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メルセデス・ベンツ、「ヴィジョン EQXX」世界初公開 Cd値0.17で航続距離1000㎞超を誇るバッテリEV

2022年1月3日(現地時間) 公開

メルセデス・ベンツのEVプロトタイプ「ヴィジョン EQXX」

バッテリの小型化や車両の軽量化により航続走行距離1000km以上

 メルセデス・ベンツは2022年1月3日(現地時間)、バッテリEVのプロトタイプ「VISION EQXX(ヴィジョン・イー・キュー・エックス・エックス)」のワールドプレミアをオンラインにて行なった。

 世界初公開されたヴィジョン EQXXは、電動モビリティへの挑戦と同時に通過点であり、現代のユーザーが求める先進性とエモーショナルな欲求に、イノベーションを通じて応えたモデルとして位置づけられた1台。最新のデジタル技術とF1で培った開発スピードを駆使して、実際の交通状況を想定した独自のデジタルシミュレーションでは、100km走行あたり10kWh以下という優れたエネルギー消費量(1kWhあたり6マイル以上の効率)を実現し、1回の充電で1000km以上の走行を可能にしたという。

メルセデス・ベンツのEVプロトタイプ「ヴィジョン EQXX」。ホイールベースは2800mm。車両重量1750kg。システム最大電圧900V。最高出力150kW(約204PS)
ダイムラーAG取締役会会長 兼 メルセデス・ベンツ・カーズ統括 オラ・ケレニウス氏

 ダイムラーAG取締役会会長 兼 メルセデス・ベンツ・カーズ統括 オラ・ケレニウス氏は「メルセデス・ベンツ VISION EQXXは、私たちが電気自動車の未来を想像するものです。私たちはちょうど1年半前にこのプロジェクトを開始し、100km走行あたり10kWh以下という優れたエネルギー消費量を誇る、これまでで最も効率的なメルセデス・ベンツの開発に成功しました。コンパクトカーにも搭載可能なバッテリで、1回の充電で1000km以上の航続距離を実現します。VISION EQXXは、非常に多くの面で先進的なクルマであり、その外観も見事で未来的です。そして、このクルマは、私たちの会社全体が目指すべき方向性を示しています。私たちは、世界で最も魅力的な電気自動車を作るのです」と述べている。

ルーフにはソーラーパネルが搭載される

 ヴィジョン EQXXでは、メルセデス・ベンツの基本理念である「モダンラグジュアリー」と「センシュアルピュアリティ」を極めて先進的に解釈し、開発チームは、単にバッテリのサイズを大きくするのではなく、長距離走行時の効率を最大限に高めることに注力。ドライブトレインの効率、エネルギー密度、エアロダイナミクス、軽量化など、あらゆる面で工夫を凝らしたという。

 ダイムラーAGおよびメルセデス・ベンツAG取締役会メンバーで開発・調達担当の最高技術責任者であるマーカス・シェーファー氏は「ヴィジョン EQXXを支える技術プログラムは、将来のメルセデス・ベンツのモデルや機能を定義し、実現するものです。メルセデス・ベンツがラグジュアリーとテクノロジーを組み合わせたブランドであることを、自動車の世界だけでなく、それ以外の世界においても確固たるものにするためのハローカーとなります。そして、私たちが開発した方法は、クルマそのものと同様に革命的なものです。ヴィジョン EQXXはR&Dセンターの優秀なスタッフが、F1やフォーミュラEプログラムのエンジニアと協力して開発したものです。パワートレインがすでに高度に電動化されているモータースポーツの技術革新が、ロードカーの開発にもすぐに役立つことを証明しています。私たちは、革新的な精神と既成概念にとらわれない思考で、現在の開発プロセスに挑戦しています。これこそが真の前進なのです」とコメントしている。

 内装には持続可能な素材を採用し、二酸化炭素排出量の削減に貢献。UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンス)では、車幅いっぱいに広がる一体型ディスプレイを採用し、リアルタイムのグラフィックで生き生きと表現。また、クルマとドライバーの一体感を高めるUI/UXには、人間の脳の働きを模倣した技術も採用したとしている。また、ソフトウェア主導の開発プロセスにより、コンパクトカーやミディアムカー向けの次世代型MMA(メルセデス・ベンツ・モジュラー・アーキテクチャー)も組み込まれているという。

ヴィジョン EQXXの主要ポイント

エナジーウィザード

 100kmあたり10kWh以下というエネルギー消費量を達成(1kWhあたり6マイル以上の効率化)。

エレクトリックドライブ

 自社で設計・製造した画期的な新システムで、バッテリからホイールまでの伝達効率95%を達成。

レンジバスター

 公道での1回の充電で1000km以上(620マイル以上)の走行が可能で、航続距離への不安を払拭。

エネルギー密度

 専門エンジニアリングとF1チームの発想で、バッテリ開発チームはEQSのエネルギーをコンパクトカーサイズへの凝縮に成功。ヴィジョン EQXXのバッテリパックは約100kWhのエネルギーを持ちながら、すでにベンチマークとなっているEQSのバッテリパックよりも体積が50%少なく、30%軽量化している。

エアロチャンプ

 エクステリアデザイナーとエアロダイナミクスの専門家が、ベンチマークとなる空気抗力係数(Cd値)0.17を達成(ダイムラーの空力音響風洞で風速140km/hで測定した値)。

リアバンパー下部の一部は可動式となっていて走行条件によって延長する

サステナブルマテリアル

 革新的なリサイクル素材と植物由来素材を採用し、廃棄物を埋立地から取り除き、CO2排出量の削減に貢献する。

バイオニックエンジニアリング

 自然形態に着想を得て、新興企業と提携し、3Dプリンターを駆使しつつ、余分な材料を除去して軽量化と廃棄物の削減に貢献。

アップリフトマインドセット

 ハイパフォーマンス・パワートレイン(HPP)およびメルセデス・ベンツ・グランプリ(MGP)の世界最速のレースラボと協力して、高効率でコンパクトな電気ドライブトレインと軽量バッテリケースの開発に成功。

ローリングエフィシェンシー

 空力特性を最適化した超低転がり抵抗タイヤと軽量マグネシウムホイールの組み合わせで航続距離を延長。

超軽量ブレーキ

 アルミ合金製の軽量ブレーキディスクは、ヴィジョン EQXXの軽量化に貢献。

Efficiency On The Road

 F1と同じ軽量サブフレームを使用したEV専用シャシーにより、レース並みの効率性を市販車にフィードバック。

ソーラーパワー

 超薄型ルーフパネルからバッテリシステムへ給電し、最大25kmの航続距離延長を実現。

ヒューマンマシンマージ

 直感的でインテリジェントなUI(ユーザーインターフェース)と、効率的な運転のためのガイダンスとアシストによるUX(ユーザーエクスペリエンス)によりEV時代のさらなる調和を具現化。

Sensual Purity

 EVに特化したエクステリア/インテリアデザインを採用。

ファステックプログ

 革新的な技術をこれまでよりも早く量産化するための技術プログラムを実現。

トランスフォーメーション

 ヴィジョン EQXXは、メルセデス・ベンツがBEVとソフトウェア主導の企業へと変貌を遂げることを提示。

グローバル レスポンシブ リーダーシップ

 ヴィジョン EQXXは、メルセデス・ベンツの目標である「Lead in Electric」を加速させ、持続可能なモビリティのベンチマークを確立させた。