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スプーン、「シビックTYPE R」で米サンダーヒル25時間レースに挑みクラス優勝

2021年12月24日 発表

スプーンが手掛けたホンダ「シビックTYPE R(FK8型)」

左ハンドルの北米仕様ロードカーをベースに仕上げたシビックTYPE R

 ホンダ車のチューニングを手掛けるスプーンは12月24日、アメリカのカリフォルニア州サンダーヒルズレースウェイにて12月4日~5日(現地時間)に開催された「サンダーヒル25時間レース」にホンダ「シビックTYPE R(FK8型)」で出場し、総合10位、E0クラス優勝を果たしたと発表した。

 サンダーヒルズ25時間レースは、米NASAが運営する「プロトタイプカー」や「アメリカンGTレーサー」「BMW M3」などのミドルクラスツーリングカーから、マツダ「MX-5ミアータ」といったコンパクトカーなど、7つのクラス区分が混走する耐久レースで、山田英二選手、松井猛敏選手、中島保典選手、吉原大二郎選手、キャメロン・パーソンズ選手、アーロン・ワン選手に、スプーン創業者である市嶋樹氏を加えた計7名のドライバーで挑んだという。

レース出走前のドライバーたち

 参戦車両のシビックTYPE Rは、左ハンドルの北米仕様ロードカーをベースに、ロールケージやレース用燃料タンクなど安全装備を架装した車両で、日本国内規則のN1レベルの改造が施された車両。ビッグタービン、ビッグスロットルや大容量ラジエターなどを装備し、クアイフ製シーケンシャル6MTに換装したほかは、自社のオリジナルドライブシャフト、試作LSD、前後エアロバンパー、エアロミラー、クレーンネックウィング、N1マフラーなどを装着。足まわりはKW製の別タンク式3ウェイダンパーを装備。エンジンは最高出力330PS/6300rpm、最大トルク485Nm/4200rpmを発生するという。

完成したばかりのシビックTYPE Rは、そのままタイムアタック大会でシェイクダウン

 2021年10月下旬に完成したというシビックTYPE Rは、11月上旬にラスベガスで開催されたSEMAショーに展示し、その後カリフォルニア州のバトンウィローレースウェイで行なわれたグローバルタイムアタックイベントにてシェイクダウン。

 その後すぐに移動し、12月2日のフリープラクティスで山田選手、松井選手、中島選手、ワン選手が初めてサンダーヒルズレースウェイを走行し、マシンのセットアップと合わせて慣熟走行が行なわれたという。そして、翌日には公式予選があり、山田選手がタイムアタックし、クラス2番手グリッドを獲得。

 12月4日の決勝は天候にも恵まれ、11時にスタート。先頭ドライバーの山田選手は、スタート直後に第1コーナーで発生したアクシデントを避けて、安定した周回を続け、2番手の松井選手に交代。スタートから2時間経過後にはクラストップに浮上。その後、ドライバー交代しながらレースリーダーのまま序盤の周回をこなしたが、約7時間後の日暮れと共にレーストラック周辺に霧が立ち込め、その後濃霧のため視界不良となりレースは一旦中断。夜が明けて霧が晴れるとレースが再開され、その後もシビックTYPE Rはトラブルなく周回を重ね、15時に市嶋氏がチェッカーを受け、出走38台中総合10位、E0クラス優勝を果たした。

 ドライバーの松井選手は、「アメリカの耐久レースは初めての経験でしたが、サーキットはコース幅が狭く目標物が何もないので覚えるのに少し時間がかかりました。クルマとタイヤを労わる走りを肝に銘じていましたが、シビックTYPE Rはクルマの仕上がりがとてもしっかりしていて、余裕を持って走ることができました。また、時間をおいて乗ってもヤレたような印象もなく、最後までしっかり走り抜いてくれました。日本チームがなかなか海外レースに挑戦できない中、頑張ってチャレンジした甲斐がありました」と述べている。

 また、フォーミュラドリフトドライバーとして現地でも人気のある吉原大二郎選手は、「シェイクダウンからドライブして、多くのトラブルを経験していたのでレース本番までは期待と不安が入り混じった状態でした。しかし、レースではそれまでの状況が嘘のように一切のトラブルが起きず、無事に完走でき安心しました。決勝レースでのシビックは自然なフィーリングで非常に乗りやすく、トラブルを対策して素晴らしいクルマに仕上げてくれたメカニックの皆んなに感謝しています。このような長丁場のレースを、伝統あるチームの一員として優勝できたことを非常にうれしく思っています」とコメントしている。

表彰台での様子
記念トロフィー