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岸田首相がF1日本GPであいさつ 合成燃料に言及し、11月に自動車産業と直接意見交換

F1日本グランプリであいさつを行なう岸田文雄首相(出展:首相官邸ホームページ)

 3年ぶりのF1日本グランプリが、10月7日~9日の3日間にわたり鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)において開催された。9日に行なわれた決勝レースでは、雨による約2時間の中断はありながらフルポイントレースが成立し、マックス・フェルスタッペン選手(1号車 レッドブル・レーシング・RBPT)が優勝。シリーズチャンピオンとなり2年連続でドライバー選手権を獲得した。

 3年ぶりに開催されたF1日本グランプリのトピックとして挙げられるのが、岸田文雄 内閣総理大臣がスタートセレモニーにおいてあいさつを行なったこと。F1日本グランプリで首相があいさつを行なうのは初めてのことで、日本のモータースポーツにおいても記録に残る1日となった。

雨の中、スターティンググリッドに立つ岸田文雄首相(出展:首相官邸ホームページ)

 岸田首相はオープニングのあいさつを行なった後、三重県訪問についての会見を実施。視察の狙いについて語った。

岸田首相 会見

──F1日本グランプリ視察の狙い、受け止め及び主催者との懇談の内容について

岸田首相:おっしゃるように3年ぶりとなりましたF1日本グランプリに出席させていただいて、そしてスタートセレモニーに参加し、そして主催者の方々と懇談させていただきました。その中で、まず、究極の状態の中で車を操るドライバーの皆さんのテクニックですとか、さらには何よりも圧倒的な会場の迫力、熱気、これを強く感じました。そして、あわせて懇談等を通じまして、こうしたイベントを支える多くの皆さんのそれぞれの御苦労についてお話も聞かせていただきましたし、また、現場を視察させていただきまして、こうしたレースを通じて得られたデータを次の技術開発につなげていく、こうしたデータの分析のために取り組んでいる多くの皆さんの姿、これも拝見させていただきました。貴重な経験をさせていただきました。

 そして懇談の中でも出た話ですが、例えば知事さんとか市長さんからは、こうした世界的なイベントを通じて、観光ですとか、あるいは地域活性化といったものに大きく貢献してもらうことに対する期待も、随分聞かせていただきました。明後日、11日からは、水際対策も緩和されます。そして全国の旅行支援等も開始されます。明日は、私も鹿児島に行きまして、和牛フェア、和牛の日本一を選ぶイベントを視察させていただき、行事に参加させていただくことを予定していますが、こうした様々なイベントを通じて、全国各地で多くの国民の皆さんに、こうしたイベントを楽しんでいただく、こうした日本の活力につなげていただければと、こうした期待も感じたところであります。

 そして、あわせて本日は、合成燃料、これはF1においても2026年から、合成燃料を使うなど、そうした技術においても様々な進化が予定されているわけですが、こうした最先端の技術がモータースポーツにおいても活用されている、こうした話も聞かせていただきました。正に走る実験室と言われるにふさわしい技術開発の最前線であるという姿も見させていただいたところです。こうした技術革新が、自動車製造業を超えて、まちづくりですとか、サービス産業など、あらゆる分野でどのような変化をもたらしていくことになるのか、これは省庁を超えた政策テーマということですが、今回見させていただき、また、聞かせていただきました様々な話も参考にさせていただき、来月にも関係閣僚と共に、自動車産業の方々と直接意見交換させていただく場を持たせていただこうと思っています。次のモビリティ政策について考える、こうした場にもしたいと思っております。

出典:首相官邸ホームページ

合成燃料に言及し、11月に自動車産業の方々と直接意見交換

 F1日本グランプリでは、岸田首相のほか、室伏広治 スポーツ庁長官、衆議院議員 山本左近氏(元F1ドライバー、自民党 モータースポーツ振興議員連盟 事務局長)の姿も見られたほか、表彰式のプレゼンターに斉藤鉄夫 国土交通大臣が登壇した。国交省では「世界最高峰のモータースポーツであるF1のイベントは、貴重なスポーツ観光資源」と捉えており、政府がF1日本グランプリを大切な国際イベントとして位置づける姿勢を見せていた。

 あいさつ後に行なわれた会見では、岸田首相が合成燃料に言及しているのもポイントだろう。2022年のモータースポーツシーンにおいては、とくに日本でカーボンニュートラル燃料とも呼ばれる合成燃料のテストが進んでいる。代表的なのは、スーパー耐久レースになる。スーパー耐久ではP1レーシング・フューエルズ製カーボンニュートラル燃料やユーグレナ製バイオディーゼル燃料「サステオ」を使ったレースを実施。スーパーフォーミュラでもテストが進んでいるほか、一般公道を使うラリーではTOYOTA GAZOO ラリーチャレンジにもカーボンニュートラル燃料使用車が参戦している(日本で最も人気のあるSUPER GTでは、最終戦のもてぎ後に、ハルターマン・カーレス製カーボンニュートラル燃料でテストを実施)。

 岸田首相の発言は、2026年からのF1における合成燃料導入などに加え、それらのカーボンニュートラル系燃料をどのように社会に組み入れていくかまで言及しているのが特筆すべき点になる。11月には関係閣僚とともに自動車産業と直接意見交換するとの意向も示しており、政府として今後どのようなモビリティ政策を打ち出していくのかが注目される。