレッドブル・レーシング・ホンダ70
10ピエール・ガスリーFRAアルファタウリ・ホンダ63
11ランス・ストロールCANレーシングポイント・BWT・メルセデス59
12エステバン・オコンFRAルノー40
13セバスチャン・ベッテルGERフェラーリ33
14ダニール・クビアトRUSアルファタウリ・ホンダ26
15ニコ・ヒュルケンベルグGERレーシングポイント・BWT・メルセデス10
16キミ・ライコネンFINアルファロメオ・レーシング・フェラーリ4
17アントニオ・ジョビナッツィITAアルファロメオ・レーシング・フェラーリ4
18ロマン・グロージャンFRAハース・フェラーリ2
19ケビン・マグネッセンDENハース・フェラーリ1
20ニコラス・ラティフィCANウイリアムズ・メルセデス0
21ジョージ・ラッセルGBRウイリアムズ・メルセデス0
F1第14戦トルコGP終了後 コンストラクターズランキング
順位チームポイント
1メルセデス504
2レッドブル・レーシング・ホンダ240
3レーシングポイント・BWT・メルセデス154
4マクラーレン・ルノー149
5ルノー136
6フェラーリ130
7アルファタウリ・ホンダ89
8アルファロメオ・レーシング・フェラーリ8
9ハース・フェラーリ3
10ウイリアムズ・メルセデス0