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富士スピードウェイに作られる謎の巨大建造物 大きなグラスエリアの屋上にはレース観戦エリアを用意

富士モータースポーツフォレスト発表会で公開されたイメージ図。ルーキーレーシングガレージの向かいに巨大な建造物を見ることができる

富士モータースポーツフォレストに作られる巨大建造物

 4月6日、トヨタ自動車と富士スピードウェイ、東和不動産は静岡県駿東郡小山町において「富士モータースポーツフォレスト」プロジェクトを推進することを発表した。この富士モータースポーツフォレストは、これまで「富士モータースポーツビレッジ(仮称)」と呼ばれてきたプロジェクトで、富士スピードウェイ一帯に「モータースポーツを起点とした街づくり」を行なっていくものだ。

 同日、トヨタ自動車 Lexus International Co./GAZOO Racing Company President 佐藤恒治氏と東和不動産 取締役社長 山村知秀氏はトヨタ自動車内で会見を行ないプロジェクトの概要について説明したのは関連記事でお届けしたとおりになる。

イメージ図全体

 会見当日、富士モータースポーツフォレスト(以下、フォレストと略。関係者はFMFと略すなどしているようだ)のイメージ図などが配布され、記者もそれを用いて記事を作成した。会見では山村社長や佐藤プレジデントの話を聞くことに注力していたため気がつかなかったが、記事を書いているときにフォレストのイメージ図に見たこともないような建物が描かれているのに気がついた。

 よく知られているように、建設業界は構造計算などの必要からコンピュータ化が早くから進んだ業界になる。とくに日本では耐震設計が厳しいことから、証券や銀行、保険業界並みに大型汎用コンピュータの導入が早かった。実際、記者の父も建設会社で電算課の課長をしているときがあり、子供のころにIBM システム360の紙テープやパンチカードが家にたくさんあった。東京 水道橋の本社では巨大なプロッタが図面を描き続けていたのを覚えている。

 そのため、現在はイメージ図といっても、雰囲気で描かれているわけではなく、そこにはすでに設計図面がある程度できあがっているものと思われる。VR(仮想現実)ではないが、いずれ作り上げられるリアルな世界が投影されていると思ってもよいのでないだろうか。

 そういった目でこのイメージ図を見てみると、先日竣工したルーキーレーシングのガレージ棟の左側(西南)に巨大な建物が描かれているのが分かる。美術館のような先鋭的デザインの外観を備え、ガラス張りといってもよいような大きなグラスエリアを備える。

 さらに内側にも、外側にもスロープがあり、外側のスロープや階段を上っていくとガラス(アクリルかも?)の柵を備える屋上に到達する。そこでは、富士スピードウェイの最終コーナーなどを見学する観客が描かれ、サーキットの熱い戦いを望めるようになっているのだ。

 富士スピードウェイ内の建物なのか、外の建物なのかと思って巨大建造物の入口を探していくと、どうもルーキーレーシングのガレージ棟と空中回廊で結ばれているように見える。その空中回廊の左下に入口を発見、そこにはドット状とはなるのだが「ROOKIE RACING」とロゴが掲出されているのを読み取ることができた。

巨大建造物の屋上。レーシングコースを見ることができるようだ
ルーキーレーシングガレージ1期棟と空中回廊で結ばれているのだろうか?
こちらはルーキーレーシングのガレージ3期棟だろうか?
こちらも謎の建物。もしかしてガレージ4期棟? はてなマークが頭に一杯浮かぶ

謎の建物はレーシングチームでの共同使用を想定するルーキーレーシング2期棟

 この巨大建造物の隣にすでに竣工しているのがルーキーレーシングのガレージ。竣工式にルーキーレーシング代表である豊田章男氏に話をうかがった際、現在竣工しているルーキーレーシングのガレージは1期棟であり、2期棟、3期棟を予定していると語っていた。1期棟にはフォレストに集うチームガレージの人たちのためにレーシングシミュレータやジムなども用意。そのほか、一般の人が見学できるようなエリアを中2階に設けており、それを利用して屋上からは富士スピードウェイのレースを楽しんでもらえるようにする構想になっている。

 その際に、フォレストの1本目の木がルーキーレーシングガレージの1期棟であり、その木に集うように富士スピードウェイホテルや富士モータースポーツミュージアムが開業。ルーキーレーシングとしても、2期棟、3期棟を用意しているという驚きの話を語っていた。

 2期棟について質問してみた際は、ルーキーレーシングだけが使うのではなく、フォレストに集まった各チームのガレージからクルマを展示できるものになるとのことだったので、記者はてっきりちょっとした展示スペースを備えた小規模なカーディーラーをイメージしていた。

 それが、このイメージ図を見る限りは、ルーキーレーシングガレージの1期棟を超える巨大建造物であり、ルーキーレーシングガレージの1期棟を越えて富士スピードウェイ観戦ができるような工夫がされている。さらに、ルーキーレーシングガレージ1期棟の見学コースである、中2階と空中回廊で結ばれているという、夢のようなデザインがなされている。

 豊田章男氏はフォレストの開発にあたって、自身の10歳の誕生日に行なわれた富士スピードウェイ初の第3回日本グランプリの体験を挙げ、自分が受けたような原体験を今の子供たちにできる場を作りたいというコメントを発表していた。

現在の富士スピードウェイ西ゲート。桜と富士スピードウェイホテルの組み合わせが美しい
富士スピードウェイホテルは、桜、富士山、そして世界的なレースを望めるホテルになる
こちらはコース側からホテルを撮影したもの。ホテルが見えるということは、ホテルからもコースが見えることになる
同じく富士のコース内側からルーキーレーシングのガレージ1期棟を撮影。ダンロップブリッジからの攻防を見られることが分かる。もちろん富士も楽しめる

 その熱い思いはインタビューなどを通じで理解していたつもりだったものの、そのスケールの大きさは想像を遙かに超えていたことになる。イメージ図からある程度読み取った後、関係各所に確認などを行なってみたが、この巨大建造物はルーキーレーシングガレージの2期棟であるのは間違いないようだ。

 気になるのは完成時期だが、すでに外観などが完成している富士スピードウェイホテルの2022年秋よりは遅くなるものの、来期のモータースポーツシーズンには間に合うよう進行しているらしい。来年の桜が咲くころには、その巨大な建物の全貌を見ることができるだろう。