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トヨタ車体、「ダカールラリー2022」市販車部門で9連覇を達成 ランドクルーザー200シリーズはラストラン

2022年1月15日 発表

市販車部門で優勝したチームランドクルーザー・トヨタオートボデーの1号車

2台で協力してワンツーフィニッシュを達成し有終の美を飾る

 トヨタ車体のラリーチームである「チームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)」は、2022年1月2日~1月14日に開催された「ダカールラリー2022 サウジアラビア」の市販車部門で1号車(ゼッケンNo.242)の三浦/リシトロイシター組が優勝、2号車(ゼッケンNo.245)のバソ/ポラト組が準優勝し、ワンツーフィニッシュで市販車部門9連覇を達成したと発表した。

 TLCは、2009年大会から14年間にわたりランドクルーザー200シリーズでダカールラリーに参戦し、12回の優勝と2回の準優勝を獲得。世界中のユーザーやファンに、ランドクルーザーが持つ悪路走破性を長年にわたり証明し続けてきた。トヨタ車体は、今後もダカールラリーを起点とした「もっといいクルマづくり」に挑戦し続けるとしている。

 今大会でTLCのランドクルーザー200シリーズでの参戦はラストランとなるが、すでに「2023年大会から新型ランドクルーザー(300シリーズ)でダカールラリー参戦」を表明している。

今大会のTLCの戦況レポート

 今大会で3年目となる中東サウジアラビア王国での開催されたダカールラリー。ルートはサウジアラビア南部を中心に設定され、連なる広大な砂丘群や急傾斜のダウンヒル・岩場が待ち構え、複数の車両が転倒やパンクに見舞われたという。

 TLCは、市販車部門1、2位でスタートしたものの、2日目のステージでは、2号車が右後輪をパンクさせたほか、通過を義務付けられたウェイポイントを見つけられず、3位に後退。その後は今年から採用したTOYO TIRES製の力強いグリップ力を最大限に発揮する走りで徐々にペースを上げ、ワン・ツー態勢を堅守し前半を終了。

 後半戦は、柔らかな砂塵が舞い視界を遮られる砂漠地帯が中心で、今大会最長の800㎞を越えるステージも用意されるなど、前半以上に難易度の高いルート。1号車は、後半初日の7日目も好調を保ったままノースタック、ノーパンクで無事ゴール。2号車は砂丘越えで落ちるように地面に激しく着地したが、幸い車両に大きなダメージはなく、そのまま無事走行。

 11日目の難関である砂丘ステージでは、1号車が4本のパンクを喫したが、車両には規定に合わせて3本しかスペアタイヤを積んでいないため、2号車からスペアタイヤをもらって完走を果たすなど、チームワークでワン・ツーフィニッシュを果たした。市販車部門の完走率は40.0%と過酷な状況だったが、中間日にはメカニック陣が入念な点検整備を行ない、後半戦に備えて車両を徹底的にリフレッシュしたことで無事に完走を果たしたという。

参加台数と完走台数

部門参加台数完走台数完走率
4輪部門(市販車・改造車)18815683.0%
2輪部門(バイク)16413179.9%
トラック部門563358.9%
ダカールクラシックカー14212981.6%
合計55044981.6%

チームスタッフのコメント

トヨタ車体代表取締役社長 増井敬二氏

 ランドクルーザー200でのダカールラリーラストランとなる大会で、市販車部門9連覇を達成することができ大変うれしく思います。今大会は例年以上に難易度が高いルートだったことに加え、降雨により路面が荒れトラブルに見舞われた競技車も多く、戦況を固唾を飲んで見守っていました。このような状況の中、TLCの2台は8000㎞以上を走破し、ワン・ツーフィニッシュを果たしてくれました。いつもTLCを支えてくれているパートナー企業の皆さま、ファンの皆さま、ランドクルーザーに関わるすべての皆さまに感謝を伝えるとともに、この喜びを分かち合いたいと思います。そして今大会においても、ランドクルーザーが「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」であることを証明することができました。TLCのランドクルーザー200でのダカールラリー参戦は今年で最後となります。14年間にわたり「もっといいランクルづくり」のヒントを与え続けてくれた愛車に感謝するとともに、当社はこれからもダカールラリーを起点とした「もっといいクルマづくり」を進めてまいりますので、引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

チーム代表 本多篤氏(トヨタ車体 コーポレート本部 領域長)

 今大会、最大の目標であるランドクルーザー200ラストランでV9を達成してくれた、TLCメンバーとランドクルーザー200に「最後まで走り切ってくれてありがとう」と伝えたいと思います。新型コロナウイルスが世界的に広がり、チーム活動が満足に行なえない中でも、チーム一丸となってできる限りラリー車の性能を高め、ラリー本番では角谷監督をはじめチーフメカニックや、日仏メカニック、カミオンクルー、三浦ドライバーはじめ4人の選手たちが、自分を信じて、そしてクルマを信じてワンチームで戦い、素晴らしい結果を届けてくれたことに感謝したいと思います。今後我々は、ランドクルーザー200に代わり、昨年発表されたランドクルーザー300でのダカールラリー参戦という新たな挑戦を始めていきます。ランドクルーザー200が残してくれた9連覇という偉大な功績をランドクルーザー300でも継承し、世界中の皆さまにランクルのポテンシャルを見ていただけるよう努力してまいります。1年間のご支援とご声援ありがとうございました。

チーム監督 角谷裕司氏(トヨタ車体 総務部広報室 社員)

