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F1第11戦ハンガリーGP、スタート・リスタートでの大混乱を経てアルピーヌ・ルノーのオコンが初優勝、角田6位入賞

F1第11戦ハンガリーGPで優勝を果たしたエステバン・オコン選手(31号車 アルピーヌ・ルノー)

 F1第11戦ハンガリーGPが、ハンガリーの首都ブダペスト近郊にあるハンガロリンク・サーキットにおいて7月30日~8月1日(現地時間)の3日間に渡って開催され、8月1日に決勝レースが行なわれた。

 前戦イギリスGPでのマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)とルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)のオープニングラップでの接触事故の影響はこのグランプリにも残っており、レース前にはそうした話題で持ちきりのイベントとなった。

 予選ではそのハミルトン選手がポールポジション、ハミルトン選手のチームメイトであるバルテリ・ボッタス選手(77号車 メルセデス)が2位、そしてフェルスタッペン選手が3位、そのチームメイトとなるセルジオ・ペレス選手(11号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が4位、さらにアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)が5位になった。なお、ガスリー選手のチームメイトの角田裕毅選手(22号車 アルファタウリ・ホンダ)はフリー走行1回目でクラッシュしてしまった影響で、予選はQ1突破することができず16位グリッドとなり、決勝で巻き返しを図ることになった。

マックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)

 レースは、スタート前に振り始めた雨の影響を各チームがどう考えるのかが鍵となった。雨は強くなる方向で、全チームが2つあるウェットタイヤ(エクストリームウェット、インターミディエイト)のうち、よりドライに近い方のインターミディエイトを選択することになった。

 スタートでは大混乱が起きた。ポールポジションのハミルトン選手は無事スタートを切ったものの、2位のボッタス選手はスタートで遅れ、ズルズル順位を下げていったが前に出たランド・ノリス選手(4号車 マクラーレン・メルセデス)に追突し、そのノリス選手はフェルスタッペン選手に激突し両車とも破損、さらにペレス選手は飛んで来たボッタス選手とクラッシュ。ボッタス選手自身は1コーナーにストップ、ペレス選手、シャルル・ルクレール選手(16号車 フェラーリ)、ランス・ストロール選手(18号車 アストンマーティン・メルセデス)がコース上にクルマを止めることになり、路上に破片などが広がったこともあって赤旗となり、各マシンはピットレーンに整列することになった。なお、その後ノリス選手もガレージにクルマを入れ、修復は不可能ということでリタイアになった。

ルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)

 フェルスタッペン選手はノリス選手とかなり激しく当たっており、右側が大きく破損していた。バージボードやフロア、右側のサイドポンツーンに被害が及んでいたが、赤旗中に修復が行なわれ、再スタートにはなんとか参加することができた。

 これで1位はハミルトン選手、2位はエステバン・オコン選手(31号車 アルピーヌ・ルノー)、3位はセバスチャン・ベッテル選手(5号車 アルトンマーティン・メルセデス)、4位はカルロス・サインツ選手(55号車 フェラーリ)、そして5位には角田裕毅選手が上がってきており、ポイント獲得のチャンスが大きく広がってきている。

優勝は赤旗中断後の混乱をうまく活用したアルピーヌのオコン選手、角田選手は7位入賞

 ところがスタートでまた大混乱が発生する。スタンディングスタートの位置についたのはトップを走っていたハミルトン選手のみ、2位のオコン選手以下は全員ピットに入りタイヤをドライに交換する。これでハミルトン選手だけ翌周に入る羽目になり、トップから最後尾に落ちてしまったのだ。

 これでトップに立ったのはアルピーヌのオコン選手。2位はベッテル選手、3位はウィリアムズのニコラス・ラティフィ選手(6号車 ウイリアムズ・メルセデス)、角田選手が4位に上がる。ハミルトン選手はアルファタウリのガスリー選手まで追い付いたものの、抜くことはできず、21周目にピットイン。その翌周にカウンターでフェルスタッペン選手がピットに入ったものの、アンダーカットして前に出ることに成功した。

ピエール・ガスリー選手(10号車 アルファタウリ・ホンダ)

 次にハミルトン選手が追い付いたのは角田選手。5位の角田選手と6位ハミルトン選手の激しいレースが展開されることになった。しかし、32周目に角田選手も抑え切ることはできず、ハミルトン選手が前に出た。

 トップ争いは依然としてアルピーヌのオコン選手とアストンマーティンのベッテル選手が争っており、37周目にベッテル選手がピットに入ると翌周にトップのオコン選手がピットに入った。この時にベッテル選手は3秒を超えるピットストップになってしまったのに対して、オコン選手は2秒台。そうしたピットストップの違いにより、オコン選手がトップを維持したままコースに戻った。

 これでレースはオコン選手、ベッテル選手、サインツ選手、ハミルトン選手、フェルナンド・アロンソ選手(14号車 アルピーヌ・ルノー)、角田選手というトップ6で、これで全員が一度と思われるピットストップが終了し、残りはコース上での戦いになったが、ここは抜けないサーキットとして知られるハンガロリンク。

 レースはこのまま終わるかと思われたが、レース終盤に4位を走っていたハミルトン選手がタイヤ交換して前の4台を追いかける作戦に切り替える。みるみるハミルトン選手は前に追い付くが、3位のサインツ選手、4位のアロンソ選手を抜かなければ前の2台には追いつけない。ハミルトン選手は4位のアロンソ選手には追い付くが、毎周、毎周激しいアタックを続けるものの、アロンソ選手の老獪なブロックに阻まれて追い越すことはできない。結局残り6周の1コーナーでアロンソ選手はブレーキングでミスをしてハミルトン選手が4位に上がった。その2周後にはサインツ選手も追い抜き、3位に上がった。

 レースはそのままゴールし、オコン選手がキャリア初優勝。アルピーヌF1チームも今シーズンにルノーから名称変更してから初優勝となった。2位はベッテル選手、3位は最後尾から追い上げたハミルトン選手で、10位フィニッシュで1ポイントしか手に入れることができなかったマックス・フェルスタッペン選手を抜いてドライバー選手権で首位に浮上した。4位はサインツ選手、5位はアロンソ選手。6位は最後にファステストラップをマークしてレッドブルのフェルスタッペン選手のアシストもしたガスリー選手、7位は角田選手となり、夏休み前に貴重なポイントをゲットした。

角田裕毅選手(22号車 アルファタウリ・ホンダ)

 混乱のレースはそれで終わりではなかった。レース終了後には2位でゴールしたセバスチャン・ベッテル選手の車両から、燃料のチェックを行なうための規定の容量(1リッター)が取得できなかったことが判明し、規則に従ってベッテル選手は結果から除外されることになった。その結果、3位以下が1つずつ繰り上がり、2位ハミルトン選手、3位サインツ選手、4位アロンソ選手、5位ガスリー選手、そして角田選手は自己最高の6位へと繰り上がる結果となった。

キャリア初優勝となったオコン選手