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ジャガー・ランドローバー、半導体メーカーWolfspeedと業務提携 次世代のEVに不可欠なSiC半導体技術の供給を確保

2022年10月31日(現地時間) 発表

ジャガー・ランドローバー、半導体メーカーWolfspeedと業務提携した

 ジャガー・ランドローバーは10月31日(現地時間)、SiC(シリコンカーバイド)半導体を手掛けるメーカー「Wolfspeed」と戦略的パートナーシップを締結したと発表した。

 今回のパートナーシップ締結は、ジャガー・ランドローバーが2021年2月に発表した電動化に向けた新たな戦略「REIMAGINE」に基づき、次世代EV(電気自動車)のパワートレーンの効率向上と航続距離伸長を実現するためのもの。2039年までに自社のサプライチェーン、製品、サービス、オペレーション全体におけるカーボン・ネット・ゼロ(温室効果ガス排出量ゼロ)を目指し、電動化を最優先とする事業への転換を進めている行動の一環となる。

 Wolfspeedの先進的なSiC技術は、主にバッテリから電動モーターへの電力伝送を管理する車両のインバータに使用されるもので、これまで何度も優勝してきたジャガーTCSレーシングチームが参戦しているABB FIAフォーミュラE世界選手権のマシンにも採用されていて、レースでの効率とパフォーマンス向上に貢献しているという。

 この最新技術は2024年に投入されるランドローバー「レンジローバー」に最初に搭載され、翌年の2025年にはジャガーブランドのBEV(バッテリ電気自動車)にも搭載される予定としている。

 なお、Wolfspeedの次世代SiC半導体は、ニューヨーク州マーシーにある世界最大の完全自動化された200mm SiC工場で生産される予定。

 ジャガー・ランドローバーは、2022年2月にNVIDIAと業務提携をし、2025年から開始する次世代車両向けのソフトウェア・デファインドによる先進の自動運転システムに注力することを発表。今回の契約はそれに次ぐもので、将来のモダンラグジュアリーなモデルを実現するために、業界のリーダーと戦略的パートナーシップを構築するプログラムを推進させた。

 ジャガー・ランドローバーの最高経営責任者(CEO)であるティエリー・ボロレ氏は、「Wolfspeedは過去5シーズンにわたり、ジャガーTCSレーシングチームとの協力関係を構築してきており、その関係は今に始まったことではありません。これを『REIMAGINE』戦略の一環として、パートナーシップへと発展させ、Wolfspeedの先進的なSiC技術を次世代のEVに組み込むことで、航続距離とパフォーマンスの拡張が可能になります」とコメントしている。

 一方、Wolfspeedの社長兼CEOであるグレッグ・ロー氏は、「Wolfspeedは、ジャガー・ランドローバーと強固なパートナーシップを結び、優れた性能、効率性、航続距離を誇るSiCを活用して、このアイコニックなブランドを電動化するという大胆な取り組みをサポートすることができ、とても誇りに思います。電動化の未来に移行していく世界において、そして、自社によるカーボン・ネット・ゼロ目標を追求するジャガー・ランドローバーにとっても、SiCのエネルギー効率は必要不可欠なものになるでしょう」と述べている。

Jaguar Land Rover partners with Wolfspeed for Silicon Carbide semiconductor technology(60秒)