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トヨタ、新型「アクア」は燃費を20%改善し価格は198万円から 革新的な新型バッテリ「バイポーラ型ニッケル水素電池」世界初採用

2021年7月19日 発表

新型バッテリ「バイポーラ型ニッケル水素電池」を世界初採用する新型ハイブリッド「アクア」

トヨタ自動車東日本で生産する新型アクア

 トヨタ自動車は7月19日、全グレードHEV(ハイブリッド)となる新型「アクア」を発売した。初代アクアは2011年に設立されたトヨタ自動車東日本の生産車両として誕生。HEV専用車種として「10年先を見据えた、未来のスタンダード」を掲げて登場したアクアは、その優れた燃費と使い勝手からベストセラーカーになり、発売以来の販売台数は187万台を超える。

トヨタグループ3社、トヨタ自動車東日本として7月1日発足(2011年12月14日)

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/498518.html

トヨタ、新型ハイブリッド「アクア」発表会(2011年12月27日)

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/501898.html

 約10年ぶりのモデルチェンジとなる新型アクアは、これまでのアクアが担ってきた役割を発展させ「さらに次の10年を見据えたコンパクトカー」として登場した。約20%燃費を向上させBグレードのWLTCモード燃費では35.8km/Lの低燃費を達成。先代アクアは各種アップデートで燃費を向上させてきたがWLTCモードで29.8km/L(Lグレード)のため、大台を突破し大幅に向上している。

ホイールベースも50mm延長されて2600mmになった新型アクア
アクアらしい印象は変わらないが、より優しいフロントフェイスに
世界初採用となるバイポーラ型ニッケル水素電池。従来型ニッケル水素電池に比べ、セル当り出力で約1.5倍、コンパクト化で約1.4倍のセルを搭載し、約2倍に高出力化

グレードと価格一覧

グレードハイブリッドシステム駆動方式価格
Bリダクション機構付きのTHS II(M15A-FXE 1.5Lダイナミックフォースエンジン)2WD(FF)1,980,000円
E-Four2,178,000円
X2WD(FF)2,090,000円
E-Four2,288,000円
G2WD(FF)2,230,000円
E-Four2,428,000円
Z2WD(FF)2,400,000円
E-Four2,598,000円

燃費一覧

グレードZGXB
WLTCモード(km/L)33.6[30.0]33.6[30.0]34.6[30.0]35.8[30.1]
市街地モード(km/L)33.8[30.6]33.8[30.6]35.4[30.6]36.5[30.4]
郊外モード(km/L)36.0[31.7]36.0[31.7]37.5[31.7]39.5[32.6]
高速道路モード(km/L)32.0[28.7]32.0[28.7]32.6[28.7]33.5[28.3]

[ ]内はE-Four

バイポーラ型ニッケル水素電池を駆動用バッテリとして搭載

 新型アクアはTNGAのGA-Bプラットフォームを採用し、搭載エンジンは直列3気筒 DOHC 1.5リッターのM15A-FXE型ダイナミックフォースエンジン(最高出力67kW[91PS]/5500rpm、最大トルク120Nm[12.2kgfm]/3800-4800rpm)。このエンジンにリダクション機構付きのTHS IIハイブリッドシステムを組み合わせる。前輪駆動モーターは1NM型(最高出力59kW[80PS]、最大トルク141Nm[14.4kgfm])で、4WD車両として設定されているE-Fourでは、後輪駆動用モーターに1MM型を搭載する。

 パワートレーンとしてはヤリスハイブリッド同様のものとなるのだが、Z、G、Xグレードでは、動力用バッテリに新開発のバイポーラ型ニッケル水素電池を搭載。容量は5.0Ahとなり、Bグレードが搭載するリチウムイオン電池の容量4.3Ahを超える値となっている。

 この新しく搭載するバイポーラ型ニッケル水素電池は、先代アクアなどが搭載する従来型ニッケル水素電池に比べ、セル当り出力で約1.5倍、コンパクト化により同じスペース内に1.4倍のセルを搭載した結果、約2倍の高出力を実現している。

バイポーラ型ニッケル水素電池

 Bグレードに搭載するリチウムイオン電池との比較では、容量エネルギー密度がリチウムイオン電池の740Wh/Lに対し、バイポーラ型ニッケル水素電池では1000Wh/Lと約35%向上。重量エネルギー密度は非公開としているが、リチウムイオン電池の特性を大きく上回る性能を持つ電池を世界で初めて搭載してきた。

 この豊田自動織機製によるバイポーラ型ニッケル水素電池は、従来型のニッケル水素電池と比べて集電体やコネクタなどの接続部品が減るほか、通電面積が広くシンプルな構造で電池内の抵抗を低減。大電流を一気に流せるようになる。

 新型アクアではバイポーラ型ニッケル水素電池の特性を活かすことで、アクセル操作への応答性が向上するとともに、低速からパワフルでスムースな加速を可能にしたという。また、電気だけでの走行可能速度域を拡大している。

