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ランボルギーニ、40年前に発表した最後のグランドツーリングセダン「ジャルパ プロトタイプ」の裏話とは

2021年11月16日(現地時間) 発表

誕生から40年を迎えるランボルギーニ「ジャルパ」

ジュネーブモーターショーで発表されたプロトタイプの秘密

 ランボルギーニは11月16日(現地時間)、V型8気筒エンジンをリアミッドに搭載したランボルギーニ最後のグランドツーリングセダン「ジャルパ(Jalpa)」が誕生40周年を迎えたことから、1981年にジュネーブモーターショーで発表したジャルパのプロトタイプに関する特別な裏話を公開した。

 闘牛の品種「Jalpa Kandachia」が車名の由来となるジャルパは「ウラッコ(Urraco)」と「シルエット(Silhouette)」の最終進化形として、全体的なアーキテクチャを踏襲しながら、3.5リッターに大型化したエンジンを備えたモデル。タルガトップのオープンルーフを持つ輪郭は、カロッツェリア・ベルトーネで1980年からスタイルディレクターを務めていたフランス人デザイナーのマルク・デシャン氏の手によるもので、当時ランボルギーニのゼネラルマネージャー兼テクニカルディレクターであったジュリオ・アルフィエーリ氏の影響を直接受けたと言われている。なお、アルフィエーリ氏もジャルパのデザインの一部を手掛けているという。

 ジャルパの最も重要な技術革新は、チェーン制御の4本のOHC(オーバーヘッドカム)を備えた完全アルミ製の90度V型8気筒エンジンにある。これはウラッコとシルエットに搭載されていたエンジンのボアを拡大し、3.5リッター(3485cc)へと排気量をアップさせ、ウェーバー42DCNFツインキャブレター4基を装着したもの。圧縮比9.2:1で、最高出力255HP/7000rpm、最大トルク32kgfm/3500rpmを生み出し、最高速は248km/hにまで達した。

 1981年のジュネーブモーターショーで発表されたジャルパのプロトタイプは、特殊なブロンズカラーであったことと、量産モデルには採用されなかった外見的な特徴を備えており、そのベースとなっていたのは実はシルエットで、製造はされたものの販売に至ることなく工場に戻され、新モデルに使用されたという裏話がある。

 その後、1982年に量産が開始されたジャルパは、セミモノコックの鋼製のボディに黒のバンパーとエアインテーク、横長のリアランプを備え、コンセプトカー「アトン(Athon)」からそのまま受け継いだ16インチの合金ホイールに、ピレリ P7 ロープロファイルタイヤを装着。

 インテリアはレザーとカーペットをふんだんにあしらった贅沢な仕立てで、取り付け・取り外しが簡単にできるオープンルーフは、リアシート後方の専用スペースに収納できるデザインとなっていた。当時の専門誌に数多く見られた試乗記では、エキスパートたちがジャルパのストレートで積極的、そして妥協のないハンドリングを熱狂的に報じていたとのこと。

 1984年のジュネーブモーターショーで発表された「シリーズII」では、外見に若干変更が加わり、バンパーとエアインテークがボディと同色になり、リアランプは丸みを帯び、インテリアも一新。そしてジャルパは最終的に420台が生産され、1988年に生産終了となった。

 ジャルパはV8エンジンを搭載して生産された最後のランボルギーニのグランドツーリングセダンであり、歴史的に見てもこのクラスでこのエンジン排気量と搭載位置を採用した最後のスポーツカーでもある。コンセプト的には2003年に誕生した「ガヤルド(Gallarbo)」の直系の前身モデルであり、そのガヤルドはランボルギーニの歴史の中で最も売れた車種の1つとなっている。