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ロッシ選手がMotoGPライダー引退 ヤマハが感謝のコメント

2021年8月6日 発表

 9度の世界チャンピオンに輝いたライダー、バレンティーノ・ロッシ選手が2021年シーズンをもってMotoGPライダーを引退することを発表。ヤマハ発動機とヤマハ・モーター・レーシングが8月6日、16年間のパートナーシップに対する感謝のコメントを発表した。

 ロッシ選手は、26シーズンにわたってグランプリに参戦し、42歳の今もなお戦い続けている史上最も偉大なライダーの1人で、そのキャリアのなかでマイク・ヘイルウッド選手、カルロ・ウッビアーリ選手と並ぶ全クラスで計9回のチャンピオンを獲得。ジャコモ・アゴスチーニ選手とアンヘル・ニエト選手だけがその数を上まわる記録を残した。

 ヤマハで264戦中56勝のロッシ選手は、ヤマハの歴代チャンピオンの中で最も成功したライダーといい、5種類のレーシングマシン(500cc4気筒2ストローク、990cc 5気筒4ストローク、ヤマハ990cc 4気筒4ストローク、ヤマハ800cc 4気筒4ストローク、ヤマハ1000cc 4気筒4ストローク)で最高峰クラスのチャンピオンを獲得した唯一のライダーとしている。

 ヤマハとロッシ選手のパートナーシップは2004年、南アフリカGPでの勝利から始まり、以来、現在までに142回の表彰台、56回の優勝、そして2004年、2005年、2008年、2009年と4度のMotoGP世界選手権のチャンピオンを獲得。ヤマハとMotoGPの歴史に多大なる影響を与え、世界中で認められたロッシ選手は「GOAT」(Greatest of All Time)という称号を得た。

 ヤマハでは「2022年にゼッケン46をつけるロッシ選手がMotoGPに出場しないということは、当社にとっても、MotoGPにとっても、ひとつの時代が終わることを意味します。しかし、当社とヤマハ・モーター・レーシングは、2021年以降も『VR46 Riders Academy』や『YAMAHA VR46 Master Camp』などを通じ、ロッシ選手との緊密な協力関係を維持していく予定です」とアナウンスするとともに、「今回の引退発表と新たなキャリアへの移行は、ロッシ選手がMotoGPライダーとして戦う残りの数ヵ月間のモチベーションに影響を与えることはありません。当社も、MotoGPレジェンドであるロッシ選手の貢献に感謝し、残る9戦が特別なパートナーシップを締めくくるにふさわしいレースとなるよう、最善を尽くします」とコメントしている。

 MotoGPライダーを引退するロッシ選手に対して、ヤマハ発動機 代表取締役社長 日髙祥博氏と、ヤマハ・モーター・レーシング・マネージング・ダイレクター リン・ジャービス氏がコメントを発表、以下にその全文を記載する。

ヤマハ発動機 代表取締役社長 日髙祥博氏のコメント

 はじめに、この場をお借りしてロッシ選手との素晴らしいパートナーシップに感謝の意を表します。ロッシ選手がコースやパドック、そして私たちとともにいないことは非常に寂しいことですが、私たちはロッシ選手の決断を尊重します。同時に、ともに築き上げてきたグランプリでのレガシーは大きな誇りです。

 私たちがパートナーとして過ごした16年間は、壮絶な戦いと勝利に満ち溢れていました。ヤマハはファンやお客さまに“感動”をお届けすることを企業理念としていますが、ロッシ選手のヤマハにおける全キャリアは、特別な価値のあるものに出会ったときに感じる強い満足感と、大きなエキサイトメントそのものでした。今回、ロッシ選手がMotoGPキャリアの最後までヤマハのライダーであり続けてくれたことを、社員一同、大変うれしく思っています。

 当社とロッシ選手の間には素晴らしい思い出がたくさんあり過ぎて、最もうれしかった瞬間をあげようとしてもひとつに絞ることはできません。困難なこともありましたが、信頼関係は決して揺らぐことなく、長年にわたって強固なパートナーシップを継続してきました。その間のロッシ選手の功績は、サーキットの内外に広がり、ヤマハのレース史における重要な役割を果たしてくれました。

 信じがたいほどの努力と類まれなスキル、そして尽きることのない情熱に感謝し、そのサクセスストーリーをともに歩むことができたことを誇りに思います。私たちは、ともに築き上げた貴重な思い出を永遠に大切にしながら、今後も当社との関係性を維持し活躍していただくことを期待し、その思い出をさらに増やしていきたいと思います。

ヤマハ・モーター・レーシング・マネージング・ダイレクター リン・ジャービス氏のコメント

 まず、ヤマハ・モーター・レーシングを代表して、これまでの特別なパートナーシップに心から感謝します。ロッシ選手が16年間にわたりヤマハのライダーとして活躍してくれたおかげで、私たちは伝説的なグランプリの時代にキープレーヤーであり続けることができました。

 ヤマハとロッシ選手のパートナーシップは、まるでおとぎ話のように始まりました。ロッシ選手は、ヤマハで最初のレースとなった2004年のウェルコムで、見事な優勝を成し遂げました。それは、ヤマハのMotoGPレースプログラムを一変させ、チャレンジ精神を取り戻して再びMotoGP世界チャンピオンになるための自信を与えてくれました。

 こうして2004年から現在までに264戦に出場して56勝をあげ、2位を46回、3位を40回獲得し、2004年、2005年、2008年、2009年と4度のMotoGP世界選手権のチャンピオンを獲得しています。

 ロッシ選手は生ける伝説であり、その成功と才能は、ヤマハのレース史に多大な貢献をしました。また困難な時には、彼のポジティブな考え方が周囲を後押しし、良い結果を得るための努力の源となりましたが、これもロッシ選手のMotoGPに対する強い情熱があったからこそです。

 ロッシ選手の輝かしいグランプリでのキャリアに終わりが来ることは、誰もがわかっていました。ロッシ選手の比類なきスキルとカリスマ性は、ファン、メディア、MotoGPパドック、そしてヤマハのスタッフ全員から非常に惜しまれるものとなるでしょう。2021年の残りのグランプリで、ロッシ選手の走りを堪能できる機会はあと9回あります。その意味で、これから開催されるレースでファンが戻って来てくれるとすれば非常にうれしいことです。残りのレースを楽しみ、11月のバレンシアGPではロッシ選手に感謝の気持ちを伝えたいと思います。