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ホンダF1 田辺TD、フェルスタッペン選手がポイントリーダーに返り咲いたという意味ではいいレース

F1第16戦トルコGPで、レッドブル・ホンダが2位と3位の表彰台を獲得。2位のマックス・フェルスタッペン選手(左)と3位のセルジオ・ペレス選手(右)。フェルスタッペン選手はF1のポイントリーダーに復帰

 F1第16戦トルコGPの決勝レースが10月10日(現地時間)、インターシティ・インスタンブール・パーク・サーキットにおいて開催された。レッドブル・ホンダはマックス・フェルスタッペン選手が2位、セルジオ・ペレス選手が3位と、2台ともに表彰台という結果になった。優勝こそメルセデスのバルテリ・ボッタス選手にさらわれたものの、ドライバー選手権のライバルであるルイス・ハミルトン選手はエンジン(ICE)4基目投入の10グリッド降格ペナルティなどもあり5位に終わったことを考えると上々の結果と言える。

 決勝レース終了後、ホンダF1の現地での技術面を統括するホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏によるオンライン会見が行なわれたのでその模様をお届けする。

F1トルコGPをスペシャルカラーリングで走ったレッドブル・ホンダ

鈴鹿のスタンドに応援に来てくれているファンの姿に奮起、2台表彰台は望外の結果

田辺氏:天気予報では、今日がウェットでのレースというのは予想していなかったが、弱い霧雨が降る中、路面が改善しない状況が続きインターミディエイトのレースになった。フリー走行3回目のウェットコンディションでは、ホンダの2チーム4台が1-2-3となるなどの結果もあったが、レッドブル・ホンダの2台が2位と3位という結果になった。優勝を逃したのは残念だが、金曜、予選とメルセデスの速さには追いつかない中で、われわれが持つ速さを最大限発揮できたレースになった。

 アルファタウリ・ホンダの2台に関して、ピエール・ガスリー選手は接触で5秒ペナルティをもらい、最後追い上げたが6位でゴールした。角田裕毅選手に関してはスピンして後ろに下がってしまうレースになった。ただ、2台とも予選ではいいポジションに戻っており、それはよかった。

 ホンダF1としては4台が完走して2台が表彰台、3台がポイント獲得。そしてフェルスタッペン選手がポイントリーダーに返り咲いたという意味ではいいレースになったし、レッドブルのコンストラクタータイトルもまだまだ十分狙っていけると思う。この先、アメリカ、中東へと向かういい流れの中にあると思っている。

──ロシアは2位だったが、勝利に値する2位と表現されていた。今回はハミルトン選手がICE交換でグリッド降格ペナルティをとって11位からスタートして5位、フェルスタッペン選手は2位キープというレースになった。どう評価しているか?

田辺氏:先ほども触れたが今週のパフォーマンスを考えると、予選でメルセデスが1-2、そして11番グリッドから5位に上がる結果から考えると、彼らがポテンシャルの高いクルマを用意してきたと言える。その意味では、序盤角田選手が8周ほどハミルトン選手を抑えたのはいい走りをしてくれていたと思う。

 ハミルトン選手は角田選手をパスしたあと、さらにその前を抜いていったことを考えると、彼らのパフォーマンスは高かった。それに対してちゃんとマネージして2位を取ったことは重みがあると思う。

──レース前、ハミルトン選手はどこまで来ると思っていた?

田辺氏:特にない。

──今回ハミルトン選手がエンジンを交換した。メルセデスはフレッシュなエンジンの方が馬力あると説明しているが、ホンダも同様の考え方か?

田辺氏:われわれのエンジンも当然使い込めば劣化はあり、その辺りをマネージしながら使っていくという状況になっている。しかし、10グリッドペナルティをとってまで交換する方が得ということはない。

──今週末は日本GPの代わりとして特別カラーリングなどで戦ったが、週末を終えてみてどういう気持ちか?

