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シーズン開幕まで約1か月、新型「Z GT500」も参加したSUPER GT公式テスト岡山

2022年3月12日~13日 開催

新型となったNissan Z GT500は4台がエントリーしている。エースナンバーの23号車は「MOTUL AUTECH Z」になる

新型Z GT500が注目となるGT500クラス

 SUPER GTの2022年シーズンの幕開けを告げる公式テストが3月12日~13日の2日間にわたって岡山国際サーキット(岡山県美作市)で開催された。2021年の11月末に昨シーズンを終えたSUPER GTシリーズは、2か月ほどのシーズンオフを経て1月下旬から各自動車メーカーやタイヤメーカーのテスト、チームごとのプライベートテストが各地のサーキットで実施されてきた。

 2022年のSUPER GTにエントリーするマシンがそろうのは今回の公式テストが初となり、GT500では各メーカーの、GT300ではチームごとの勢力図が見えてくる。また、岡山県は3月6日にまん延防止等重点措置が解除されたこともあり、2日間の公式テストには多くの観客がサーキットを訪れていた。

 2022年シーズンの年間エントリーはGT500が15台、GT300が28台となっているが、今回のテストはGT500が全車の15台、GT300は25台が出走した。

 GT500は日産が2008年から14シーズンにわたって参戦してきた「NISSAN GT-R NISMO GT500」から「Nissan Z GT500」にマシンを変更したことが最大の注目点になる。また、2020年から2021年シーズンにかけては車両開発が凍結されていたが、今季は2021年シーズンに対して空力パーツの変更が許されている。そのため、昨シーズンと同様のTOYOTA GR Supra GT500とHonda NSX-GTは2022年バージョンの空力パーツが装着されている。

カラーリングは完成形ではなく、ボディ各所でエアロ開発が行なわれている
2021年は5シーズンぶりに優勝を果たし、今季も優勝が期待される12号車のカルソニックIMPUL Z
3号車のCRAFTSPORTS MOTUL Zは千代勝正選手と高星明誠選手がステアリングを握る
Z GT500では唯一の横浜ゴムユーザーとなる24号車のリアライズコーポレーションADVAN Z
GT500は2020年から2021年シーズンにかけては開発が凍結されていたが、今季は空力パーツの変更が許されている。NSX-GTも空力面の開発が進む
GR Supraも2021年モデルとは異なる意匠となる

GT300規定が増えたGT300クラス

念願のシリーズチャンピオンを獲得した61号車のSUBARU BRZ R&D SPORT。今季はBRZをはじめ8台のGT300規定車両が参戦する予定となる

 25台が出走したGT300は、シリーズチャンピオンを獲得したSUBARU BRZ GT300と同様のGT300規定で製作したマシンが増えていた。新規参入した20号車のシェイドレーシングGR86 GTや30号車のapr GR86 GTはGR86と同様の意匠で仕上げられている。今回のテストには参加できなかった3台もGT300規定のマシンとなるので、28台中9台がGT300のマシンとなる。

 ちなみに自動車メーカーが提供しているGT3マシンは17台、GTAの共通シャシーとなるMC(マザーシャシー)を使用するマシンが2台というのがGT300の内訳となる。

30号車はプリウスからGR86 GTにマシンをチェンジした
新規参戦となる20号車のシェイドレーシングGR86 GT
2021年シーズンからGT300マシンに変更した60号車のSYNTIUM LMcorsa GR Supra GT
31号車のapr GR SPORT PRIUS GTは、GT300マシンのなかで唯一のモデルとなる

 公式テストのプログラムは初日(3月12日)、2日目(3月13日)ともに2時間の走行セッションが2回あり、2日間で計4セッション、8時間の走行テストとなった。2月は寒気の影響で平年よりも寒い日が続いたが、公式テストが実施されたこの週末は春の気配が感じられる暖かい天候となった。天気も12日は快晴、13日は曇り空となったがともにドライコンディションでの走行となった。

 12日10時から走行がスタートしたセッション1は、昨シーズンのシリーズチャンピオンとなる36号車au TOM’S GR Supraが1分18秒150のトップタイムをマーク。注目のNissan Z GT500勢は、12号車のカルソニックIMPUL Zが8番手、23号車のMOTUL AUTECH Zが9番手、3号車CRAFTSPORTS MOTUL Zが11番手、24号車のリアライズコーポレーションADVAN Zが15番手となった。

