ニュース

スーパーフォーミュラ定例会見、上野社長が新たにパートナーとなった東京電力エナジーパートナーと日本自然エネルギーを紹介

4月6日~7日に行なわれた新型車両開発のテストに関して説明する株式会社日本レースプロモーション 代表取締役社長 上野禎久氏、石浦宏明選手、株式会社日本レースプロモーション テクニカルアドバイザー 永井洋治氏(写真左から)

 全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕戦となる第1戦・第2戦富士が4月9日~10日の2日間にわたり、富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催されている。9日にはプロモーターであるJRP(日本レースプロモーション)による定例会見(サタデーミーティング)が実施され、スーパーフォーミュラの次世代車両に向けた開発テストの総括や、次戦となる「2022 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース」のイベント紹介などが行なわれた。

ルーキーオブザイヤーの規定を変えて、2人のルーキーによるルーキーオブザイヤー争いが可能に

株式会社日本レースプロモーション 代表取締役社長 上野禎久氏

 JRP 代表取締役社長 上野禎久氏は「スーパーフォーミュラの次世代に向けたDXの取り組みは進展しており、すでに今回のレースからYouTubeライブによる配信が始まっており、第1戦に関しては無料で開放しているので、ぜひ試して見てほしい。また、昨年まではルーキーオブザイヤーは、4戦未満のドライバーが3人以上いれば成立するとしていたが、今シーズンからそれは2人に変更する。これにより、Team Gohの2人のドライバー(筆者注:佐藤蓮選手、三宅淳詞選手の2人)がこれに該当し、最終までルーキーオブザイヤーをかけて競うことになり注目度が上がるだろうと考えている」と述べ、ルーキーオブザイヤーの規定見直しによる佐藤蓮選手、三宅淳詞選手によるルーキーオブザイヤー争いも今シーズンの見どころだと強調した。

 今シーズンから取り組みを開始しているSF NEXT 50(ネクストゴー)プロジェクトの進捗状況についても説明し、新しいデジタルプラットホーム「SFgo」について説明した。上野氏は「応募していただいたSFgo開発サポーターによる実証実験を行なっており、今のところ順調に21台のテレメタリデータなどを配信することができている。サーキットによっていろいろな条件があるので、全サーキットでテストして開発サポーターの声を反映しながら開発を進めていきたい」と述べ、順調に実証サービスを行なえていると説明した。

JRP上野社長と、東京電力エナジーパートナー、日本自然エネルギーの関係者

 先日(4月6日)発表された、東京電力エナジーパートナー、日本自然エネルギーという2社と、カーボンニュートラルの実現に向けたパートナー契約について、改めて説明が行なわれた。会見には関係者が姿を見せ、今回の第1戦、第2戦の富士スピードウェイで利用されている電力は再生エネルギー由来の電力となり、日本自然エネルギーが発行する「グリーン電力証書」(再生由来の電力を発電する発電所に対して開発、施設の維持などを実現するプレミアムを乗せた電力料金証書)を取得したことを説明。JRP上野氏は「まずはスーパーフォーミュラでこうした取り組みを開始し、徐々にほかのサーキットなどにも広げていきたい。業界一丸となってこうした取り組みを行なうことが大事だ」と、今後ほかのシリーズも含めて取り組みを広げていくことが大事だと強調した。

カーボンニュートラル実現に向けた燃料や素材のテスト。意外と違和感がなかったと石浦選手

石浦宏明選手

 次いで上野氏は、来期に導入を予定している新型車両に向けた開発テストに関しての説明を行なった。ホンダ、トヨタそれぞれのテスト車両が走り、バイオ素材によるカウル、カーボンニュートラル燃料が両メーカーのエンジンで問題がないか、そして新型車の空力を追い抜けるような仕様にするためのセッティングなどに関して実証実験を行なっている(今回はカーボンニュートラル燃料と空力の実験が行なわれた)。持続可能でドライバーファーストのレースという考え方で、追い抜きなどが容易になる空力で、カーボンニュートラルな燃料やレースカーを開発し、それを次世代車両で採用することが目的となる。

 ホンダエンジンを搭載した車両(通称:白トラ)を塚越広大選手が、トヨタエンジンを積んだ車両(通称:赤トラ)を石浦宏明選手がドライブする体制でテストが行なわれた。テストは4月6日~7日の2日間に実施された。

