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トヨタ 豊田章男社長の発言がスーパーフォーミュラ改革のきっかけ 「改革のモチベーションになった」とJRP上野取締役

2021年10月30日 発表

2020年スーパーフォーミュラ開幕戦を訪れたトヨタ自動車株式会社 代表取締役 豊田章男氏(左)。にゃんこ大戦争マスク、ポロシャツ、短パンというカーガイルックでグリッドを楽しんでいた

2020年のスーパーフォーミュラ開幕戦を訪れた豊田章男社長

 スーパーフォーミュラは2023年に向け、ドライバーズファーストやデジタルシフト、カーボンニュートラルフューエル導入を主軸とする「SUPER FORMURA NEXT 50(ネクストゴー)」(以下、NEXT50)という改革に取り組んでいくが、そのきっかけにトヨタ自動車 豊田章男社長の発言があったことが、NEXT50を担当するJRP(日本レースプロモーション)上野禎久取締役から明かされた。

 2020年のスーパーフォーミュラはコロナ禍のため開幕戦が8月末にずれ込み、8月29日~30日のツインリンクもてぎが開幕戦となっていた。その開幕戦に訪れたのは、トヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏。豊田社長はもちろんトヨタの社長でもあるのだが、自動車工業会の会長でもあり、スーパーフォーミュラに参戦するルーキーレーシングのオーナーでもある。また、ニュルブルクリンク24時間レースや水素カローラでスーパー耐久に参戦する「モリゾウ選手」でもある。

 その豊田章男社長は真夏のためか、にゃんこ大戦争マスクでもてぎに登場。グリッドで出会った記者に対して「世界レベルのレースがここにある」と紹介してくれたのが印象的だった。

 その際に、J SPORTSのインタビュアーである柳田真孝選手の質問に答える形でスーパーフォーミュラの印象をコメント。「このレースほど速いクルマがそろっているものはありませんし、世界で戦っているすごいドライバーがそろっているレースもありません。その割りにはと言ってはなんですけど、ちょっと盛り上げが少ないと思いますので。みんなで、みんなでね、世界レベルのレースがここにある、日本で見られるんだよと。世界レベルのドライバーが集まっているんだよと。もうちょっと私も声を大にしていくので。よろしく応援を、みんなで楽しめるような雰囲気作りをお願いしたいなと思います」(モリゾウ選手こと豊田章男社長)と、モータースポーツファンに対して強いメッセージを発していた。

トヨタ 豊田章男社長、にゃんこ大戦争マスクでスーパーフォーミュラに登場 「世界レベルのレースがここにある」

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1273795.html

 スーパーフォーミュラを運営するJRP取締役である上野氏は、この開幕戦でいくつかミーティング。同内容のことを豊田章男社長から伝えられたようで、「最初はほめられているのかと思ったけど、ガツンとやられた」(上野氏)と、このときのことがドライバーズファーストやデジタルシフト、カーボンニュートラルフューエル導入といったスーパーフォーミュラの大改革を進めるモチベーションになったという。

豊田章男氏の発言が改革のモチベーションになったと明かすJRP上野禎久取締役

 この上野氏の発言をきいてから当時の豊田章男社長の発言を振り返ると、「このレースほど速いクルマがそろっているものはありませんし、世界で戦っているすごいドライバーがそろっているレースもありません」という部分にドライバーズファーストの思想が入っており、「みんなで、みんなでね、世界レベルのレースがここにある」という部分にデジタルシフトによる情報発信につながっているような気がする。

 一方、カーボンニュートラルフューエルによる環境対応の部分は、「カーボンニュートラルにおいて私たちの敵は炭素であり、内燃機関ではありません」(2021年9月10日 自工会 豊田章男会長)という部分を反映したものだろう。トヨタとしては先日のBEVである「bZ4X」やHEV、FCEVなどさまざまな電動車を手がけているが、2050年のカーボンニュートラルに向けては電動車だけが答えではないとし、カーボンニュートラルの選択肢を広げるために、自身がモリゾウ選手として水素自動車でレースを行なっている。

 スーパーフォーミュラとSUPER GTでは同じカーボンニュートラルフューエルを導入するとしており、トヨタやホンダ、日産はそこに取り組むことでまた違った選択肢を広げていこうとしているわけだ。

 その結果をデジタルシフトしたスーパーフォーミュラで世界中に発信することで、世界のモータースポーツや自動車メーカーにカーボンニュートラル実現の解決策の1つを示し、同時に日本のスーパーフォーミュラに参戦するドライバーのレベルの高さを知ってもらうきっかけにできるのは間違いない。

 NEXT50はそうした背景をもってJRPが策定したプロジェクトであり、スーパーフォーミュラが名実ともに日本やアジアを代表するモータースポーツになれるかどうかの鍵を握っている。

 上野氏は、12月1日以降はJRPの社長としてこの大規模プロジェクトに取り組んでいく。

自身がオーナーを務めるルーキーレーシングと打ち合わせる豊田章男社長ではなく、豊田章男オーナー(中央右)。世界最大級の自動車会社の社長は、モータースポーツが大好きなカーガイでもある