ニュース

トヨタ、新型バッテリEV「bZ4X」詳報 開発時に掲げた4つの目標価値とは

2022年5月12日 発売

FWD:600万円

4WD:650万円

トヨタが5月12日に発売する新型BEV(バッテリ電気自動車)「bZ4X」。全数リース販売のみで価格は600万円~650万円。個人ユーザーにはサブスクリプションサービスのKINTOで提供する

 トヨタ自動車は、新型BEV(バッテリ電気自動車)の「bZ4X」を5月12日に発売するとともに、「専用サイト」にて、第1期として3000台分の申し込み受け付けを開始する。全数リース販売で、価格はFWDモデルが600万円、4WDモデルが650万円。個人向けにはサブスク(サブスクリプション)サービス「KINTO」での提供となる。

 トヨタはBEV専用プラットフォームをベースとする「bZシリーズ」の導入にあたり、快適な移動空間に加え、大切な家族や仲間と過ごすかけがえのない時間と新しいライフスタイルを提供する「You&Others(ヒトとヒト)」、BEVならではの運転の楽しさ、可能性を期待させるワクワク感を提供する「You&Your Car(ヒトとクルマ)」、CO2排出量などマイナスを減らすだけではなくプラスを生み出す「You&the Environment(ヒトと地球)」、安心・安全な社会づくりへ貢献する「You&Society(ヒトと社会)」と、4つの目標価値を策定。bZ4Xは、これらの4つの目標価値を踏まえて開発された、ミディアムセグメントSUV型BEVとなる。

You&Others(ヒトとヒト)

 BEV専用プラットフォームを採用し、どの座席に座っても広く静かで心和らぐひとクラス上の広い室内空間を実現。Dセグメントセダン並みのタンデムディスタンス(前後シート間距離)1000mmを確保したことで、足下の広さ(レッグルーム)は前後ともミディアムセグメントSUVクラストップレベルを実現。

 また、低い位置で落ち着いた室内を演出するファブリック張りのインストルメントパネルやパノラマムーンルーフ(装着車を設定)が、自宅にいるような居心地のいい解放感を創出している。さらに、遮音性の高いガラス、風切り音の減少などにより、走行中でも乗員どうしの会話が弾む静粛性を確保した。

広い足下スペースを実現
内装色:ライトグレー
内装色:ブラック
パノラマムーンルーフ

 走行時の省エネ性能向上と実用上の航続距離の確保を目指し、空力性能(Cd値0.28)を追求。また、ボディユニットの軽量化に加え、走行以外の消費エネルギー、特に冬場の暖房による消費電力を減らすため、ヒートポンプ式エアコン、シートヒーター、ステアリングヒーター、さらにトヨタとして初めて前席乗員足下の輻射ヒーターを採用した。なお、エアコンには、乗員の周囲のみを暖め、特に冬の電力消費を抑制する「オールオート(ECO)ボタン」を設定する。

 充電時間は、世界各地域の高出力充電にも対応。DC急速充電では150kWに対応。90kW充電器では、40分で充電量80%まで充電可能。普通充電200V、6kW・30Aでは約12時間でフル充電が可能としている。

ESU(電力供給ユニット)&充電ポート
普通充電ポート
急速充電ポート
V2H機器(DENSO製)

You&Your Car(ヒトとクルマ)

 薄型大容量電池パックを床下・平置きで配置しつつ、モーター、トランスアクスル、インバーターを一体化した「eAxle」と、充電機能と電力分配機能を集約した「Electricity Supply Unit(ESU)」をトヨタ車で初採用。

 また、主要骨格部位にホットスタンプ材、高張力鋼板を用いた軽量・高剛性なボディ構造を採用し、電池パックとその周辺、BEVユニットやラジエータ搭載部、前後サスペンションまわりなど、各部の剛性を向上させたことで低重心化と高剛性化を両立させている。

 さらに素早いレスポンス、リニアな加速感、高精度な出力制御に加え、前後モーターの独立制御(4WD車)により回頭性や操縦安定性を向上。スバルのAWD技術「X-MODE」を初めて採用(4WD車)しつつ、新機能「Grip Control」も新開発し搭載。モーター駆動の特性を活かすことで、日常ユースからライトオフロード以上の走行まで対応できる高い走破性を実現した。

 メーターは視線移動を少なく遠視点化し、見やすさを重視してステアリングホイールの上側を通して見えるように配置したトップマウントメーターをトヨタとして初採用。ステアリングコラムを含めた運転操作系を操作しやすいようモジュール化し、手元からメーターの視線誘導を促す羽衣のような形状を採用している。

トップマウントメーターを採用
より直感的で簡便な操作を実現するダイヤル式シフトをトヨタとして初採用
置くだけ充電を装備
100V電源も完備

 スタイリングは「Hi-Tech and Emotion」というデザインテーマのもと、BEVの先進感とクルマ本来の美しさを融合し、先進的なスリークさとSUVらしい力強さを両立。四隅に配置したタイヤによる長いホイールベースを活かした、スリークなプロポーションとリフトアップしたSUVらしさの融合による新しいシルエットを実現した。センターから空力アイテムが織り込まれたコーナー部と、上下に薄いバンパー形状によってBEVの独自性を表現。また、フードからヘッドランプ上部へと連続する特徴的なハンマーヘッド形状を採用した。リアはタイヤへ向かう台形をテーマとし、低重心で力強いスタンスを表現している。

