日産、「GT-R」2022年モデル発表会 特別仕様車「T-spec」限定生産台数にサプライズ

　日産自動車は9月14日、10月下旬より販売開始する「GT-R」2022年モデル発表会を開催。発表会場では、商品企画本部 チーフ・プロダクト・スペシャリストの田村宏志氏、製品開発部 チーフ・ビークル・エンジニアの川口隆志氏、グローバルデザイン本部アドバンスドデザイン部 担当部長の山口勉氏が登壇するトークイベントが開催され、GT-Rの2022年モデルに対する思いが語られた。

「GT-R」2022年モデルでは、特別仕様車「NISSAN GT-R Premium edition T-spec」「NISSAN GT-R Track edition engineered by NISMO T-spec」が設定され、特別仕様車「T-spec」は両モデル合わせて100台限定（予定）の抽選販売となる。抽選申込期間については、9月15日～9月29日の2週間限定。

　特別仕様車の価格については、Premium edition T-specが1590万4900円、Track edition engineered by NISMO T-specが1788万1600円となっている。

　トークイベントでは、この抽選販売となる特別仕様車「T-spec」について、100台限定（予定）とアナウンスされた生産台数について田村氏からサプライズ。田村氏が「もうちょっとなんとか、1台でも多く」と開発担当の川口氏に掛け合うと、川口氏は「1台でも多く作れるように、まだまだ頑張っています」と、特別仕様車については少なくとも100台、可能な限りで1台でも多く届けられる努力をするというサプライズが発表された。

「Trend Maker」と「Traction Master」を示す特別仕様車「T-spec」

商品企画本部 チーフ・プロダクト・スペシャリストの田村宏志氏

　同発表会では、田村氏からGT-R 2022年モデルについての説明があり、2022年モデルでは、GT（Gran Turismo）性能を高めた「NISSAN GT-R Premium edition T-spec」、R（Racing technology）を強調する「GT-R NISMO」、GTとRをバランスさせた「NISSAN GT-R Track edition engineered by NISMO T-spec」という各モデルの位置付けが示された。

　また、特別仕様車に採用された「T-spec」という名称については、「時代を導くという哲学」であり、GT-Rの在り方やその時代を牽引するクルマであり続けるという願いを表現した「Trend Maker」と、「しっかりと地面を捉え駆動する車両」という開発におけるハードウェアへの考えを表した「Traction Master」から名づけたことが明かされた。

グローバルデザイン本部アドバンスドデザイン部 担当部長の山口勉氏

　カラーデザインを担当した山口氏からは、特別仕様車「T-spec」のボディカラーとして追加する2色の新色、歴代のGT-Rに採用してきた色の進化版「ミッドナイトパープル」と、グリーンの色調を採用した「ミレニアムジェイド」についての解説があり、田村氏からのリクエストで、GTの方向を示すカラーとして「ミレニアムジェイド」、Rの方向を示すカラーとして「ミッドナイトパープル」を開発したことが明かされ、現代の塗装工程は環境対応として進化しており、当時のボディカラーを再現する難しさなどが語られた。

GT性能を高めた「NISSAN GT-R Premium edition T-spec」、GT-Rを象徴する「NISSAN GT-R Track edition engineered by NISMO T-spec」

　特別仕様車「NISSAN GT-R Premium edition T-spec」「NISSAN GT-R Track edition engineered by NISMO T-spec」の性能面では、両モデルに専用カーボンセラミックブレーキ、カーボン製リアスポイラー、専用エンジンカバー、専用バッヂ（フロント・リア）が特別装備される。

特別仕様車「NISSAN GT-R Track edition engineered by NISMO T-spec」

「GT-R Track edition engineered by NISMO T-spec」では、さらに専用カーボン製ルーフ、カーボン製トランクリッド（トリムレス、本革プルストラップレス仕様）を特別装備する。

　このGT-R Track edition engineered by NISMO T-specについて、川口氏は「（GT-Rのような速いクルマは）タイヤが路面に常に設置している、これが非常に重要になります。今回のこのT-specでは、そこをさらに進化させてきました。実は2020モデルのNISMOで、カーボンブレーキを採用してバネ下の重量を非常に軽くしたんですね。その時に、今のような性能進化を遂げました。で、今回のこの（Track editionの）T-specは、そのNISMOで採用しているカーボンブレーキを含めて足まわり全てを採用しました。さらに今までオプション設定であった、カーボンルーフ、カーボントランクリッド、それからカーボンリアスポイラー、これらも全て標準設定することで、クルマトータルで約18kgの軽量化ができました。このことによって、（Track editionの）T-specも、NISMOと同等の操縦安定性、それからブレーキ性能が実現できました」と強調した。

特別仕様車「NISSAN GT-R Premium edition T-spec」

　また、川口氏は「NISSAN GT-R Premium edition T-spec」では、専用レイズ製アルミ鍛造ホイールを採用することでバネ下質量の軽量化、サスペンションを専用にセッティングしたことを説明。川口氏は「グランドツーリングカーとしての非常に大切な性能をさらに進化できました。改めて今回のT-specは、走安性能、乗り心地、それからブレーキの性能、これら全てを進化させることができたと思ってます」と話した。

製品開発部 チーフ・ビークル・エンジニアの川口隆志氏

GT-RやフェアレディZへの思いが世界中の人へメッセージとして伝わる

　イベントの締めくくりとして、田村氏は「私どもにはフェアレディZとGT-Rがあります。このスポーツカーに着目しがちなんですけど、われわれが持ってる DNAというのは単にそのスポーツカーを愛でるということだけじゃないんですね。例えばアリアは一見全然関係ないように皆さんは思うかもしれないですが、アリアのチームは、この四駆、トラクションマスターを盛んにGT-Rから勉強して、どうやったら4輪できちっと駆けるかを学んでいくんですね。だから常に、GT-RとフェアレディZというわれわれのDNAが、いろんなクルマに波及していく。そして、その思いが世界中の人へのメッセージとして伝わる」と、日産自動車におけるGT-Rの存在について述べるとともに、「クルマって、こう偉そうに言ってますけれども（私は）単なるスポークスマンだし、ここにいる2人だっていろんなチームの人間に支えられて作っていくわけです。一人じゃ作れないんです。だから、そういったみんなの想い、強い強いお客さまの期待、お客さまの思いが、こうやって1つに結集して、こういった結果につながっていくと思っていますので、ぜひ今後とも日産自動車をよろしくお願いいたします」との想いが語られた。