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SF開幕戦、“日本一速い男女”に高級時計を 「B.R.MポールポジションAWARD」としてViron Japanが協賛
2021年4月5日 12:46
スーパーフォーミュラに新たなスポンサー
日本最高峰のレースシリーズ「全日本スーパーフォーミュラ選手権」の開幕戦が、4月3日~4日の2日間にわたって富士スピードウェイで開催された。3日には予選が行なわれ、野尻智紀選手(16号車 TEAM MUGEN SF19)がポールポジションを獲得した。
予選前に、スーパーフォーミュラを運営するJRP(日本レースプロモーション)は記者会見を開催。外国籍ドライバーの入国への見通しや、新しい協賛パートナー「Viron Japan(バイロン・ジャパン)」についての説明があった。
会見前半ではJRP 代表取締役社長 倉下明氏、同取締役 上野禎久氏の2人が参加した。
記者会見
倉下社長:現在もコロナ感染の拡大という厳しい状況の中ではあるが、今シーズンのスタートを迎えることができた。昨日スポーツ庁を訪れ、海外ドライバーの入国などについてお話しをしてきたが、正直厳しい状況が続くというのが今の認識だ。今シーズンも昨年の8月に開幕して行なってきたシリーズの開催方法を踏襲してやっていく。昨年の鈴鹿での第6戦に近いフォーマットで、予選が土曜日、決勝が日曜日という形で行なっていく。
JAFの感染防止策に基づき感染防止を行なっていき、バブル(パドックの全体のことで感染対策に守られている内部という意味)を守るという形で、サーキットでクラスターを発生させないようにして観客も入れながら開催していく。ファンのみなさまにも不自由をおかけしていると思うが、そんな中で多くのファンが来場してくれている。そうしたスーパーフォーミュラを愛しているファンの皆様を大事にしながら、全7戦開催していきたい。
上野取締役:昨年は8月に開幕して12月までというイレギュラーなスケジュールでやってきた。そこから4か月で新シーズンを迎えることになったが、2008年以来の富士での開幕戦となる。さまざまな情報を発信していきたい。
──宮城県や大阪府に「まん延防止等重点措置」が適用されるなど、地域によっては感染が拡大傾向にあるところもある。今後もカレンダーの変更などの可能性はあるか?
倉下社長:昨年も同じ状況の中でやってきた。基本的には開催するサーキット自身が地元の自治体と連絡を取り合っており、地元の考え方を大事にしていかなければならないのは当然だ。例えば、サーキットがある県で感染状況がすごいことになれば、そこに東京から多くの関係者が行けないという状況になる可能性は当然あり、そうしたこと(スケジュールの変更)を考えないといけない。ただ、去年もそういうことは常に考えてやってきていて、今年に関しても同じようにやるだけだ。なお、我々が無観客を選択しないのは、関係者だけで数百人単位が移動するので、そもそも無観客でやるような状況であれば関係者の移動も難しいと考えているからだ。
──チーム関係者含めて新しい対策をする予定はあるか?
上野取締役:今年新たな対策としてはチーム関係者などに体調管理アプリを導入している。そこに日々の健康管理の情報をあげていただいている。今の所はPCR検査は考えていない、日々健康な状態でやっていけることを啓発していきたい。
──スポーツ庁との話をもう少し詳しく教えてほしい。今回のレースでも外国籍のドライバーが入国することができず、また日本人ドライバーでも自主隔離の期間の問題で参加できないドライバーがいて、ファンとしては寂しい限りだが……。
倉下社長:昨日JAFの方と一緒にスポーツ庁にいってお話しをうかがってきた。サッカーや野球は外国籍の選手が入国し、2週間の自主隔離なくして参加している。スーパーフォーミュラではそれはできないのかということはお話しとしていただいており、それができないのかを相談してきた。
それによれば、野球やサッカーに関しては政府の関係省庁が認めた特例。特例とは公益性などに裏打ちされたものであり、それによりいくつかの規制が緩和されている。では公益性とは何かと言えば、ほぼほぼイコールでオリンピック・パラリンピックの関係だという。選手の選考やイベントの開催といったオリンピック・パラリンピックとの関係性が高いものが特例として認められている状況だという。JAFもがんばってくれているが、モータースポーツに関しては特例が認められる環境にはないというのが現状だ。
──一昨年までは金曜日にフリー走行があって土曜に予選、日曜日に決勝だった。今年は金曜日の走行がないがなぜか? また、昨年はシリーズポイントの有効ポイント制度があったが、今年はどうなるのか?
