ビギナーから経験者まで、全員がサーキットを楽しめるダイハツ&SPKの共同イベント
ダイハツ車であれば参加できるのが「D-SPORT&DAIHATSU Challenge CUP 2022」。走行会のD-SPORT CupとJAF公認クラブ主催のスピード競技であるDAIHATSU Challenge Cupの2本立てのイベントで、DAIHATSU Challenge Cupに参加して完走するとJAF国内Bライセンス取得の権利が得られる ダイハツ工業とSPKは8月12日、参加型モータースポーツイベントである「D-SPORT&DAIHATSU Challenge CUP 2022」を富士スピードウェイ ショートサーキットにて開催した。
このイベントはダイハツ車(ダイハツOEM車含む)ユーザーを対象にしたサーキット走行イベントで、スポーツ走行初心者から上級者まで、安全に楽しくサーキットを楽しんでもらうことを目的としたもの。サーキット走行会である「D-SPORT Cup」と、完走すると「JAF国内Bライセンス」の取得権利が得られる「DAIHATSU Challenge Cup」の2本立てとなっている。
この日の富士スピードウェイは朝から雨が降ったりやんだりを繰り返す天気となったがイベント開催には支障なし D-SPORT&DAIHATSU Challenge CUP 2022は富士スピードウェイ内のショートサーキットが会場 朝7時過ぎにはピットもパドックも参加者でいっぱいになった。D-SPORT&DAIHATSU Challenge CUP 2022は観戦もOKとなっている D-SPORT Cupでは「コペン エキスパート」「コペン ビギナー」「ターボクラス」「NAクラス」「オープンクラス」という車種や経験値ごとにクラス分けされ、午前中はそれぞれのクラスごとに15分間の練習走行が2枠ある。そして午後はタイム計測(15分×2枠)を行ないクラス内で順位を決めるという内容。タイム計測をすることで目的を持った練習走行ができるところが特徴である。
対してDAIHATSU Challenge Cupはクラス分けがなく、専用枠での練習走行(15分×2枠)があり、午後に1台ずつコースインしてのタイムアタック(2本)が行なわれるという具合だ。
DAIHATSU Challenge Cupは完走するとJAF公認のジムカーナ、ダートトライアル、ラリーに参加する際に必要となるJAF国内Bライセンスの取得権利が得られる。仕組みとしては、DAIHATSU Challenge Cupに参加することでJAF登録クラブであるD-SPORT Racingクラブ(DSP-R)の会員となり、JAF国内BライセンスはJAF登録クラブが主催するスピード競技か、ラリーのクローズド競技に参加したものが申請できるので、DAIHATSU Challenge Cupにエントリーして完走すればJAF国内Bライセンス取得の条件をクリアできるというもの(証明書が発行されるのでその後の申請は個人で行なう)。
D-SPORTはブースを出店。モータースポーツに関連するレースギヤの展示と特価での販売を行なっていた SPKが新たに日本での総販売元となった英国ブランド「TRS」のレーシングハーネスも販売。FIA/SFI/E-Regulationsなど全ての企画検査に合格している アルパインスターズのスーツ、アンダーウエア、グローブ、シューズも展示販売。現物を見る機会も少ないので製品について質問している人も多かった SPKは4輪用のアライヘルメットの総括代理店でもある 開催日は朝から雨模様となったが、イベントは予定どおり開催。唯一、インストラクターによる同乗走行が新型コロナウイルス感染症予防の観点から中止された。
開会式ではSPKの代表取締役社長である沖恭一郎氏、ダイハツの東京支社長 井出慶太氏からのあいさつがあった。走行イベントにこうした立場の人が来てあいさつをするというのは、それだけD-SPORT&DAIHATSU Challenge CUP 2022への力の入れようが伝わってくるものだった。
D-SPORT&DAIHATSU Challenge CUP 2022の開会式であいさつしたSPK株式会社 代表取締役社長の沖恭一郎氏 D-SPORT&DAIHATSU Challenge CUP 2022の開会式であいさつしたダイハツ工業株式会社 コーポレート統括本部 統括部長(LYU・ブランド、広報渉外担当)東京支社長の井出慶太氏 開会式であいさつをしたD-SPORTの松尾光洋氏。D-SPORTのパーツ開発からカップの運営など幅広く担当しているキーマン ダイハツの殿村裕一氏も開会式であいさつ。殿村氏はD-SPORT Racing Rally Teamのチーム代表。自らもコペンでジムカーナに参戦する 別記事でも紹介しているが当日は11月に開催を予定しているラリージャパンに参戦するコペン GR SPORTも展示されていた。左がドライバーの相原泰祐選手で右がコ・ドライバーの荻野司選手。ともにダイハツの社員 D-SPORT Racing Rally TeamはTOYOTA GAZOO Racing Rally Challengeにコペン GR SPORTで参戦しているが、ラリージャパンには専用車で参戦する。国内ラリー用とは仕様が少し異なり、ブレーキは容量アップのD-SPORTキャリパーキットを装着 シートはブリッド製。コンパクトな室内寸法に合うショルダーの小さいタイプを使用する。ロールケージは今回のイベント後にWRCの規定にあわせて作り替えるという MT車となるが、ブレーキペダルは左足ブレーキがしやすいようCVT車用の幅広いタイプに換えてある。