田辺氏:今日のレース前の朝にライブイベントでお話をさせていただいた。そのときにレースが行われていない鈴鹿サーキットに、チームのウエアを着たファンの方がいらっしゃったのはびっくりしたし、うれしかった。

Honda F1™ マネージメント LIVE セッション

 そのライブイベントなかで(そうしたファンの姿に)人間なので一段と高ぶるというお話をさせていただいたが、その意味では本当は優勝したかったが、今週末の彼我の性能差を見ればその差は明らかでいかんともし難かったが、2チーム4台が完走できて、表彰台に白いレーシングスーツの2人が立ち、スペシャルカラーリングが何度も映像に映し出されたのはよかった。負けたのは事実だが、よろこぶべき最高のパフォーマンスを引き出せたという日になったと思っている。


 今回のトルコGPで、今シーズンの欧州内のグランプリは終了し、10月22日~24日に行なわれるアメリカGPを皮切りに、北米、南米、そして中東と転戦し、最終的に12月10日~12日に予定されているアブダビGPでフィナーレを迎える。泣いても笑っても残り6レースで、フェルスタッペン選手とハミルトン選手のチャンピオン争いには決着がつくことになる。ホンダ最終年に悲願のチャンピオン獲得なるか、今シーズンのF1も佳境を迎えつつあるということができるだろう。

F1第16戦トルコGP 決勝結果

順位号車ドライバー車両周回数タイムポイント
177バルテリ・ボッタスメルセデス581時間31分04秒10326
233マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ58+14.584秒18
311セルジオ・ペレスレッドブル・レーシング・ホンダ58+33.471秒15
416シャルル・ルクレールフェラーリ58+37.814秒12
544ルイス・ハミルトンメルセデス58+41.812秒10
610ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ58+44.292秒8
74ランド・ノリスマクラーレン・メルセデス58+47.213秒6
855カルロス・サインツフェラーリ58+51.526秒4
918ランス・ストロールアストンマーティン・メルセデス58+82.018秒2
1031エステバン・オコンアルピーヌ・ルノー57+1周1
1199アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ57+1周0
127キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ57+1周0
133ダニエル・リカルドマクラーレン・メルセデス57+1周0
1422角田裕毅アルファタウリ・ホンダ57+1周0
1563ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス57+1周0
1614フェルナンド・アロンソアルピーヌ・ルノー57+1周0
176ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス57+1周0
185セバスチャン・ベッテルアストンマーティン・メルセデス57+1周0
1947ミック・シューマッハハース・フェラーリ56+2周0
209ニキータ・マゼピンハース・フェラーリ56+2周0

ドライバーランキング(F1第16戦トルコGP終了後)

順位ドライバー車両ポイント
1マックス・フェルスタッペンNEDレッドブル・レーシング・ホンダ262.5
2ルイス・ハミルトンGBRメルセデス256.5
3バルテリ・ボッタスFINメルセデス177
4ランド・ノリスGBRマクラーレン・メルセデス145
5セルジオ・ペレスMEXレッドブル・レーシング・ホンダ135
6カルロス・サインツESPフェラーリ116.5
7シャルル・ルクレールMONフェラーリ116
8ダニエル・リカルドAUSマクラーレン・メルセデス95
9ピエール・ガスリーFRAアルファタウリ・ホンダ74
10フェルナンド・アロンソESPアルピーヌ・ルノー58
11エステバン・オコンFRAアルピーヌ・ルノー46
12セバスチャン・ベッテルGERアストンマーティン・メルセデス35
13ランス・ストロールCANアストンマーティン・メルセデス26
14角田裕毅JPNアルファタウリ・ホンダ18
15ジョージ・ラッセルGBRウイリアムズ・メルセデス16
16ニコラス・ラティフィCANウイリアムズ・メルセデス7
17キミ・ライコネンFINアルファロメオ・レーシング・フェラーリ6
18アントニオ・ジョビナッツィITAアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1
19ミック・シューマッハGERハース・フェラーリ0
20ロバート・クビサPOLアルファロメオ・レーシング・フェラーリ0
21ニキータ・マゼピンRAFハース・フェラーリ0

コンストラクターランキング(F1第16戦トルコGP終了後)

順位チームポイント
1メルセデス433.5
2レッドブル・レーシング・ホンダ397.5
3マクラーレン・メルセデス240
4フェラーリ232.5
5アルピーヌ・ルノー104
6アルファタウリ・ホンダ92
7アストンマーティン・メルセデス61
8ウイリアムズ・メルセデス23
9アルファロメオ・レーシング・フェラーリ7
10ハース・フェラーリ0