上野取締役:有効ポイント制度は今シーズンもあり、7戦中5戦が有効となる。金曜日の走行に関しては、昨年ワンデイにしたのはコロナの感染環境はまだ改善されていないという状況の中で決めた。今年も土曜日にフリー走行、日曜日に決勝という大枠のスケジュールは踏襲しているが、予選決勝を1日でやるとスポーティング上のリスクがあったので、予選は土曜日にしたということだ。土曜日にフリー走行90分と予選、日曜日に決勝という仕組みは今後の大会でも踏襲される。
──ドライバーの入国に関してこういう条件になったら緩和するなどの話はあったのか?
倉下社長:昨日お話しをおうかがいした範囲の中でいうと、昨年の秋にはレジデンストラックやビジネストラックなどの枠組みの中で往来が可能になる状況があったが、今年もそうした状況にならないと難しいのではないかということだった。特例になってもそれが実行されるまで5週間ぐらいかかるということもあり、5週間待って入るということを繰り返すのは現在のスケジュールの中では難しい。変異株の問題が落ち着いたり、ワクチンが普及するなどして往来ができるような環境ができれば……という示唆があった。
「日本一速い男女」に高級時計をプレゼント「B.R.MポールポジションAWARD」
会見後半では倉下社長とKJホールディングス 滝川聡氏が参加して、KJホールディングス傘下のViron Japanがスーパーフォーミュラのシリーズ協賛パートナーになったことに関する説明が行なわれた。
Viron Japanはフランスの時計メーカー「B.R.M」の日本輸入総代理店になっており、今シーズンの7戦全部の予選でポールポジションを獲得した最速のドライバーに「B.R.MポールポジションAWARD」を、そしてシリーズチャンピオンには「B.R.MシリーズドライバーチャンピオンAWARD」としてB.R.M特製記念クロノグラフ時計を進呈することが明らかにされた。
倉下社長:昨年TCR Japanに御協賛いただいたが、今年はスーパーフォーミュラの方もということでシリーズに御協賛いただけることになった。
滝川氏:B.R.Mは40年ほど前にジュエリーメーカーとしてフランスで創業し、2002年から時計の製造を開始した。創業者もモータースポーツが大好きで、販売代理店もみんな自動車レース好きというメーカー。レースへの情熱を継承しつつ、レース業界に何が貢献できるのかを考えて、昨年1年TCR Japanに協賛させていただいた。
今年は一番速いシリーズということでスーパーフォーミュラへの協賛を決めた。その中でもポールポジションは花形、1/1000秒に命をかけるレーサーを称えたく、ポールポジション賞を設けた。進呈する時計には各コースが裏側に書いてある特別版となる。
また、シリーズチャンピオンには高級バージョンをプレゼントしたい。日本のモータースポーツを盛り上げるために貢献できればいいと考えている。我々としては単なる時計メーカーではなく、レースに情熱を注げる時計メーカーになっていきたい。
──価格はどれくらいになるのか?
滝川氏:値段は言うなと言われているので(笑)。B.R.Mの時計でトゥールビヨンというのがあるのだが、それは1本で1400万円ぐらいになる。ピンキリで、そうした超高級版から安価なものまで多くのラインナップがある。
──将来的に海外へ日本のドライバーを送り出すなどの取り組みは考えられるか?
滝川氏:現在は時計のブランディングを行なうだけで精一杯だが、将来的にはそういう若手ドライバーを発掘するなどの取り組みはありかもしれない。
予選終了後にはポールポジションを獲得した野尻智紀選手(16号車 TEAM MUGEN)に、今回のB.R.MポールポジションAWARDの贈呈式が行なわれた。贈呈されたのは、裏側に富士スピードウェイのコース図が書かれている特製クロノグラフで、今後今シーズン全部のレースで予選後の記者会見前にアワードの贈呈が行なわれる予定だ。