フットレストはD-SPORT製を装着 こちらはTOYOTA GAZOO Racing Rally Challengeに参戦しているD-SPORT Racing Rally Teamのコペン GR SPORT。イベント時は相原選手のドライブでペースカーも務めた インテリアの様子。シートはD-SPORT製をチョイスしていた。シートベルトは英国ブランドのTRS レギュレーションの範囲内でパーツを変えている。普通車が相手のラリーでコペン GR SPORTは軽さを武器に戦う。コーナーで車体が暴れても軽いぶん慣性が小さくコントロールしやすいという D-SPORT Racing Rally Teamの活動を通じて協力企業とパーツの開発も進めていた。これはラリー用のアンダーガードの後方をドライカーボンで製作し、下面を保護するアンダーカバー。ラリージャパン仕様車に装着されていた 走行中はわずかなパワーロスも避けたいのでエアコンはOFFに。そうすると窓に曇りが出ることもあるので、その対策としてコペン用熱線入りフロントウィンドウをAGCと共同開発した D-SPORT Racing Rally Teamのチーム代表である殿村氏がジムカーナに参戦しているコペンも展示されていた D-SPORTのデモカーも展示。この日は特別なコペンが集まった日でもあった 特別と言えばこちらも。なんとダイハツの代表取締役会長の松林淳氏(写真右側)が個人としてコペン GR SPORTで参加。一緒に写るのはSPKの沖氏。ダイハツユーザーに向けたモータースポーツへの取り組みに大いに影響ありそうな(!?)トップ同士の貴重な2ショット 午前中は練習走行の時間。各クラスとも最初は先導車が付いてコースに慣れる時間を取る エントリーの多いコペンはビギナーとエキスパートの2クラスある。MT車だけじゃなくCVT車の参加も多い ダイハツ車であれば参加OKということなのでサーキット走行会ではあまり走っていない珍しい車種も。タフトのサーキット走行シーンは初めて見た 1970年代の360cc軽自動車「フェローMAX」も参加。実動車であるだけでなくサーキットをいいペースで周回できるコンディションであることがすごい 東京オートサロンや大阪オートメッセのダイハツブースに並んだカスタムカーを手掛けたダイハツの米山知良氏もD-SPORT CUPにエントリーしていた クルマは最近手に入れたエッセ。中古車販売店の店頭でたまたま見つけた走行距離1万km代のMT車。これまでは車両を作る側にいたがそのポジションから離れたとのことで、今度は走って楽しむ側になろうということでエッセを購入。これまでサーキット走行の経験はないそうだが、今後は少しずつD-SPORT CUP向きに手を入れていくという DAIHATSU Challenge Cupは1台ずつコースインしてのタイムアタック。ピットロード出口に整列して順にスタート DAIHATSU Challenge CUPのタイムアタックを盛り上げるのはMCの勝又氏とダイハツの殿村氏。走りの解説をもしていたが、さすが分かりやすい DAIHATSU Challengeのタイムアタックが行なわれた時間帯は雨の降りが強くなっていたので難しいコースコンディション。その中でエントラントの皆さんは1周のアタックにまとめる。その緊張感が「クセになる」という声もあった コース上でのプログラムが終了。閉会式の前にはお楽しみのジャンケン大会も開催された 最後、エントラント全員に配られたのがコッペパンならぬ「コペンパン」。いちごジャムとブルーベリージャムが挟まれたコッペパンの表面に、初期型コペンで使っていたロゴと現行コペンのロゴが焼き印で入れられている 閉会式後は富士スピードウェイの本コースでのパレードランと最後まで盛りだくさんの内容だった ダイハツの井出氏から聞けたダイハツのモータースポーツ活動とは
D-SPORT&DAIHATSU Challenge Cupでは、ダイハツ 井出氏による会見も行なわれ、モータースポーツへの取り組みが始まった経緯などが説明された。
ダイハツ工業株式会社 コーポレート統括本部 統括部長(LYU・ブランド、広報渉外担当)東京支社長 井出慶太氏 井出氏は「以前のDAIHATSU Challenge Cupは2008年にダイハツのモータースポーツ活動が全ていったん中止になったことから、以降は開催されていませんでした。そのため今回は14年ぶりの復活となります。ダイハツのモータースポーツがなにを目指すのかということですが、実はまだ試行の段階です。ただ、トヨタグループの一員として、トヨタさんが掲げている『モータースポーツを起点としたもっといいクルマ作り』というもの作りに繋がる要素は当然含んでいます。また、モータースポーツを通じてクルマを含むモビリティのファンを増やしていくことも狙いの1つです。この大きな両輪にダイハツが協力できないかということから活動を開始したのです」と、取り組みについて紹介。
「とはいえトヨタさんのようにWECやWRCといった世界戦に参戦するのはなかなか難しいところです。でも、モータースポーツの世界を大きなピラミッドと捉えると、頂点だけでなく裾野の部分も大切です。そこでダイハツとしては裾野の部分でお手伝いができないかと考えました。ダイハツのビジネスの特徴は軽自動車を中心としたエントリークラスのクルマの販売です。また、購買層の多くが女性であるという特徴もあります。そういった方々にモータースポーツを通じてクルマの楽しみ方をお伝えできるいい機会と思っています」と語った。