 セッション2は14時からスタートし、このセッションでは17号車のAstemo NSX-GTが1分18秒215でトップとなり、2番手には3号車、4番手には12号車が入りNissan Z GT500も仕上がりの高さを示した。

 13日のセッション3はセッション1より1時間早い9時からのスタート。気温は13℃、路面温度は16℃と前日と同様に午前中から暖かい日となった。前日からの好調さをキープしたのは36号車でセッション1とほぼ同様の1分18秒116のトップタイムを刻む。2番手には23号車、3番手には3号車のNissan Z GT500が続いた。

 最後の走行枠となったセッション4の前にはスタート練習なども実施され、開幕戦への向けた準備も滞りなく進んでいる。

 セッション4は各チームともに決勝レースを想定したテスト内容だったようで、セッション3のタイムを更新するマシンは少なかった。ディフェンディングチャンピオンの36号車が速さを見せ、Nissan Z GT500も好調さを示したが、公式テストはすべての手の内を明かさないのが通例。そのため、今回の結果が開幕戦でどのくらい反映されるのかも注目したい。

ディフェンディングチャンピオンとなる36号車のau TOM'S GR Supraは仕上がりのよさを見せ、初日、2日目ともに総合トップのタイムを記録
12日の午後に行なわれたセッション2は、17号車のAstemo NSX-GTがトップタイムをマーク

一方のGT300は、87号車と88号車のLamborghini HURACAN GT3が初日は速さを見せた。セッション1は88号車が1分25秒210でトップタイム、セッション2は87号車が1分26秒149のタイムをマーク。注目のGT300規定のマシンは2021年の大活躍によって性能調整が入り、エンジンへの吸入空気量を調整するリストリクターのサイズが絞られている。この性能調整によって昨シーズンとは様相が異なっているようだ。

 だが13日のセッション3、セッション4は、52号車の埼玉トヨペットGB GR Supra GTが奮起し1分25秒917でトップタイムを記録した。GT500と同様で各チームのテストプログラムが異なるので、一概に公式テストでマークしたタイムが実力を現すわけではないが、今季はGT3勢が上位に入る回数が増えそうだ。

12日のセッション1でトップタイムをマークした88号車のLamborghini HURACAN GT3。公式テストの時点では車両名がTBNとなっている
セッション2でもLamborghini HURACAN GT3が速さを見せ、初日は87号車と88号車がトップタイムを刻んだ
テスト2日目となる13日は52号車の埼玉トヨペットGB GR Supra GTがトップで、GT300マシンのポテンシャルの高さを示した

 バラエティ豊かなマシンがそろうことで人気のGT300だが、前述のようにGT300規定マシンが大きく増えた。今回は参加していない2号車のmuta Racing GR86 GTと20号車、30号車が新型GR86。25号車のHOPPY Schatz GR Supra、52号車、60号車 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT、244号車のHACHI-ICHI GR Supra GTの4台がGR Supra GT、61号車がSUBARU BRZとなる。

 そのほかの注目マシンは、国内初登場でGT300では唯一のミシュランタイヤユーザーとなる7号車のStudie BMW M4や毎年シリーズチャンピオン争いに加わる4号車グッドスマイル初音ミクAMG、55号車ARTA NSX GT3、56号車リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R。開幕戦がチームの地元でホームコースとなる96号車のK-tunes RC F GT3は、GT300の最多勝を競っていたベテランドライバーの新田守男選手と高木真一選手が12年ぶりにコンビを組むこととなり話題となっている。好調さを示すGT3勢にGT300規定のマシン、マザーシャシー勢がどのように対抗していくかが見物となりそうだ。

国内初お披露目となった7号車のStudie BMW M4。第1ドライバーの荒聖冶選手と第3ドライバーの近藤翼選手がステアリングを握った
4号車のグッドスマイル初音ミクAMGは谷口信輝選手が欠席となったため片岡龍也選手が2日間ともテストを行なった
GT300クラスの白熱した戦いは55号車のARTA NSX、56号車のリアライズ日産メカニックチャンレジGR-R、65号車のLEON PYRAMID AMGも注目の存在
新田守男選手と高木真一選手のベテランドライバーコンビとなった96号車のK-tunes RC F GT3。新田選手はGT300最多勝を伸ばせるかが注目される

 1回目の公式テストが終了した2022年のSUPER GTシリーズは、3月末に富士スピードウェイで2回目の公式テストが予定されている。4月16日~17日には岡山国際サーキットで開幕戦が実施される。開幕戦の観戦チケットはすでに発売されているので、岡山国際サーキットのWebサイトで確認してもらいたい。