ホンダ、協調人工知能搭載のマイクロモビリティ「サイコマ」「ワポチ」公開 2030年ごろ実用化に向け実証実験開始

ユーザーの特徴を記憶・認識し追従するマイクロモビリティロボット「WaPOCHI（ワポチ）」（左）、1人～数人の乗員数を想定した搭乗型マイクロモビリティ「CiKoMa（サイコマ）」（右）

　ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所（以下ホンダ）は11月2日、人と分かり合える独自の協調人工知能「Honda CI」を活用したマイクロモビリティ「Honda CIマイクロモビリティ」を公開した。

　CI（Cooperative Intelligence）マイクロモビリティとして公開されたのは、1人～数人の乗員数を想定した搭乗型マイクロモビリティ「CiKoMa（サイコマ）」と、ユーザーの特徴を記憶・認識し追従するマイクロモビリティロボット「WaPOCHI（ワポチ）」。

　これらCIマイクロモビリティには、コア技術として「地図レス協調運転技術」「意図理解・コミュニケーション技術」が搭載される。地図レス協調運転技術は、高精度地図に頼らずカメラベースで周辺環境を認識し、目的地まで安全を維持しながら自動走行を可能とする技術。意図理解・コミュニケーション技術は、人間のように言葉や身振りを理解し、モビリティが自ら考え、提案できるコミュニケーション技術。

搭乗型マイクロモビリティ「サイコマ」

搭乗型マイクロモビリティ「CiKoMa（サイコマ）」

　サイコマは、1人～数人までの乗員数を想定した搭乗型の電動マイクロモビリティで、ユーザーは言葉で呼び寄せることができ、無人自動走行で移動してきたサイコマに好きな位置を言葉やジェスチャーで指定して乗ることができる。走行中は「ジョイスティック」の操作で進路を指示することで、ドライバーの自由に進路を選ぶ意図と自動走行技術による協調運転が可能。必要な時に呼んで乗車し、任意の場所で乗り捨てる利用を想定しており、自由に走らせることができるため、ビジネスや観光、街なかのちょっとした移動など、気軽な移動手段となることを目指すとしている。

マイクロモビリティロボット「ワポチ」

マイクロモビリティロボット「ワポチ」

　ワポチは、ユーザーの特徴を記憶・認識し、人混みの中でもユーザーに追従し続ける電動マイクロモビリティロボット。手のひら静脈認証で特定したユーザーの服や髪の毛の色、背格好などの特徴を画像で認識して記憶。ユーザーの斜め後ろを、荷物を載せながらペットのようについていく。認識は上部に設置された複数のカメラを使用して360度立体的に捉え、AIでユーザーの特徴を抽出しトラッキング。追従中に他の歩行者などに隠れてユーザーを見失っても、記憶した特徴から探し出し、追従に戻ることができる。さらに今後は、ユーザーの前を先導し歩きやすさをサポートする機能の実現も目指して研究を続けていくとしている。

　ホンダでは、これらCIマイクロモビリティを用いた技術実証実験を、茨城県常総市内の「水海道あすなろの里」（2022年11月より）と「アグリサイエンスバレー」（2023年春より）で順次開始する。順次技術実証実験エリアを拡大しながらCIマイクロモビリティ技術を進化させ、2030年ごろの実用化を目指し研究開発を行なっていくとしている。