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アルピーヌCEO ローラン・ロッシ氏、LMHやLMDhでのル・マン参戦とフェルナンド・アロンソ選手の起用について語る

2021年8月21日~22日(現地時間) 決勝レース開催

アルピーヌ CEO ローラン・ロッシ氏

 グループ・ルノーのスポーツカーブランドとなるアルピーヌは、今シーズンのWECに「Alpine A480」という従来のLMP1規定の車両で特例参戦している。この旧LMP1規定の車両が参加できる特例は今シーズンまでで、来シーズン以降にアルピーヌがどうするのかは明らかにされてこなかった。

 オンライン会見で記者からの質問に答えたアルピーヌ CEO ローラン・ロッシ氏は「こうした耐久レースのプログラムを今後どうするかはまだ決まっていないし、LMHにするか、LMDhにするかはまだ決めていない。仮に参戦が決まれば、2023年~2024年ごろに参戦できるような形でやっていきたい」と述べ、アルピーヌがWECへの参戦を仮に継続する場合には2023~2024年にLMHないしはLMDhの車両を利用して取り組むことになると述べた。

 また、アルピーヌF1のドライバーで、2018年、2019年にトヨタで2年連続のル・マン24時間レースの優勝を果たしてフェルナンド・アロンソ選手が、そうしたアルピーヌのル・マンプログラムに参加する可能性があるかと聞かれると、「答えはイエスだ。しかし、仮に我々のプログラムがスタートしてル・マンに挑戦するとしてもF1と同時にということにはならないだろう」と述べ、アルピーヌとしてはル・マン参戦を続けるならF1ダブルワールドチャンピオンに参加してほしいが、F1と同時並行は考えられないと述べた。

旧LMP1規定の車両でル・マン24時間レースに参戦しているアルピーヌ、信頼性を武器に総合優勝を目指す

 アルピーヌはグループ・ルノーのスポーツカーブランドで、同時にモータースポーツ活動のブランドでもある。アルピーヌの今シーズンのモータースポーツ活動で最大のものはF1参戦だ。2020年まではルノーF1だったF1チームは、2021年シーズンからアルピーヌF1と変更されており、パワーユニットサプライヤーとしてのルノーとともに、アルピーヌ・ルノーとしてF1に参戦している。

 今シーズンのアルピーヌF1のハイライトは、F1が約1か月の長い夏休みに入る前の最後のレースとなった第11戦ハンガリーGPだろう。スタート時に起きた1コーナーの事故で大混乱となったハンガリーGPで、エステバン・オコン選手は混乱を避けて2位に上がると、再スタートでメルセデスのルイス・ハミルトン選手以外の全車がピットに入るという中トップに浮上し、結局そのままトップの座を維持したまま初優勝を果たした。

F1第11戦ハンガリーGP、スタート・リスタートでの大混乱を経てアルピーヌ・ルノーのオコンが初優勝、角田6位入賞

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1341559.html

 アルピーヌのもう1つのモータースポーツ活動が、ル・マン24時間レースを含むWEC(世界耐久選手権)参戦だ。2021年シーズンからLMH(ル・マン・ハイパーカー)規定がスタートしたWECだが、今シーズンだけは特例として昨年までのLMP1規定の車両も参戦できることになっており、アルピールのAlpine A480はその規定を活かして参戦している。

 LMH車両とはBOP(バランス・オブ・パフォーマンス、主催者などによるハンデウェイトなどによる性能調整)により性能が調整され、レースに臨んでいる。これまでもトヨタのLMH車両である「GR010 Hybird」と毎戦激しい順位争いをしており、開幕戦、第2戦は3位、第3戦のモンツアでは2位に入るなど、活躍を見せている。

アルピーヌ、トヨタとル・マンで戦う「Alpine A480」正式発表 1978年以来のル・マン24時間制覇を目指す

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1312546.html

 今回のル・マン予選でも予選3位となっており、8月21日16時(現地時間、日本時間8月21日23時)にスタートする24時間レースに3番グリッドから臨むことになる。昨年までのLMP1規定の車両で走るAlpine A480は、予選の結果でも分かるように一発の速さではトヨタ2台には敵わないものの、すでに熟成された車両が武器で、トラブルフリーで走ることができれば、トヨタの2台になんらかのトラブルが発生したときに順位を逆転できるところにつけている。

ル・マン24時間レースへの継続参戦の意向はあるが、現時点では何も決まっていないとロッシCEO

 ル・マン24時間レース予選終了後にアルピーヌ CEO ローラン・ロッシ氏が開いた記者会見では、今後のWECやル・マン24時間レース参戦について、前向きな姿勢を示したが、まだ何も決定していないと述べた。

 ロッシ氏は「こうした耐久レースで存在感を示す取り組みを行なっていきたいと思っている。我々はこのル・マン参戦をポジティブに捉えており、将来について前向きに検討している。しかし、現時点では何も決まっていない」と述べ、来年以降の活動に関しては未定だとした。

 すでに述べたとおり、アルピーヌが利用しているAlpine A480は旧LMP1規定に基づいたもので、今シーズンは特例として参戦している形となる。

 この特例は今シーズンまでとされており、来年以降に参戦するにはLMH(ル・マン・ハイパーカー)ないしは、IMSAが策定しWECやル・マンにも参戦可能なLMDhに準拠した車両を作成する必要がある(あるいはルールの方を変えてもらって引き続き現行車両を残してもらうか……)。

 ロッシ氏は「LMHにも、LMDhのどちらにも興味がある。仮に参戦することが決まったらどちらかを選択して2023年~2024年あたりに参戦する形になるのではないか、ただし現時点では何も決まっていない」と述べ、LMHないしはLMDhの車両を作成してWEC/ル・マン参戦に関しては前向きに検討しているが現時点では決まっていることはないと述べた。

 また、アルピーヌF1所属で、前回のハンガリーGPでもオコン選手の優勝に大きな貢献をした2005年/2006年のF1世界王者であるフェルナンド・アロン選手に関して、アルピーヌからル・マン24時間レースに戻ってくる可能性はあるのかという質問も出た。というのも、アロンソ選手は、トヨタに所属して2018年と2019年の2年連続でル・マン24時間レースに優勝しているからだ。

 ロッシ氏は「答えはイエスだ。ただし、F1にはF1のプログラムがあるし、WECにはWECのプログラムがあり、両方を同時にこなすということは難しいだろう」と述べ、仮にアルピーヌがル・マンに戻ってきても両方を同時に並行して参戦することはないだろうと述べた。

Alpine A480