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SUPER GT最終戦富士、決勝でホンダ NSX-GT勢の巻き返しはあるのか? チーフエンジニア 佐伯昌浩氏に聞く
2020年11月29日 10:09
- 2020年11月29日 決勝開催
SUPER GT最終戦富士の決勝レースが11月29日13時にスタートする。前日の28日には公式練習と予選が行なわれ、決勝レースのスターティンググリッドが決定した。予選ではトヨタのGRスープラ勢がトップ4を独占し、それに続いたのがホンダ勢。予選2回目(Q2)には2台が進出し、5位に64号車 Modulo NSX-GT(伊沢拓也/大津弘樹組、DL)、7位に100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐組、BS)が入り決勝レースを迎えることになる。
ただ、ランキング2位(予選前までは1位だったが、同点ながら優勝回数で2位だった37号車のGRスープラがポールを取って1ポイント加えたことで1位に浮上)の17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット組、BS)は12位、ランキング5位の8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺組、BS)が11位と、ランキング上位の3台のうち2台がQ1落ちを喫するなどしており、ホンダにとっては悲喜こもごもという予選となった。
SUPER GT最終戦富士の予選をGRスープラが席巻
2020 AUTOBACS SUPER GT Round8 たかのこのホテル FUJI GT300km RACE Qualifying - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=qg_CksO1n1s
ホンダ NSX-GT開発をリードする本田技術研究所 HRD Sakura LPL チーフエンジニア 佐伯昌浩氏の予選後オンライン会見をお届けする。
ロングランペースには自信があるので、決勝レースでは路面とタイヤのマッチングが鍵になる
──それでは佐伯氏から今回の予選を振り返ってほしい。
佐伯氏:予選を振り返ると、今回までの富士の3回のレースでは1台はフロントローには入っていたことを考えると悔しい結果。今回は4回目の富士でのレースで、前回のツインリンクもてぎまでは暖かいレースが続いていたので、シーズンとしては初めて低い路面温度での予選になった。路面温度が下がっているのに対して、持ち込んだタイヤ、セットアップに関しては、予選の一発に対しては当たらなかった。明日(決勝)はそうしたタイヤがどのように機能するかが重要で、タイヤが機能すればしっかりといいレースができると考えている。
──今のお話しだと、選んで来たタイヤの差がGRスープラ勢との差になったと考えているのか?
佐伯氏:最高速、各セクターでちょっとずつ負けている。チームやドライバーに聞いても、そんなに大きく外した訳ではないがグリップが薄かったというフィードバックをもらっていて、そのあたりかなと考えている。
──決勝はさらに気温が低くなるという予報が出ているがその影響は?
佐伯氏:GT500ではタイヤメーカーが4つある(ホンダはブリヂストンが3台、ダンロップが1台、横浜ゴムが1台)ので、それぞれどういったタイヤを選んでいるかに依存するのでなんとも言えない。我々が選んでいるタイヤが上手くはまってくれれば、ということを明日のレースには期待している。
──ホンダの中で一番多くポイントを取っている17号車は12位とやや沈んだポジションになってしまったが?
佐伯氏:今年のレースではレースの後半になってから動きが出てきたり、レースの前半スティントの最後の部分で、タイヤによって順位が左右されることも多く、明日のレースでもそれを期待している。今年のレースでは色々起きるので、ミスのないレースをしていれば何かあるのではないかと思っている。
──これまでのNSX-GTは予選では前を取るけど、決勝では……というレースは多かった。その意味で今回の予選結果は決勝に向けててこ入れをしてきた、その方向性の結果だったのか?
佐伯氏:塵も積もれば山となる方式で、車体でできること、エンジンでできることを出し切るようにしてきた。特に今回のレースで人は最後のレースになるので、すべてを出し切るような形で。そうした取り組みが効果を発揮してくれればと思っている。もちろん予選から前を取れればさらに良かったのは言うまでもないが……。
──GRスープラ勢が前にいて固められてしまっている状況。チャンピオンを獲るためにポジティブな要素は何か?
佐伯氏:確かにグリッドが厳しいことはその通りだ。ただ、明日レースが始まってみないと、路面状況の変化がどっちに転び、どこがレースペースが良くなるのかまだわからない、それによりレースの結果が大きく左右されると思っている。明日は安定したレースペースが出せればいいと思っている。
──決勝の展開がどうなると見ているか?
佐伯氏:正直読めないと思う。今シーズンのレースをずっと見ていると、だめになってくるとトコトン落ちていく。それに対して調子がいいときにはラップタイムは落ちていかないこともある。それがどのクルマに起きるのかに左右されると思っている。それをまだ完全に把握できている訳ではない車があるので、やはり分からないというのが今の段階での結論だ。
──今日の佐伯氏の話をうかがっていると、意外と落ち着いていらっしゃるという感じだが、明日のレースで大逆転できる自信があるのか?
佐伯氏:いや、正直にいってない。もう今日は早く帰りたいなというのが今の気分だ。というのも、我々自身はクルマでやれることはすべてやってきてここに来ている。あとはレースペースが安定して、いいペースでずっと安定して走ることができればまだ可能性はあるので、あとはそこにかけるだけだ。
──朝の公式練習でのロングランペースはどうだったのか?
佐伯氏:公式練習でのロングランペースは正直そんなにわるくないペースだった。ただ、スタート順位はちょっとわるくなってしまったので、集団の中に入ったときがネックになるだろうという見通しはあるので、上手く空いているところを走ればいいペースで走れるのではと期待している。
──予選で5位、ホンダ勢の中で最上位になった64号車 Modulo NSX-GTがレースをかき回す存在として、ジョーカー的な存在になりそうだが。
佐伯氏:今年は64号車とダンロップさんのシーズンインしてからの進化スピードが凄く大きい。開幕戦の順位とタイム、そして今回の順位とタイムを比較すると、とんでもなく進化していることを感じている。それが明日のレースでどのように振る舞ってくれるかというのは1つの楽しみではある。