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豊田章男社長、モリゾウ選手としてトヨタ第3の製造拠点である宮城に水素カローラで初参戦

スーパー耐久第3戦SUGOへエントリーしたモリゾウ選手ことトヨタ自動車株式会社 代表取締役社長(写真は2022年5月ラリチャレ利府にて)

スーパー耐久第3戦SUGOに水素カローラ登場

 今週末、スーパー耐久第3戦SUGOが7月9日~10日の2日間にわたってスポーツランドSUGO(宮城県柴田郡村田町菅生)で開催される。2022年シーズンのスーパー耐久は全7戦で開催されており、第3戦SUGOはシーズンのハイライトである富士24時間レースを終えてからの前半戦の最後の戦いになる。

 このSUGOに初登場となるのが水素燃焼カローラをはじめとするカーボンニュートラル社会へ向けたST-Qクラスの各車両になる。ST-Qクラスは水素カローラなど開発車両がレースへ参戦しやすくするために設立されたクラスだが、初めて設けられたのが水素カローラが初参戦した2021年の第3戦富士24時間から。2021年のSUGOでのスーパー耐久は4月に行なわれた第2戦だったため、水素カローラがSUGOに登場するのは初めてとなる。

 現地では雨の中、給水素ステーションの設営も進み、週末のレースへ向けての準備が行なわれている。

 現時点でのエントリーリストを見ると、ST-Qクラスには3号車 ENDLESS AMG GT4(小河 諒/川端伸太朗/谷岡力)、32号車 ORC ROOKIE GR Corolla H2 concept(佐々木雅弘/MORIZO/石浦宏明/小倉康宏)、55号車MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio concept(寺川和紘/井尻薫/関豊/前田育男)、61号車 Team SDA Engineering BRZ CNF Concept(井口卓人/山内英輝/廣田光一)、244号車 Max Racing Nissan Z Racing Concept(田中哲也/田中徹/三宅淳詞)の5台がエントリー。32号車が水素カローラ、55号車がバイオディーゼルのMAZDA2、61号車がカーボンニュートラル燃料のBRZと、3台がカーボンニュートラルへの技術チャレンジを行なっている車両となる。

 珍しいのが、水素カローラのエントリーで「MORIZO」とモリゾウ選手が早めに参加を明らかにしていること。よく知られているようにモリゾウ選手は、トヨタ自動車 豊田章男社長のドライバーネームであり、仕事などの都合もあるため直前まで参加するかどうかは明らかにされていないことが多い。しかしながら今回は結構早めに参加することがエントリーリスト上明らかにされていた(本当に参加するかどうかは当日まで不明)。

 これはモリゾウ選手の「参加したい」という強い意志の表われだろう。

トヨタ第3の開発拠点での戦い

 一つにはスポーツランドSUGOのある宮城県を中心とする東北をトヨタ自動車が中京、九州に続く第3の製造拠点と位置づけていることにある。2011年に起きた東日本大震災の後、トヨタは宮城県にトヨタ自動車東日本を設立。震災に対する一時的な寄付ではなく、復興をとも歩むという選択をした。日本での自動車生産の積み増しが難しい状況の中、あえて東北に自動車生産のサプライチェーンを新たに築き、利益を上げて税金を毎年納めるという決断をした。

 豊田章男社長は、5月に宮城県の利府町でラリーチャレンジ利府に参加した際に、「10年前に被災された方々は今も戦っておられる。あのときから我々は一緒に戦っています。そういう態度を、行動を、示していくことがボクは大切なのではないかと思っています」「(地域的に)遠い人はも過去の話と懐かしむ人もいると思います。でも、(地元の人にとっては)じょうだんじゃないよと。だからこそ、あの当時は寄付の額ばかりが比べれられていたが、1回の寄付でできる規模の震災ではなかったと思います。だからこそ援助ではなく自立、それには仕事や雇用を増やしたい。補助金なしに、しっかりと利潤を上げられる自動車産業。(今では)部品メーカーも相当集まってきて高集積地になればいいことではないか」と語っていた。

 その中で、「10年経ってこの地(宮城県)に来たとき、当時は自動車産業の雇用というところが中心でしたけど、こうやってモータースポーツとかできているけど、やっぱり自分自身の無力感を感じると同時に、同時にやっぱりまだ何かやれることはあるんじゃないかと」とも語っており、東北に強くコミットする姿勢を示していた。それがラリチャレ利府に続く2度目の宮城県参戦につながっていると思われる。

 また、もう一つの理由としてはカーボンニュートラル車両での参戦が初になることだろう。先日のスーパーフォーミュラではカーボンニュートラル燃料によるフォーミュラマシンのテストは行なわれているが、水素カローラが参戦するのは初めて。バイオディーゼルが参戦するのも初めてになる。

リニューアルされたスポーツランドSUGOでどのような戦いが行なわれるのか。現地ではカーボンニュートラル・水素エネルギーブースも設置される予定だ。

水素カローラ