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ロールス・ロイス、同社初の新型EV「スペクター」発表 2023年第4四半期に市場投入

2021年9月29日(現地時間) 発表

2030年の完全な電動化に向けた先駆けとなるモデル

ロールス・ロイス・モーター・カーズは9月29日(現地時間)、同社初のEV(電気自動車)となる新型「Spectre(スペクター)」を発表した。

 スペクターの完成車は2023年の第4四半期に市場投入される予定で、間もなく400年間使用し続けることを想定した250万kmの公道試験走行を開始。この旅の間、世界のあらゆる場所におもむき、あらゆる状況、あらゆる地形で新型スペクターを極限まで追い込むテストが行なわれ、ロールス・ロイスを未来へと加速させていくとした。

 また、ロールス・ロイスはこの新型スペクターを始まりとして、2030年までにすべての製品を完全に電動化するという目標を掲げており、それまでに内燃機関を搭載する製品の製造・販売から撤退するとしている。

 新型スペクターのアーキテクチャーには、2017年に「ファントム」と同時に発表された独自のオールアルミ製のスペースフレーム・アーキテクチャー「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を採用。このロールス・ロイスのためにロールス・ロイスが製作したアーキテクチャーは拡張性があり、柔軟性を持たせたスペースフレーム構造によって、「カリナン」「ゴースト」のように各種の内燃機関搭載モデルだけでなく、まったく異なるパワートレーンを搭載したモデルのベースとしても使え、発表以降に発売されるすべてのロールス・ロイス・モデルを支える。

 車名については、ファントム、ゴースト、レイスといった名前と同様に、力強く刺激的で、幽玄で別世界のような環境にふさわしい名前として、スペクターと名付けたとのこと。この“スペクター”とは、偉大なパワーと幻影を持つ別世界の存在に与えられた名前で、つかの間の姿を通じて存在感を示す異世界の生き物であり、世界の時を止めることができ、自身が存在する空間を支配し、現れたときと同じように煙のように消え、あとには愉快な気持ち、活力、好奇心を残していくという。ロールス・ロイスの新型スペクターも、その存在感を示したのち、ごく限られた人以外は近づけない世界に消えてゆくため、ぴったりの名前だとしている。

 ロールス・ロイスの創業者の1人であるチャールズ・ロールズ氏は、1900年4月に初期のEVを体験し「電気駆動こそが理想である」と公言。しかし、これまでは利用可能なテクノロジーがロールス・ロイスの乗車体験にふさわしいレベルになったとは考えられておらず、常に検討されてきただけとなっていた。しかし、これからはロールス・ロイス・モーター・カーズにとって電気駆動は静かで、洗練されており、ほとんど瞬時に最大トルクを発生させ、その後も途方もないパワーを生み続ける「ワフタビリティ(浮遊感)」と呼ぶ「唯一かつ完璧な手段」になるとしている。

 ロールス・ロイス・モーター・カーズ最高経営責任者(CEO)のトルステン・ミュラー・エトヴェシュ氏は「本日は、1904年の5月4日以来、ロールス・ロイス・モーター・カーズにとって最も重要な日となります。かつてのこの日、当社の創業者であるチャールズ・ロールズとヘンリー・ロイス卿が初めて出会い、『世界最高のクルマ』を作ることに合意しました。この2人の先駆者は、当時、卓越した技術者として最先端技術を駆使し、交通手段としてまだ発展途上にあり、騒音や不快感を伴っていた初期の内燃機関搭載の自動車を、まったく新しい、それまでとは異なる基準を設定してその性能を引き上げました。彼らが作り上げた自動車は世界中に真のラグジュアリーたる体験を提供し、ロールス・ロイスに究極の頂点という地位をもたらしました。ロールス・ロイスはその後1世紀以上にわたり、最高峰の内燃式エンジンを定義し続けています」。

「それから117年を経たこんにち、ロールス・ロイスは世界的な電気自動車への変革を後押しするため、この種の製品としては初めての、最も洗練された超高級車を生み出しました。この優れた新製品の公道走行試験プログラム開始をお伝えできることを、わたくしは誇りに思います。このクルマは試作車ではなく、完成車です。このクルマを丸裸になるまでテストし、2023年の第4四半期にはお客さまに最初の車両をお届けする予定です」とコメントしている。