住友ゴム、タイヤ製造のカーボンニュートラル化に向けて工場における水素活用の実証実験

福島生まれの水素を利用した地産地消モデルの構築を目的

　住友ゴム工業は7月28日、NEDO（新エネルギー・産業技術総合開発機構）の助成事業として支援を受け、同社の主力タイヤ工場である福島県白河工場で8月から、次世代エネルギーとして期待されている水素活用に向けた実証実験を開始すると発表した。

　住友ゴムは、カーボンニュートラルの実現を目指すにあたって、タイヤ製造に必要な高温高圧の熱エネルギーを電力から得るのは技術的に難しいことから、新エネルギーの水素に着目。白河工場が福島県における水素活用に向けた取り組みと協業することで、実現を目指していく。

　今後はNEDOの支援を受け、「タイヤ製造のカーボンニュートラル化に向けた、新エネルギーの水素を活用した技術の確立」「福島生まれの水素を利用した地産地消モデルの構築」「製造時にCO2排出量がゼロとなるタイヤの開発」を目的として、8月～2024年2月に白河工場の一部工程にて実証実験を実施。白河工場全体への拡大や国内外の工場への展開を計画している。

　実証実験の概要は、2012年に完成した「快適性能」「環境性能」「安全性能」を高次元で実現する高精度メタルコア製造システム「NEO-T01」の工程においての水素エネルギー活用。水素ボイラーを導入した際の課題となるNOx排出量のコントロールをはじめとした24時間連続運転における課題の抽出と対策を行なうことで、今後生産エネルギーを水素に転換していくことの有効性を評価していく。

　あわせて、実証実験後の水素需要拡大を見据え、再生可能エネルギー由来の電力からの水素製造、カーボンフリー水素の調達の検討を行ない、タイヤのライフサイクルを通じたCO2排出量の極小化を図るとしている。

福島県にある白河工場

　白河工場は福島県白河市に位置する工場で、1974年に操業を開始。乗用車･トラック・バス用タイヤの製造を行ない、1万350t/月（新ゴム消費量）の生産能力を保有している。従業員数は1595名。