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スバル/STI、新型BRZベースの新GT300マシンについてSTI小澤総監督に聞く 性能向上著しいダンロップタイヤへの合わせ込みが鍵

スバル/STI SUPER GT活動 総監督 小澤正弘氏

新型BRZのGT300参戦

 スバル/STI(スバルテクニカインターナショナル)のSUPER GT活動は、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTのGT300クラス参戦として長年にわたって挑戦が続いている。2020年シーズンは優勝こそなかったものの、第2戦富士で2位、第4戦ツインリンクもてぎで3位と2度の表彰台獲得。第7戦ツインリンクもてぎでもポールポジションを獲得するなどの活躍をして、シリーズ6位に入る活躍を見せた。

 2021年シーズンも井口卓人選手、山内英輝選手という2人のドライバー体制は継続されているが、車両の方はグローバルにはワールドプレミアされている新型BRZをベースとしたデザインとなり、空力面での改善が多いとスバル/STIでは説明している。

スバル/STI、新SUPER GT車両の「BRZ」シェイクダウンと体制発表会

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1307859.html

スバル/STI、新型「BRZ GT300」シェイクダウン 井口選手「コーナリングマシンBRZを引き立てる武器」

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1308013.html

スバル/STI、2021年シーズンのSUPER GT車両「NEW SUBARU BRZ GT300 2021」公開

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1307800.html

 スバル/STIのSUPER GT活動で総監督を務める小澤正弘氏に、開幕前の最後のテストとなる「SUPER GT 公式テスト富士」(3月27日~3月28日)で話しをうかがってきた。

新型BRZベースのGT300車両

新BOPで車両重量が重くなったことがシーズンの鍵

──2月のシェイクダウン、そして岡山の公式テストとこなしてきて、今回の富士の公式テストと走り込んできたが、その手応えや評価などについて教えてほしい。

小澤総監督:2月の頭ごろからテストを開始して、結構走り込んでいて、例年になく走れている。クルマの出来としては昨年より進化していると感じる。ただ、今回富士に来て痛感していることは、今年からBOP(筆者注:Balance of Performance、性能調整のこと、SUPER GTでは多種多様なクルマが走るため、オーガナイザーのGTAにより車両の性能がイコールになるように調整されている)が重たくなったのだが、岡山国際サーキットの公式テストではあまり感じず、重たくなったにせよそこそこのタイムが出ていた。しかし、富士スピードウェイに来ると、うちのエンジンがやや非力なこともあって、正直かなり(重さが)効いている。正直ちょっと持たされすぎじゃないのかな、今、体感としてはそうなっている。

──すでにワールドプレミアされ、国内での発表が待たれている新型BRZがベースになっているが、空力への影響は?

小澤総監督:新型車両になって新しくなったことは、フロントノーズがちょっと出っ張ったということと、リアのダックテールというトランク部分の跳ね上げの部分、そしてここはレギュレーションの範囲内で元々いじれた部分ではあったのだが、サイドステップの後ろの跳ね上げの部分を比較的量産車に近いような形で作り込んできた。その辺りも含めて全体的にダウンフォースが増える形になっていて、いい影響がある。

──元々BRZはコーナリングマシンと言われていた部分があったが、新型車両になって変化はあるのか?

小澤総監督:ダウンフォースが増したことで接地性がよくなっているし、そういうところが岡山国際でかなり重りを積んだ状態でも曲がってくれるなという印象はあった。岡山では50kgと全車に科せられる特別BOP35kgの重りを積んでおり、昨年までのBOPでの15kgと比較すると実に70kgの増加になっている。2月のテストでは昨年と比較できるようにそんなに重りは積まないで走ってきたが、その状態では結構速かったので、重り積んだらどうかなと懸念していたが、岡山では重りを積んでも上手くまとまっていた。

昨シーズンのダンロップタイヤは大きな進化を見せ、今シーズンも継続すべく開発を続けている

──ダンロップタイヤの進化についてはどのように見ているか?

小澤総監督:ダンロップさんの去年の進化は非常に大きかった。昨年いいレースをお見せすることができたのも、ダンロップさんのタイヤ開発のお陰で、今回のテストでもその先さらによいモノはないかというのを探っているところだ。今日もかなりのセット数のタイヤを持ち込んでテストしており、そこでよさそうな部分も見つけられているので、今後はそれを使いこなしてクルマもしっかり合わせ込んでいかないといけないと考えている。

──開幕戦は2週間後に迫っているが、その自信は?

小澤総監督:開幕戦はなんとかがんばりたい。これまで岡山国際のレースはあまり得意としていなかった。というのも、シーズン前のテストなど冬の寒い時期でのタイヤとのマッチングは今ひとつ取れていなかったからだ。今年はダンロップさんが一緒にやってくれて、その辺りもなんとかできるかなという方向性が見えてきている。開幕戦は新型車のデビューレースになるので、がんばって上の方に行きたい。

【お詫びと訂正】記事初出時、一部脱字がありましたので、お詫びして訂正させていただきます。