 今回の会見にはその石浦宏明選手とJRP テクニカルアドバイザー 永井洋治氏が会見に出席し、2日間のテストでの感想などに関して説明した。

 空力関係のテストに関して石浦選手は「SF19になるときもほかの車両を追走する実験をしたが、今回はダウンフォースレベルを大きく振ってテストしたことが大きな違い。ストレートで順番を入れ替えて、外、内などさまざまなパターンをテストした。想像していたとおりのところもあるが、そうではない課題も見つかって有意義なテストになり、想像していた以上にいろいろなことが分かった」と述べ、空力関係のテストでさまざまな実験をして“抜けるクルマ”になる空力を設計するのに有益なデータを獲得することができたと説明した。

JRP テクニカルアドバイザー 永井洋治氏

 そうした空力の実験では、極端にダウンフォースを減らしてみるなどの実験も行なったそうだが、石浦選手によれば「あるところまでは効果があったが、劇的に近づけるというほどではなかった。一番削ってみると、単独で走るとブレーキングの安定性がなくなり、コーナーでインをさそうと思っても、自分の安定性が下がっているので追い抜きは難しくなってしまう。減らしたから減らしただけ近づきやすいということはない」と説明した。それを受けて永井氏は「次回(鈴鹿)のテストではダウンフォースの増減だけでなく、後ろにどうやればきれいな空気を流すことができるかなどをやっていきたい。そうした結果を新しい車両の設計に織り込んでいきたい」と述べた。

 横浜ゴムが用意したサステナブル素材を利用したタイヤに関して石浦選手は、「ヨコハマが用意したカーボンニュートラルを実現する素材は合計8種類で、実際に走ってみたらいいタイムが出てしまうものもあり、材料によって差が出た。自分としてもとても面白い経験だった」と、再生素材などを利用した新しいタイヤテストは成功裏に終わったと説明した。

 注目されているカーボンニュートラル燃料に関して永井氏は「2日目に両車に入れて走ってみた。ベンチではいくつか課題があり、途中で普通の燃料に戻すかもしれないと言っていたが、両メーカーがマッピングで工夫したこともあり、ドライバーからは違和感があるという話はなかった。もちろんまだ課題はあるが、このカーボンニュートラル燃料の開発は、レースで燃料を使うというよりは、市販車に入れても問題ないというのがゴールになる。今後の走る実験場としてはいいスタートが切れた」と述べ、特に大きな問題もなく走らせることができたと説明した。

2022 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レースでは、懐かしのF3000車両の展示やデモが行なわれる予定

ホンダモビリティランド株式会社 代表取締役社長 田中薫氏

 会見の最後のパートには、ホンダモビリティランド 代表取締役社長 田中薫氏がゲストとして呼ばれ、再来週(4月22日~23日)に鈴鹿サーキットで開催される「2022 NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レース」に関しての説明が行なわれた。

 田中社長は「モータースポーツを走る、見る、支えるの3つの中でわれわれは支える役目を果たし、ファンの拡大に努めていきたい。そうした中で今シーズンはリレー方式で次の開催サーキットからのご案内をしていく。今回は次戦NGKスパークプラグ 鈴鹿2&4レースに関してのご案内をさせていただきたい。今年は鈴鹿サーキット60周年で、それに絡めた形でスーパーフォーミュラを盛り上げていきたい」と述べ、次戦のイベント紹介を行なった。

 田中氏によれば、鈴鹿60周年の特別企画として1987年から行なわれてきた全日本F3000選手権時代のマシン、マーチやローラ、レイナードなどの懐かしいマシンを展示し、東コースでデモ走行を行なうという。また、NEXT Goビレッジでは、トヨタ、ホンダ、スーパーフォーミュラの合同ブースになり、ファンがスーパーフォーミュラの取り組みに触れることができるようになるとした。

 また、2&4ということで、2輪のレースも開催されるが、鈴鹿サーキットができた当時の1962年当時の2輪マシンのデモ走行、マシンの展示などが行なわれ、2輪と合わせて楽しめるようなコンテンツを用意したいと田中氏は説明した。

株式会社日本レースプロモーション 代表取締役社長 上野禎久氏(左)とホンダモビリティランド株式会社 代表取締役社長 田中薫氏(右)