 バイポーラ型ニッケル水素電池のセル数は168セル。1モジュールあたり24セルで構成し、出力電圧は201.6V(つまり、1セル1.2V)。これを昇圧し、ヤリスハイブリッド同様580VのTHS IIシステムへと供給している。

 トヨタは、このバイポーラ型ニッケル水素電池の出力特性を活かし、Bグレードを除く全車(バイポーラ型ニッケル水素電池搭載車)にHEVならではの新しい走行体験という「快感ペダル」モードをトヨタ初採用。走行モードから「POWER+モード」を選択すると、アクセルペダルを緩めるだけで回生によって減速度を増大させ、滑らかに減速することができるとしている。

 いわゆるワンペダルモードになるが、その走行特性はより緩やかな回生を伴うものとしており、これまでの他社のワンペダルモードとは異なる味付けになっている。

シルバーメタリック
エモーショナルレッドII
クリアベージュメタリック
ブラスゴールドメタリック
アーバンカーキ
ダークブルーマイカメタリック
スーパーホワイトII
プラチナホワイトパールマイカ
ブラックマイカ

最先端の安全・安心機能を装備

10.5インチディスプレイオーディオを備える新型アクア
新型アクアの室内
AC100V/1500Wの電源を全車に標準装備
電源ケーブルの取り出し
メーターパネル内表示

 この新型アクアには、惜しむことなくトヨタの最新安全技術が注ぎ込まれているほか、レクサス車に採用されているテクノロジも組み入れられているのが特徴。ADAS(Advanced Driver Assistance Systems、先進運転支援システム)として全車速追従型レーダークルーズコントロール、同一車線内の中央を走行するよう操舵支援するレーントレーシングアシスト、ペダル踏み間違い時の急加速を抑制するプラスサポートを装備。

 駐車支援システムとして、ハンドル操作、ブレーキ、アクセル、シフトチェンジなど、駐車時における全操作を車両が支援するトヨタチームメイト アドバンストパークを装備する。従来の前後進行方向に加え新たに側方の静止物を検知対象とし、警報とブレーキ制御で接触回避を支援するパーキングサポートブレーキといった、トヨタコンパクト車初の技術搭載も行なっている。

 走行品質においては、レクサスESなどに採用されているKYB製のスウィングバルブ搭載ショックアブソーバを採用。アクアならではの乗り心地も追求されている。

 そして、近年の災害多発にも考慮し、全車にアクセサリーコンセント(AC100V・1500W)と非常時給電モードを標準装備。停電など非常時には車両駐車時に「非常時給電モード」にすると、電気ポットやドライヤーなどの家電製品が使用可能な非常用電源として利用できるほか、USB端子を装備しスマートフォンなども充電可能としている。

ホイールベースを従来型に対し50mm延長し、リアシートの居住空間や荷室空間を拡大

荷室

 新型アクアのボディサイズは全長4050mm、全幅1695mm、全高1485mm(E-Fourが1505mm)で、ホイールベースが2600mm。先代のアクアに比べて全長と全幅は同じながら全高が30mm高くなり、ホイールベースが50mm延びている。全高もそうだが、このホイールベースの延長分をリアシートの居住空間や荷室空間に利用。とくに荷室空間においては、リアバンパーを工夫することで最大荷室幅1153mm、荷室高824mm、荷室長656mm(5名乗車時)を確保している。

 新型アクアはヤリスハイブリッドと同様TNGA GA-Bプラットフォームを採用しているが、ヤリスハイブリッドの全長3940mm、全幅1695mm、全高1500mm、ホイールベース2550mmと比べて、伸びやかなボディサイズになっているほか、ホイールベースもやはり50mm延長されている。室内空間に配慮されているクルマになっているのが見て取れる。

 新型アクアのパワートレーンは、新たにバイポーラ型ニッケル水素電池を使用している(Z、G、Xグレード)以外は、エンジン、THS IIのハイブリッド機構、フロントマクファーソンストラット、リアトーションビーム(2WD)と同等。しかしながら、50mm延長されたホイールベースやサスペンション設定などで異なる方向性を目指している。

フロントのマクファーソンストラット式サスペンション
リア(2WD)のトーションビーム式サスペンション
4WDモデルのリアE-Four

 ヤリスハイブリッドがしっかりした走りを目指しているのに対し、アクアはスムーズな走り志向。バネレートはヤリスハイブリッドよりもやわらかいものを使用し、レクサス車でも採用されているKYB製スウィングバルブ搭載ショックアブソーバを採用。これにより微細な振動を吸収しており、上質な走りを目指している。

 コクピットにおいても、操作性・視認性に優れた10.5インチ大型ディスプレイオーディオをトヨタコンパクトカーとして初採用するなど、クラスレスな環境を実現した。

灯火類

【お詫びと訂正】記事初出時、E-Four用モーターの型番に誤りがありました。正しくは1MM型となります。お詫びして訂正させていただきます。