薄いバンパーでBEVの独自性を表現
特徴的なハンマーヘッド
長いホイールベースを活かしたプロポーション

 マルチメディアシステムも充実しており、クラウド上の地図情報を活用し、交通情報や駐車場の空き情報をリアルタイムで取得する「コネクティッドナビ」を採用。また、音声認識機能も搭載し、ワイパーやエアコンなども動作可能としている。

 また、クルマがWi-Fiスポットとなる「車内Wi-Fi」の採用も新たに発表。全車標準装備のDCMを通じ、データ通信容量無制限でスマートフォンやゲーム機などインターネットに接続可能とし、ソフトウェアアップデートもOTA(Over the Air)で行ない、常に最新の状態を維持してくれる。さらに、スマホを携帯していれば画面操作なしでロック、アンロック、システムスタートが可能なデジタルキーも採用した。

デジタルキーを採用

You&the Environment(ヒトと地球)

 CO2排出量を減らすだけではなくプラスを生み出すために、メーカーオプションに「ソーラー充電システム」を設定。1年間で走行距離1750km、1日最大で約11.6km(トヨタ試算値)に相当する発電量を生成可能としつつ、充電スタンドがない駐車場などでも充電可能なほか、災害時など緊急時でも、太陽光による充電が可能。走行中に発電した電力は、補機バッテリ系統の消費を補う設定となっている。

メーカーオプションの「ソーラー充電システム」

You&Society(ヒトと社会)

 モビリティ社会の究極の願い「交通事故死傷者ゼロ」の実現に向けて、bZ4Xでは最新の「Toyota Safety Sense」を採用。ミリ波レーダーおよび単眼カメラの検知範囲拡大させたことで、車両、歩行者、自転車運転者に自動二輪(昼)を加え検知範囲を拡張し、衝突回避または被害軽減に寄与する「プリクラッシュセーフティ」、歩行者の横断や飛び出しなど、運転の状況に応じたリスクの先読みを行なうことで、歩行者や自転車、駐車車両に近づきすぎないようにステアリング・ブレーキ操作をサポートしてくれる「プロアクティブドライビングアシスト」などを搭載。

 そのほかにも、乗降時のアシストや、高度運転支援技術「トヨタチームメイト」の「アドバンストパーク(リモート機能付)」を採用。並列駐車時の支援や従来のバック駐車に加え前向き駐車にも対応し、前向き/バック出庫が可能になった。

 また、ドライバーがスマートキー携帯時に、車外から専用アプリをインストールしたスマホを操作することで、駐車および出庫が可能な「リモート機能」も搭載。子供や高齢者の方を広い場所で乗り降りさせたい時や、ラゲージから荷物を取り出す際など駐車時の使い勝手を向上させている。

ミリ波レーダーおよび単眼カメラの検知範囲拡大し、「プリクラッシュセーフティ」や「プロアクティブドライビングアシスト」といった運転支援機能を搭載
アドバンストパーク(リモート機能付)

ユーザーの不安解消とカーボンニュートラルへの貢献を目指し全数リース販売

 bZ4Xは、「電池性能」「メンテナンス」「残価」に関するユーザーの不安解消と、電池を全数管理し3R(=リデュース・リユース・リサイクル)も含めてむだなく電池を活用し、カーボンニュートラルへの貢献を目指すことを狙いとし、全数リース販売となる。

 個人のユーザーには、クルマにかかる諸経費を月額利用料に含める「サブスク(サブスクリプション)」サービスを展開。ユーザーと常につながりつづけることで、最新機能のアップデートや移動体験の提案など、クルマを届けたあとも、付加価値を継続的に提供し、ユーザーが長く・安心してBEVを楽しめる専用プランを設定している。

最長10年間乗れる「bZ4X専用」プラン

 契約期間中の電池性能は、10年20万kmまたは電池容量70%を保証。さらに10年のうち5年目以降は、月額を毎年段階的に引き下げ、長く乗れば乗るほどリーズナブルにする一方、5年目以降は中途解約金をゼロとし、ユーザーのフレキシブルなカーライフを支援してくれる。

 契約はWebでの完結が可能で、月額利用料には、自動車保険、自動車税、メンテナンス代、コネクティッドカーケアの利用にかかる費用も含まれる。また、月額利用料および契約時の申込金の詳細は、5月2日にアナウンスするとしている。

KINTOでの取り扱いパッケージ

 駆動方式やインテリアおよびエクステリアカラー、人気のオプションをまとめたパッケージを用意。希望のパッケージなどを選択のうえ、「専用サイト」または販売店を通じて申し込み、所定の審査を経て契約となる。

グレード(駆動方式)パッケージ名インテリアカラーエクステリアカラーパッケージ内容(bZ4X標準装備がベース)
Z(FWD/4WD)18インチ×標準ルーフライトグレー/ブラック11色から選択可18インチタイヤ/標準ルーフ/おくだけ充電/フロアマット
18インチ×パノラマムーンルーフ18インチタイヤ/パノラマムーンルーフ/おくだけ充電/フロアマット
20インチ×標準ルーフ20インチタイヤ/標準ルーフ/おくだけ充電/フロアマット
20インチ×パノラマムーンルーフ20インチタイヤ/パノラマムーンルーフ/おくだけ充電/フロアマット
カラーバリエーション
プラチナホワイトパールマイカ
プレシャスシルバー
プレシャスメタル
ブラック
エモーショナルレッドII
ダークブルーマイカ
ブラック×プラチナホワイトパールマイカ
ブラック×プレシャスシルバー
ブラック×プレシャスメタル
ブラック×エモーショナルレッドII
ブラック×ダークブルーマイカ