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ランドローバー、「ディフェンダー」ベースのFCEV(水素燃料電池車)プロトタイプ公開

2021年6月15日(現地時間) 発表

2021年中にテスト走行を実施する予定

 ジャガー・ランドローバーは6月15日(現地時間)、アドバンスド・エンジニアリング・プロジェクトとして「PROJECT ZEUS」を立ち上げ、「ディフェンダー」をベースとしたFCEV(Fuel Cell Electric Vehicle=水素燃料電池車)のプロトタイプを開発したと発表。同車両は2021年中にテスト走行を実施する予定。

 このFCEVコンセプトは、ジャガー・ランドローバーが2021年2月に発表した「REIMAGINE」戦略に沿ったもので、2036年までに車両(テールパイプ)からの排出ガスをなくし、2039年までに「サプライチェーン」「製品」「オペレーション」のすべてを通じて排出ガス量実質ゼロを達成するという目標に向けた取り組みの1つ。

 自動車からの排出ガス量を実質ゼロにするという目標において、水素と酸素から電気を生成してモーターを駆動するFCEVはフルバッテリー電気自動車(BEV)を補完する存在。この水素を動力とするFCEVは、高いエネルギー密度と短時間での燃料補給、そして気温が低い状態でも航続距離のロスを最小限に抑えることができるため、より大型で長距離走行が求められる車両や、高温、低温の両環境下で使用される車両に最適な技術とジャガー・ランドローバーでは位置付けている。すでに2018年以降、世界中のFCEVの走行台数はほぼ倍増しており、水素充填ステーションも20%以上も増加。2030年までにFCEVの台数は全世界で1000万を超え、水素充填ステーションの数も1万か所を超えると予測している。

FCEVのシステム図

 PROJECT ZEUSは、政府が支援する低炭素排出パワートレーン技術の研究開発支援団体である「Advanced Propulsion Centre」から部分的に資金提供を受けていて、エンジニアたちは「航続距離」「燃料補給」「牽引能力「」オフロード走破能力」などのユーザーが期待するパフォーマンスを提供するために、どのように水素パワートレーンを最適化すべきかを研究。また、PROJECT ZEUSでは、デルタ・モータースポーツ、AVL、マレリ・オートモーティブ・システム、英国電池産業化センター(UKBIC)など、世界有数のR&Dパートナーと協力し、FCEVプロトタイプの研究、開発、製造を行なっていて、現在開発中のディフェンダー FCEVは2021年末にプロトタイプでの走行テストを英国で開始し、オフロード性能や燃費などの主要特性を検証するという。

 ジャガー・ランドローバーの水素および燃料電池を担当、統括するラルフ・クレイグ氏は、「私たちは、輸送業界全体の将来的なパワートレーン構成において、水素が重要な役割を果たすということを十分理解しています。FCEVは、BEVと並び、ジャガー・ランドローバーがグローバルで展開するモデルラインアップに求められる特有の性能やニーズに対応しながら、ゼロエミッションを実現する新たなソリューションです。『PROJECT ZEUS』におけるパートナーとの共同作業は、次世代のテールパイプから排出ガスを出さないクルマの準備を推し進め、さらに2039年までにビジネス全体を通しても排出ガス量を実質ゼロにするというジャガー・ランドローバーの目標の実現に貢献するでしょう」と述べている。