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富士24時間レースに参戦する新型ZベースのNissan Z Racing Concept 2台のZの違いは?

富士24時間レースに参戦した2台のNissan Z Racing Concept

2台のNissan Z Racing Concept

 6月3日~5日の3日間にわたって富士スピードウェイでスーパー耐久の第2戦となる富士24時間レースが開催されている。この富士24時間レースでは、ST-Qクラスに新型Zベースのレース車両であるNissan Z Racing Conceptが2台エントリーしているのが話題となっている。

 その2台とは、NISMOチームの230号車 Nissan Z Racing Concept(平手晃平/松田次生/ロニー・クインタレッリ/佐々木大樹/星野一樹)と、Max Racingチームの244号車 Nissan Z Racing Concept(田中哲也/田中徹/三宅淳詞/高星明誠/安田裕信)。ドライバーの名前を見ればSUPER GTかと思ってしまうほどの豪華な体制で24時間レースに臨んでいる。

 この2台の新型Zをレースで走らせる意味はどこにあるのだろうか? 新型Zのレーシングパーツ開発という話もあるし、新型Zのレース車両開発という話も出ている。その辺りをSUPER GTでニスモチームの総監督であり、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル 代表取締役 最高執行責任者(COO)でもある松村基宏氏に5月10日のテストデーでうかがった。

SUPER GTでニスモチームの総監督でもある、ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社 代表取締役 最高執行責任者(COO) 松村基宏氏

ST-Qクラスは、開発をする中でいろいろなものを試すのに非常にいいカテゴリ

 松村氏は、「いろいろなコンセプトでモータースポーツのクルマは開発して、確認して、実際に販売される例もあれば販売されない例がある」と言う。典型的な例としては「リーフ ニスモ RC」を挙げ、技術的な確認やモータースポーツ参戦の可能性を探ったものであったとのこと。

 その上で、「スーパー耐久にST-Qクラスという、開発車両で順位を争うのではなく、そこ(技術的な可能性など)を確認できるカテゴリができた。将来的には何も決まっていないけど、開発をする中でいろいろなものを試すのに非常にいいカテゴリということで、これを機会に走らせて、いろいろな品質とかシステムとか適用性とかを確認していく」と語り、スーパー耐久にいろいろな開発車両を持ち込めるST-Qクラスができたことが、まずはきっかけになったという。

 ニスモで参加しているので、ドライバーは超一流のドライバーを用意できているし、そのドライバーが開発ドライバーを担当してくれているとのこと。ただ、実際にはニスモの230号車だけでなく、Max Racingの244号車もあり、2台体制でのエントリーとなっている。

 この点について松村氏は、「Max Racingさんとは共同で確認している部分がある。お客さま目線が少し強い。使い勝手とかそういう面でアドバイスをもらうためです。もう1台(ニスモ)は完全に我々の開発。我々の中の違うメカニックをやっている人や違うエンジニアをやっている人が組んでいるチームになる。人材育成の面もあるが、違う視点で開発をやっていることになる」と語る。Nissan Z Racing Conceptを、それぞのチームが異なる視点で捉えて開発をしているということらしい。

 とくにST-Qクラスができたことで開発車両をレースに走らせることができ、ニスモであるためGT500に参加するような超一流ドライバーが一緒に開発に加わってくれる。24時間レースではその辺りの部分を見てほしいと松村氏はいう。

 SUPER GTの新型車両「Nissan Z GT500」は、つい先日のSUPER GT第3戦鈴鹿で初優勝をした。優勝ドライバーの一人でもある高星明誠選手もNissan Z Racing Conceptの開発ドライバーに名を連ねており、超一流のドライバーの手によって新型Z関連の開発がどのように進んでいくのかは楽しみでしかない。テストデー時点での話ではあるが、この富士24時間をスタートに2台のNissan Z Racing Conceptの変化に着目していただきたい。

追記:6月4日、日産自動車とNMC(日産モータースポーツ&カスタマイズ)は記者会見。230号車はドイツのP1パフォーマンスフューエル製のCNF(カーボンニュートラル燃料)を、244号車は一般的なガソリンを燃料とすることを発表した。「違う視点で開発」の意味は、244号車は新型Zの近い視点での開発を、230号車は中長期的な視点での開発を行なっていたことになる。