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ロールス・ロイス、8代目の新型「ファントム」日本導入。5460万円から

静粛性向上を目的に新たにV型12気筒6.75リッターツインターボエンジン搭載

2018年1月22日 開催

5460万円~

新型「ファントム」をジャパンプレミア

 ロールス・ロイス・モーター・カーズは1月22日、8代目となる新型「ファントム」をジャパンプレミアした。価格は標準ホイールベースのファントムが5460万円から、ロングホイールベースのファントム・エクステンデッド・ホイールベースが6540万円から。同日、東京都台東区にある法隆寺宝物館において、新型ファントムの発表会が開催された。

 2003年~2016年に販売された7代目ファントムからバトンを受けた今回の新型ファントムは、500名以上のエンジニアとデザイナーが8年間かけて開発。その新型ファントムでは、今後のロールス・ロイスブランドのモデルに展開されるというオールアルミ製のスペースフレーム・アーキテクチャー「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を採用。7代目から剛性を約30%高めるとともに、ロールス・ロイスならではの乗り心地、音響快適性、座り心地などのさらなる向上を目指した。

新型ファントムのアンベール

 その“魔法の絨毯”と評される乗り心地は、最新世代のセルフレベリング・エアサスペンションによってさらに高められ、電子制御式ショックアブソーバー調整システムがボディの加速度、ホイールの加速度、ステアリングの入力、車載カメラからの情報を利用して毎秒数百万回もの計算を行なってダンパー設定を常時変化させるという。

 静粛性については130kg以上におよぶ遮音材を採用するとともに、優れた遮音性を実現するため鋳造アルミ製ジョイントや高性能の吸音素材を採用。また、路面からの騒音を遮断するため、スペースフレームのフロアとバルクヘッドに2層式の合金製スキンを採用することでその効果を高めた。さらに、これらのスキンの間にヘビー・フォーム(重さのある発泡素材)とフェルト層を挿入することにより、「自動車産業においてかつてないレベルの遮音性を実現させた」とする。

 これらに加え、ヘッドライナー、ドア内部、トランク内部の空洞部分に高吸収素材の層を設けて遮音性を高めたほか、タイヤ内部に特殊な発泡体の層を形成し、タイヤ空洞部で発生する騒音を消し去ることでタイヤ全体から発生する騒音を9db減少させる「サイレント・シールタイヤ」を装備。このコンチネンタル製タイヤは、180ものプロトタイプを経て実用化に至ったという。これらの結果、100km/h時の騒音レベルを7代目比で約10%低下することに成功している。

新型ファントムのボディサイズは5770×2020×1645mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース3550mm。ロングホイールベースのファントム・エクステンデッド・ホイールベースでは全長が5990mmに、ホイールベースが3770mmになる
エクステリアでは大型化したパンテオン・グリル、LEDデイタイムランニングライトなどを採用。タイヤはコンチネンタル製「コンチスポーツコンタクト」で、ホイールにはロールス・ロイスが提供したなかで最大かつ最も高価という22インチアロイホイールを採用

 パワートレーンでは従来の自然吸気V型12気筒エンジンを採用せず、新たにV型12気筒6.75リッターツインターボエンジンを搭載。ターボエンジンを搭載したことについては「世界でもっとも静粛なクルマを創り出すことに焦点を当てたとき、完璧に静かなエンジンも必要でした。静粛性を確実に達成するためには、低回転でより高出力を発生できなければならない」としており、最高出力は420kW(571PS)/5000rpm、最大トルクは900Nm/1700-4000rpmを発生。これにZF製の8速ギヤボックスを組み合わせ、後輪を駆動する。加えて新型ファントムでは4輪操舵システムを新たに採用したこともトピックの1つになっている。

V型12気筒6.75リッターツインターボエンジンは最高出力420kW(571PS)/5000rpm、最大トルク900Nm/1700-4000rpmを発生

 また、エクステリアではフロントが短くリアが長いオーバーハング、直立したフロントエンドと流れるようなリアエンドといった歴代ファントムの美点を引き継ぐとともに、大型化したパンテオン・グリル、LEDデイタイムランニングライトや600m以上先の路面を照らすことができるというレーザー・ヘッドライト・システムなどを採用。

 そのほか装備面については、全方位視野システムを可能にする4カメラ・システム、ナイト・ビジョンおよびビジョン・アシスト、アクティブ・クルーズ・コントロール、衝突警告、歩行者警告、交差交通警告、車線逸脱および車線変更警告などの「アシスタント・システム」を用意。さらに7×3インチ高解像度ヘッドアップ・ディスプレイ、Wi-Fiホットスポットなども搭載している。

インテリアでは特徴的な丸型のエアベントや引き出し式の操作ノブ(オルガン・ストップ・コントローラー)を採用するとともに、シートスイッチやライトスイッチ、ウィンドウスイッチなどはすべて金属製とした。また、新型ファントムではインパネまわりに「ギャラリー」と呼ばれるデザインを採用。このギャラリーは強化ガラスの内側にさまざまなデザインを施すことができるというもので、オーナーが選んだお気に入りのアーティストやデザイナーとロールス・ロイスが協力し、個性的な作品を作り上げることができるというもの。一例としてオーナーのDNAを3Dプリントで印刷した金メッキのプレート、手作りの陶器製のバラの茎などが挙げられた

 発表会では、ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋 プロダクト・マネージャーのスヴェン・グルンワルド氏が車両概要を紹介するとともに、同ジェネラル・マネージャーのパトリック・ヴィーク氏が日本市場の概況などについて語った。

ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋 プロダクト・マネージャーのスヴェン・グルンワルド氏
ロールス・ロイス・モーター・カーズ アジア太平洋 ジェネラル・マネージャーのパトリック・ヴィーク氏

 ヴィーク氏は日本市場におけるロールス・ロイスブランドについて、「ここ5年間で納車台数は倍増するとともに、2017年は新型ファントムがなくても最高の販売台数を記録しました。過去数年間でロールス・ロイスはラインアップの拡大、多様化を図り、その都度成功を収めてきました。新しいタイプのお客様も魅了しており、ロールス・ロイスは単なるショーファーカーではなくユニークな運転性能を経験できることを示しています。2016年に導入した『ドーン』は日本でもっとも人気のある我々のモデルになりました」と振り返る。

 また、今回発表した新型ファントムとともに、今後導入する予定のSUVモデル「カリナン」についても触れ、「カリナンを導入することで、ファントムを頂点とするロールス・ロイスのラインアップは完全なものになります」と述べたほか、近年ショールームの出店攻勢も強めており、現時点で全国に6つの正規ディーラー(福岡、広島、大阪、名古屋、横浜、東京)を展開していることをアピールした。