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BMW Motorrad、「ビジョン AMBY」初披露 自転車とバイクの中間に位置するコンセプトモデル
2021年9月7日 10:51
- 2021年9月6日(現地時間) 発表
状況に応じて最高速度を3段階から自動的に設定してくれる
BMW Motorradは9月6日(現地時間)、自転車とバイクの中間のまったく新しいコンセプトで、未来の革新的なアーバンモビリティの新たな可能性を追求する「ビジョン(Vision) AMBY」をIAA Mobility 2021で発表した。
AMBYは「Adaptive Mobility(アダプティブ・モビリティ)」の略で、2輪によるアダプティブ・アーバン・モビリティーという基本的な考え方を、さまざまな側面から解釈したモデル。道路の種類に応じて3段階の速度設定が可能な電動式モビリティで、サイクリングロードでは最高速25km/h、都市部の道路では最高速45km/h、複数車線の道路や郊外では最高速60km/hでの走行を可能としている。ただし、より高い速度で走行するためには「ヘルメット」「保険付きナンバープレート」「関連する運転免許証」が必要になるという。
ビジョン AMBYはモーターサイクルのように、スロットルグリップを使って加速し、ペダルの代わりにフットレストを装備。走行モードの変更などは、車両に接続したスマートフォンのアプリを使用する。速度レベルは手動選択も可能で、ジオフェンシング技術を用いた道路検知により、最高速度の自動調整も可能としている。
現在このようなモジュール式速度コンセプトを持つ車両の法的規制はないが、BMWグループは、将来的に大都市でのモビリティーサービスに革新的なソリューションを提供するために、ビジョン AMBYを提案することで法規制の準備を促すとしている。
BMW Motorradのデザイン責任者であるエドガー・ハインリッヒ氏は「ビジョン AMBYは、私たちを新たな領域へと導きます。私たちは、ユーザーの行動に焦点を当てています。つまり、お客さまは将来どのように移動したいのか? クルマに何を期待しているのか? これが出発点でした。私たちが目指したのは、都市部でのスマートモビリティのために、最大限の自由を提供する、極めてエモーショナルな車両を開発することでした。ビジョン AMBYは、お客さまがまったく新しい方法で都市生活を体験し、より柔軟に距離をカバーし、ときには都市から「脱出」することを可能にします。それと同時に、BMW Motorradは都市部におけるエレクトロモビリティ戦略を一貫して追求しています。このモデルは、BMW Motorradの世界を紹介する魅力的なモデルであり、最高のライディング・プレジャーを約束します」と説明している。
デザインはBMW MotorradのDNAそのもの
ビジョン AMBYは、見た目は自転車に似ているが中身はモーターサイクルと、既存のカテゴリーにとらわれないモデル。細身のプロポーションはたくましさと冒険を約束し、そのデザインはBMWエンデューロモーターサイクルの表現力豊かなスタイルとレイアウトを明確に反映し、26インチのフロントホイールには細いタイヤ、24インチのリアホイールには丸みを帯びたタイヤを装着し「どこへでも行ける」という意志と能力を明確に表現した。
830mmの高さを持つシートは固定式のフットレストと同様にバイクらしさが特徴で、フラットに立ち上がるアッパーフレーム部のデザイン要素としても機能し、印象的なフライラインを再現。大型のエネルギー・ストレージ・ユニットとドライブ・ユニットは、フレームの中央にダークなグラフィック・ブロックを形成。これにより、e-bikeとモーターサイクルの世界をつなぐ、BMW Motorradのまったく新しい、新鮮な外観を完成。
前輪の自転車用大型フォークにはプロテクターが装備され、フロントセクション全体をより重厚でパワフルな印象に仕上げている。U字型の小型ヘッドライトは、ダブルLEDのテールランプ同様に、コンセプトのルーツを明確に表示。また、バイクと同じくハンドルバーを回して加速するようになっているのも特徴のひとつ。総重量は65kgと、他のモーターサイクルに比べて大幅に軽く、優れた操縦性と敏捷性を実現している。
ビジョン AMBYの電気駆動に関するコンセプトは、従来の内燃機関と比較してメカニズムがほとんど見せないことで、印象的なスタイルを確立。さらに、伝統的なダークカラーを基調とし、ホワイトハイライトを使用するだけでなく、非常に精巧なカラーと素材のコンセプトを強調している。
