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テスラ、大型蓄電システム「メガパック」日本初設置 オールインワン設計が特徴

2021年5月28日 発表

高砂熱学イノベーションセンターに設置されている大型蓄電システム メガパック

茨城県にて稼働開始し、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)達成に貢献

 テスラは5月28日、大型蓄電システム「メガパック(Megapack)」が、高砂熱学イノベーションセンター(茨城県つくばみらい市)に設置され、4月から稼働開始したことを発表した。日本におけるテスラ メガパックの導入は初となる。

 高砂熱学イノベーションセンターは、オフィス棟、ラボ棟、展示スペース、プレゼンルームで構成され、建物全体に省エネソリューションが施されており、オフィス棟ではZEB(ゼブ:Net Zero Energy Building、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーが正味ゼロまたはマイナスの建築物)を、敷地全体でNearly ZEB(建物で消費する年間の一次エネルギーを75%以上削減する建築物)を目指している施設。

高砂熱学イノベーションセンターのメガパック システムの規模は429kW/2964kWhで、2021年4月から運用が開始されている

 テスラ メガパックは、高砂熱学イノベーションセンターにおける発電設備である超小型木質バイオマスガス化発電、太陽光発電約200kWにより発電された電気を施設内の需要に合わせて適切に蓄電・放電することで、施設全体のエネルギーの自立化、電力の安定供給に貢献している。

 メガパックはオールインワン設計で、筐体には「蓄電池」「パワーコンディショナー」「温度管理システム」「制御機構」がすべて内蔵されおり、現地での施工はACとLANを接続するだけと現場作業が少ないため、施工期間も短く品質も安定しているのが特徴。また、蓄電池、パワーコンディショナーなどのハードウェアだけでなく、システム設計、試運転、カスタマーサービス、ソフトウェアまですべてをテスラが提供。シンプルな設計とスムーズな導入を特徴とする。

 さらに、ソフトウェアはテスラの自社開発で、プロジェクトに最適なシナリオで運転・制御可能なだけでなく、設置後にはデータを継続的に収集し、将来のパフォーマンスも予測可能としている。また、稼働状況も簡単に確認できるWebインターフェースも用意されている。

 セル・モジュール・バッテリーパックの各レベルで電気的、機械的な安全保護対策を、独自設計により実施してあり、高い安全性も誇るという。モジュール形式の設計構造により、プロジェクトに合わせた規模に拡張することができるのはもちろん、ギガWhスケールまでの拡張性も備えている。

メガパック標準仕様
メガパック標準仕様スペック

海外における導入事例

 イギリス ホールズベイにて稼働中のメガパックシステム。再生可能エネルギーを貯蔵し、電力系統にピークタイムの柔軟性を提供。運用にはテスラのAIシステムAutobidder(オートビッダー)を利用している。

Holes Bay(イギリス、7.5MW/15MWh、2020年6月稼働)

 アメリカ カリフォルニア州 モスランディングに建設中の世界最大級の182MW/730MWhのメガパックシステム。ピーク用天然ガス発電所の代替として設置され、容量市場への参加も予定。

PG&E Moss Landing(アメリカ、182MW/730MWh、建設中・2021年第2四半期稼働予定)

 オーストラリア ビクトリア州 ジーロングに建設中の300MW/450MWhのメガパックシステム。太陽光エネルギーや風力エネルギーの蓄電・放電による再生可能エネルギーの活用に加え、系統電力の安定に貢献。また、ビクトリア州政府の「2030年までに再エネ率50%」という目標の達成をサポートしている。

The Victorian Big Battery(オーストラリア、300MW/450MWh、建設中・2021年11月稼働予定)

 なお、テスラ メガパックに関する新規プロジェクトの相談は、「テスラWebサイト」にて受け付けている。