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電気通信大学、新型コロナ患者移送用のトヨタ「ジャパンタクシー」でマイクロ飛沫の広がりを可視化する実験

2022年4月17日 実施

実験イメージ

 電気通信大学を中心とした研究チームは、新型コロナウイルス患者を移送するために改良したトヨタ自動車「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」を用い、特殊スモークによるマイクロ飛沫の広がりを可視化する実験を4月17日に袖ケ浦フォレストレースウェイ(千葉県袖ケ浦市)で実施する。

 同研究チームによると、新型コロナウイルスの感染拡大予防のためには「接触」「飛沫」「エアロゾル」という3つの感染経路ごとに複数の対策を講じることが重要と説明する。昨今、室内の二酸化炭素(CO2)の濃度を計測・可視化することにより室内の換気状態を良好な状態に保ち、仮に空気中に感染性のエアロゾルが存在したとしても、これらをいち早く排出させる手法が注目されているという。

 同研究チームではこれまでワクチン接種会場、商店街、音楽会場でのCO2濃度を可視化し、換気のための行動変容を支援するとともに、クラスターが実際に発生した複数の事業所に立ち入り調査し、原因究明と再発防止のための改善を行なってきた。今回はこうした建造物内でのクラスター対策の知見を活かし、実際に患者が移送される車両においても徹底的な調査を行なうとする。

 今回、袖ケ浦フォレストレースウェイでは新型コロナ患者を移送するために改良した境交通(チェッカーキャブ無線グループ)のJPN TAXIを用いて、特殊スモークによるマイクロ飛沫の広がりを可視化する実験を実施する。また、実験では高速走行中でもCDC(米疾病予防管理センター)が定める隔離病棟の換気基準や、陰圧室のガイドラインを満たした差圧状態であるかどうかも検証する。

 電気通信大学では今後もセンサやシミュレーション技術を駆使し、目に見えない換気の「可視化」と、市民が実践できる換気改善ノウハウの開発・普及に向けて継続的に実証実験を行なうとしている。

実証実験の詳細

実験日時:2022年4月17日
実験場所:袖ケ浦フォレストレースウェイ
実験実施者:石垣陽特任准教授(電気通信大学 情報学専攻)、横川慎二教授(電気通信大学 i-パワードエネルギー・システム研究センター長)、根本克己氏(境交通株式会社 代表取締役)、喜多村紘子氏(産業医科大学 産業医実務研修センター 准教授、産業医)
実験協力者:高野泰昭氏(face、モータースポーツコーディネーター)