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日産、「GT-R NISMO」2022年モデル発表会 特別仕様車のスペシャルエディション登場
2021年4月14日 17:41
- 2021年4月14日 開催
2022年モデルではベースモデルに加えて特別仕様車も
日産自動車は4月14日、日産グローバル本社ギャラリーにおいて「GT-R NISMO」2022年モデルを先行公開する発表会を開催した。
発表会は2部構成となっており、第1部はGT-R NISMO 2022年モデルのお披露目、第2部は「NISSAN GT-R NISMO 2022年モデル×マクドナルド ハッピーセット コラボレーション発表会」を題してハッピーセットのおもちゃ「GT-R NISMO 2022年モデル」や、GT-R NISMO 2022年モデルのマクドナルド仕様としてゴールドの実車が公開された。
今回のGT-R NISMO 2022年モデルは、2019年10月に販売を開始したGT-R NISMO 2020年モデルの進化版に位置付けられるが、2020年モデルでは1モデル展開だったところ2022年モデルではベースモデルに加えて特別仕様車の「GT-R NISMO Special edition」が設定されるのが新しい。今回先行公開された2022年モデルはこのSpecial editionになる。
Special editionの外観では、クリア塗装を施したNISMO専用カーボン製エンジンフード(NACAダクト付)を採用するとともに、20インチの専用レイズ製アルミ鍛造ホイール(フロント20×10J、リア20×10.5J)にはレッドリム加飾が施された。また、エンジンの最高出力は600PSで2020年モデルから変わらないものの、ピストンリング、コンロッド、クランクシャフト、フライホイール、クランクプーリー、バルブスプリング(吸気)、バルブスプリング(排気)に高精度重量バランスエンジン部品を採用。そして手組みの証として完成したエンジンに貼り付けられる「匠」のネームプレートも専用カラーが与えられる。
また、2022年モデルのベースモデル、Special editionともにボディカラーにNISMO専用の新色「NISMOステルスグレー」を設定したのもトピックの1つになっている。
そのほか詳しい概要や価格については8月に発表するとしており、正式発売は10月を予定する。
NISMOステルスグレーはイメージをサーキットに求めた
この第1部の発表会には日産自動車 チーフ・プロダクト・スペシャリストの田村宏志氏、チーフ・ビークル・エンジニアの川口隆志氏、グローバルデザイン本部 主管 森田充儀氏の3名が登壇し、トークショー形式で進行。
トークショーではまずボディカラーについて触れられ、森田氏は「2022年モデルでは新しい専用色を開発しようということでNISMOらしい、GT-Rらしい色とはどのようなものなのだろうと考えました。そもそもこのクルマが生まれてきたバックグランドはレーシングフィールド。そこにもう一度立ち返ってイメージをサーキットに求めました。このグレー(NISMOステルスグレー)というのはサーキットの路面の色からイメージしています。そうした風景の中にこのクルマがボンと置かれたときに、風景になじんでしまうのではなくてグレーなんだけども存在感は際立たたせたいという思いで、サーキットの路面よりも青く、上の青空よりはグレーにという色調を探して一生懸命開発してきた色になります」。
「今回のNISMOステルスグレーはパールやメタリックといったエフェクトを一切廃してソリッドカラーになっています。これはNISMOのデザインフィロソフィーにも通じるものがあるのですが、無駄な装飾を廃して研ぎ澄ましていくという考えのもと、このクルマにふさわしいということであえてソリッドのブルーグレーを作ってみました」とコメント。
また、2022年モデルの注目点について実車を交えながら紹介した森田氏は、NISMOステルスグレーの採用によってシャープなエッジやキャラクターラインが死んでしまったら困るので、これらが引き立つような色の明度を選択するのに苦労したと述べるとともに、「フェンダーから上の部分は空のスカイトーンをしっかり映し込む、下の部分は地面のリフレクションを映し込む。この2面が見せる際立ったコントラストによってクルマのシャープさやダイナミズムを表現しています。非常にソリッドで塊感が醸し出す力強さ、これがGT-R NISMOの強さだと考えているので、その部分に非常に注力して作ってきた色になります。当然ながら、GT-R NISMOでは各所に赤い加飾が入りますが、今回はホイールにもアクセントがリムに入ったのですが、こういった色とのコントラスト、相性にも気を使って開発してまいりました」と、新色のNISMOステルスグレーについて解説を行なった。
さらに外観ではカーボン柄を全面に用いたボンネットフードを採用しており、これについては凄みのあるインパクトを追求したものとなるが、軽量化にもつながると紹介。このボンネットフードについては田村氏がフォローを入れ、グラム単位での軽量化を追求しているのがGT-Rであり、これはR34 GT-RのN1レースのベース車両を開発したときからの思想(同モデルもカーボン柄を全面に使ったボンネットフードを採用していた)であるとした。
一方、川口氏は走行性能について紹介を行ない、「2022年モデルでは開発の当初からとにかく技術的にしっかりとポテンシャルを上げる、そのことによってクルマの性能が上がってクルマを進化させる。これを愚直に続けてまいりました。例えば(R35 GT-Rがデビューした)2007年当時は480PSでしたが、いま壇上にあるNISMOは600PSです。これは単純にガソリンをいっぱい使って出力を上げたというものではなく、愚直に吸気や燃焼効率、あるいは排気抵抗をいかに下げるかといった1つひとつの細かなところの改善を図り、どんどん進化させてきました。この結果、現在600PSありますが発売当初と比べると燃費も上がっています。燃費も上がって出力も上げる。これがわれわれがR35 GT-Rの開発で大切にしてきた手法です」。
「今回2022年モデルの特別仕様車では、エンジンにもう少し進化させることにチャレンジしました。具体的にはピストンのまわりについているピストンリング、それから吸気や排気についているバルブスプリング、こういったものをとにかく徹底的に精度をよくしてフリクションを最高まで下げました。それからエンジンの中ではクランクシャフトやコンロッド、クランクプーリー、あるいはフライホイールなどが回転していますが、この回転しているものがちょっとの回転バランスがあるだけで回転のムラになる。これも徹底的に管理して精度の高いものを作ろうということで、具体的な数値は言えないのですが、もともと高いエンジン精度で作ったものをさらに公差を半減してしまえということで特別な部品を組み付けました」と解説。これによりエンジンがさらにスムーズにまわったり、より振動が少なくなったりするなど、確実にエンジンのポテンシャルが上がっているとのことだが、これらをユーザーが体感できるかと言えば「なかなか分かりづらいのが残念」とした。加えて今回のエンジンでの進化ポイントは見た目では分からないため、「匠」のネームプレートの文字色を赤くしたという。
最後に田村氏は、「クルマというのは百聞は一見にしかず。実際に見て乗って、われわれの息吹を感じ取ってもらえたらと思います」と述べてトークショーを締めくくった。