蓄電ユニットに使用しているトリム素材は「フローティング・グレー・ポリマー」と呼ばれる再生プラスチックで、この素材はコンセプトEVモデル「i ビジョン サーキュラー」のバンパーにも使用され、製品ライフサイクルの終わりには、それ自体がマテリアルサイクルにフィードバックされる。また、シートに使用されている素材は「i ビジョン AMBY」のサドルや「i ビジョン サーキュラー」のタイヤにも使用されているという。リサイクルされたプラスチックの粒をベースにしたこのシートは魅力的な外観を持ち、いくつかの素材が新たな形と機能を持って第二の人生を歩むことができることを証明しているという。
ビジョン AMBYの側面は個性的にデザインされていて、両面ともにライトカラーのドライブユニットの上に白い「AMBY」の目を引くレタリングが施され、左側は虹色に輝くドロップシャドウによって視覚的な深みが加えられているが、右側は意図的にドロップシャドウを付けずに表示。バッテリの下には、虹色に輝く2つのLEDライトがあり、アクセントを加えている。
車両の右側面には、3つの小さなターコイズブルーのチューブがシルエットから浮かび上がり、ビジョン AMBYのエレクトリックハートをはっきりと暗示。その隣には「エレクトロモビリティは、モーターサイクルの未来にとって非常に重要なものになるでしょう。特にアーバン・モビリティーの分野では、電気推進力に焦点を当てた製品が続々と登場すると予測しています。また、クラシックなスクーターだけではなく、現代的でエモーショナルな製品も考えています。二輪の電動モビリティは、本当に楽しくて冒険的なものである必要があり、BMWはそれに対応する製品の開発に取り組んでいます」というBMW Motorradのヘッドであるマーカス・シュラム氏の言葉が記されている。また、右側の座標は、ビジョン AMBYが誕生したミュンヘンのBMW Motorradデザインスタジオを示していて、反対側にはモールス信号で「AMBY」を表示している。
スマホが鍵の役割を果たしてくれる
専用開発されたアプリにより、ユーザーはビジョン AMBYを起動して走行したり、保存されている運転免許証のクラスを読み込んだり、必要に応じて適切な保険をオンデマンドで利用したりすることができる。このように、アプリは従来のキー機能を果たすと同時に、Face IDなどスマホで提供される慣習的な識別オプションを利用。
基本的な機能やステータスの照会(現在の充電状況など)は、BMW Appと同様に利用でき、さらにソフトウェアの開発や調整は、無線アップデートによっていつでもユーザーに提供される。
スマホはマグネットホルダーに取り付けられ、充電はもちろん、イモビライザーによる盗難防止機能を使用することもできる。また、「私のビジョン AMBYはどこにあるの?」とスマホに質問すれば、所在地が表示されるという。
走行モードは自分で選択するのとは別に、ジオフェンシング技術と詳細なマップサービスを組み合わせることで、現在走行している道路が、サイクリングロードなのか、交通量の少ないエリアなのかを検知し、最大許容速度を25・45・60km/hの中から自動的に調整してくれるのと同時に、それに見合った保険を自動的に調整してくれるという。
このようにして、ビジョン AMBYは、よりモーターサイクルに近い車両へと変化する。もちろんユーザーがこのモードを上書きすることはできないように設定されていて、必要とされるライセンスプレートは革新的な表示面の形をしていて、その時々に選択されたモードが、他の道路利用者が容易に認識し、読み取りやすいように表示される。
また、「ABSシステム」や「自動ハイビーム」や「ブレーキ・ライト・アシスタント」「デイタイム・ランニング・ライト」といったさらなる技術革新をはじめ、すでにモーターサイクルのオプションとして提供されている「タイヤ圧モニターシステム」「最大140mの距離まで検知でき、後方から接近してくる車両を警告するシステム」などの安全機能の追加も考えられるとしている。
ビジョン AMBYは、明日のモダンでアーバンなモビリティのひとつの可能性を示すと同時に、都市における未来志向の移動についての議論を進めるためのきっかけとなることも目的のひとつだという。
BMW Motorrad「ビジョン AMBY」のスペック
バッテリサイズ:未公開
バッテリ出力:未公開
ビークルモード1:最大25km/h
ビークルモード2:最大45km/h
最大ビークルモード:最大60km/h
航続距離:約110km(WMTCモード)
ホイール:フロント26インチ、リア24インチ(スタッド付きスポークホイール)
シート高:830mm
積載重量:約65kg