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富士24時間に参戦する2台の「Z Racing Concept」はカーボンニュートラル燃料仕様とガソリン仕様 モータースポーツの将来性を探る

2022年6月4日 発表

新型Zベースの「Nissan Z Racing Concept」。日産自動車 COO アシュワニ・グプタ氏(左)と日産モータースポーツ&カスタマイズ代表取締役兼CEO 片桐隆夫氏

 6月4日、富士24時間レースが開催されている富士スピードウェイにおいて、日産自動車とNMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ)は、同レースに参加する「Nissan Z Racing Concept」の詳細を発表した。

 5月10日に富士スピードウェイで行なわれたスーパー耐久の公式テストから参加した「Nissan Z Racing Concept」だが、今回の発表でより具体的な仕様が明らかになった。

日産自動車 COO アシュワニ・グプタ氏
日産モータースポーツ&カスタマイズ代表取締役 兼 CEO 片桐隆夫氏

 過酷な24時間レースに出走するのはNISMOワークスからエントリーした230号車と、カスタマーレーシングの代表としてMax Racingが運営する244号車の2台。230号車はドイツのP1パフォーマンスフューエル製のCNF(カーボンニュートラル燃料)を使用する一方で、244号車は一般的なガソリンを燃料とする。CNFとガソリンを使い分けることで、燃料そのものの特徴やデータが収集できるとともに将来的なCNFの可能性を探ることも目的としているそうだ。

 P1パフォーマンスフューエル製のCNFは、食料と競合しない「廃棄非食品、木材チップ、廃食用油」などのバイオ原材料をベースに再生可能エネルギーを用いて電解し合成された燃料となる。決勝レース前までの状況をみると、ガソリンに対してCNFはやや出力が抑えられているようで、燃料の特性に合わせたセットアップが用いられているようだ。

Nissan Z Racing Conceptの車両概要
カーボンニュートラル仕様の230号車
NISMOチームからエントリーする230号車は、平手晃平、松田次生、ロニー・クインタレッリ、星野一樹、佐々木大樹の5戦選手がステアリングを握る
ガソリンで走る244号車
カスタマーレーシングの可能性を探るために、244号車はスーパー耐久への参戦経験を持つMax Racingが運営する。ドライバーは田中哲也、田中徹、三宅淳詞、高星明誠、安田裕信の5選手となる

 日産自動車 COO アシュワニ・グプタ氏は「エンジン音がもたらすワクワク感も、風を切る静かなスピード感も、どちらもお客さまに思う存分楽しんでほしいと思っています。日産は、日系メーカーとして初めて、そして唯一のフォーミュラE世界選手権に参戦するなど、常に挑戦し続けています。今回『Nissan Z Racing Concept』で参戦する過酷な24時間耐久レースでは、CNFに対応した競争力の高いエンジンを開発するための貴重な知見を得ることができるでしょう」と述べ、NMCの片桐隆夫氏は「新開発の車両とCNFで24時間に参戦することで、将来の車両開発に向けての多くのデータとノウハウを獲得すると同時に、ファンの皆様の期待に応える『Z』ならではの走りをお見せしたいと思います」と富士24時間レースへの意気込みと参戦する目的を語った。

予選まではCarbon Neutral Fuelの文字はなかったが、決勝レース日となった6月4日には230号車に貼られていた