 ワン・ツーフィニッシュで市販車部門9連覇を達成することができて心からうれしいです。これは、ランドクルーザー200の高いポテンシャルのおかげであることはもちろんですが、今年新たに仲間に加わったTOYO TIRES製のタイヤによる安定かつ力強い走りが導いてくれた結果だと感じています。現地で悪路によるスタックやパンクなどのトラブルに見舞われた際も、チームメンバー全員が「絶対にランドクルーザー200で9連覇を達成する」という強い気持ちで粘り強く対応するなど、素晴らしいチームでラリーを戦えたことを誇りに思います。そして、ランクルファンの皆さんに2022年はじめの明るいニュースをお届けできたことを光栄に思います。ラリー期間中、たくさんの応援メッセージをいただき本当にありがとうございました。

1号車(242号車)ドライバー 三浦昂選手(トヨタ車体 総務部広報室 社員)

 私たちの242号車で、ランドクルーザー200のラストランに「9連覇」という最高のゴールをプレゼントすることができて、本当にうれしいです。自分のダカールラリー人生は、ランドクルーザー200がなければ語ることができません。これまで14年間、どんな道もランドクルーザー200で乗り越え、走り抜き、気が付けば約11万km以上、地球3周ほどの距離を走ってきました。ランドクルーザー200とともに得た学びを積み重ねてきたからこそ、ここまで走り続けることができ、9連覇を達成することができたと思っています。これまでのダカールラリー参戦で得た経験やノウハウを、来年からは新型のランドクルーザー300に引継ぎ、10連覇という新たなチャレンジを、チームメンバー一丸となって目指していきたいと思います。たくさんのご声援ありがとうございました。

1号車(242号車)ナビゲーター ローラン・リシトロイシター選手

 まずは、ランドクルーザー200ラストランという節目の年を9連覇で飾ることができ、また、自分がその連覇に貢献できたことをとてもうれしく思います。TLCのメンバーになってから、ずっとランドクルーザー200とともに戦ってきました。今年はTOYO TIRES製のタイヤという武器を手に入れたおかげで、スタックやパンクをすることなく通過できたステージもありました。ナビが難しいルートではありましたが、素晴らしい走りができた大会でした。TLCはチームメンバーの結束も強く、年々いいチームになってきていると感じます。来年以降も、経験を活かしてチームの連覇に貢献していけるよう、努力を重ねていきたいと思います。

2号車(245号車)ドライバー ロナルド・バソ選手

 チームの連覇に貢献することを目標に、1号車と切磋琢磨して走りました。今大会は降雨など自然環境の厳しさとの戦いに加え、市販車部門のクルマでは走り切れないのではと思うほど、困難なルート設定により苦戦が強いられましたが、ランドクルーザーの強靭な耐久性と悪路走破性があったからこそ走り切れたと感じています。途中、タイヤのパンクなどのトラブルによりタイムロスして順位を落としてしまう日もありましたが、1号車をはじめ、ナビのポラト、日仏メカニック、サポートクルーの団結力で、無事ワン・ツーフィニッシュでゴールすることができて心からほっとしています。たくさんの応援ありがとうございました。

2号車(245号車)ナビゲーター ジャン・ミッシェル・ポラト選手

 私の長いダカールラリー参戦歴の中でも市販車部門での挑戦はまだ2年目ですが、ランドクルーザーはタフネスという点では改造車にも負けていません。ハイスピードな展開では苦しい場面もありますが、今回の様な難易度の高い、忍耐を要するセクションでは十分に総合争いができたと思います。TLCは、2台が協力し合うことで目標を達成するチームです。今回も1号車と力を合わせ何度かあったピンチをクリアし、市販車部門連覇にたどり着きました。もちろん、チームスタッフをはじめ、世界中のランクルファンと日本からの熱い応援のおかげでもあります。皆さんの気持ちを連覇という形にできたことが最大の喜びです。

日本人メカニック 中武佑太氏(福岡トヨタ自動車)

 ワン・ツーフィニッシュでの9連覇達成に貢献できて、とてもうれしく思います。これまで、日本人メカニックの多くは2回ダカールラリーを経験したら次のメカニックへバトンタッチしてきましたが、今回3回目のダカールラリーメカニックのチャンスをいただけたので「このチャンスを絶対に無駄にしてはいけない」と新人の時のように気を引き締めてサウジアラビアに入りました。フランス人メカニックや、今年から仲間に加わった穴見メカニックと連携しながら、夜を徹して整備するなど、今回もさまざまな経験を積むことができました。無事2台がゴールを迎え、素晴らしい結果を手にすることができて、心から安堵しています。ダカールラリーの緊張感も少し楽しめたように思います。日本からの熱いご声援ありがとうございました。

日本人メカニック 穴見直樹氏(福岡トヨタ自動車)

 市販車部門9連覇に少しでも貢献することができて、心からうれしいです。今回が自分にとって初めてのダカールラリーで、最初はすごく緊張しました。モロッコラリーでチームに帯同しましたが、やはりダカールラリーは現地の空気感などが全然違いました。しかし、中武メカニックやフランス人メカニックに、メンタルの面や技術の面でもサポートしてもらうことで、戸惑いつつもやりきることができたと感じています。毎日同じことは1つもなく、今まで体験したことのない環境の中で、夜通し整備をしたことは日本では得られない経験だったと思います。来年までにやるべき課題が見えてきたので、この1年さらに勉強していきたいと思います。応援していただいた皆さん、ありがとうございました。