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ジャガー・ランドローバー、電動化に向けた新戦略「Reimagine」発表会 ジャガーはBEV専門ブランドに、ランドローバー初のBEVは2024年デビュー

2021年5月21日 開催

E-PACE PHEVを日本初導入することを紹介するジャガー・ランドローバー・ジャパン株式会社 代表取締役社長のマグナス・ハンソン氏

 ジャガー・ランドローバー・ジャパンは5月21日、オンラインプレス発表会「THE FUTURE OF JAGUAR」を開催した。

 このイベントでは、2月に英ジャガー・ランドローバーが発表した両ブランドの電動化を中心とした新戦略「Reimagine」について改めて紹介が行なわれ、ジャガー・ランドローバー・ジャパン 代表取締役社長のマグナス・ハンソン氏と英ジャガー・ランドローバー 最高経営責任者(CEO)であるティエリ―・ボロレ氏らが登壇し、概要を解説。また、電動化に向けた日本での取り組みについても紹介が行なわれた。

 Reimagine戦略では、ランドローバーでは今後5年間で6種類のEV(電気自動車)ラグジュアリーSUVを導入すること、ジャガーでは2030年までにラインアップの100%をBEV(電気自動車)化し、2039年までにサプライチェーン、製品、オペレーション全体でCO2排出量をゼロにする目標を掲げている。また、ランドローバーラインアップでは約60%がテールパイプのない(排出ガスの出ない)パワートレーンに置き換えていくとともに、両ブランドのディーゼルエンジンについては2026年までに廃止することがアナウンスされている。

ランドローバー初のBEVは2024年デビュー、ジャガーはBEVのラグジュアリー・ブランドに

ジャガー・ランドローバーの電動化を中心とした新戦略「Reimagine」

 発表会に出席したマグナス・ハンソン社長は、冒頭に「ジャガー・ランドローバーは、英国の2つのブランドを通じてデザインによるモダン・ラグジュアリーの未来を再構築していくというもので、真のサステナビリティ(持続可能性)を掲げ、ジャガー・ランドローバーは世界で最も目の肥えたお客さまに、世界で最も魅力的なラグジュアリカーおよびサービスをいち早く提供するクリエーターになることを目指しています。この戦略は、ラグジュアリービジネスが環境、社会、コミュニティに与える影響の新しいベンチマークを作り上げるために設計されています。ジャガーという名を冠した最初のモデルは1935年に誕生しました。85年以上の歴史を持つジャガーは、ブランド誕生以来、新たな可能性の扉を開き続けてきました。そのチャレンジ精神は今なお受け継がれており、今後も変わることはありません。ジャガーは2025年、感性に訴えかけるデザインと次世代をリードするテクノロジーを備え、美しいポートフォリオを提供し、BEVのみのモダン・ラグジュアリー・ブランドとして生まれ変わります。このエキサイティングなビジョンにより、ジャガーの未来はその象徴的な歴史と同様、魅力的なものになるでしょう」と報告。

英ジャガー・ランドローバー CEO ティエリ―・ボロレ氏

 そして英ジャガー・ランドローバー CEOのティエリ―・ボロレ氏からはReimagine戦略について語られ、Reimagine戦略の中核となるのがジャガー・ランドローバー両ブランドの電動化で、静けさ、落ち着き、滑らかな乗り心地、旅の快適さ、それらすべてを通じて両ブランドのモデルでラグジュアリーを表現していくと述べるとともに、「BEVを推し進めることは、次なるステップとして自然なことです。電動化によって心地よい経験を増幅し、モダン・ラグジュアリーなクルマがあるべき姿をすべて体現しています。マテリアルや光、形、匂いなどの要素を介して、当社のクルマに対する物理的そして視覚的な感情を高めます」とコメント。

 また、ランドローバーでは今後5年間で6種類のBEVを投入する計画で、ランドローバー初となるBEVは2024年にデビューする予定であることを報告するとともに、ジャガーはBEVのラグジュアリー・ブランドになるとし、「感性に訴えかけるデザインと、次世代を切り開くテクノロジーを備え、非常に美しい新たなポートフォリオを提供するBEVのラグジュアリー・ブランドとして生まれ変わります。市場において新しいラグジュアリーのポジションを確立することは、お客さまだけでなくビジネス全体にとっても、独自の可能性を実現することができます」と解説。Reimagine戦略によってジャガー・ランドローバーは電動化に特化したビジネスに移行し、ネームプレートごとに全モデルがフルバッテリー駆動に対応していくとのこと。2030年までにジャガーでは100%、ランドローバーでは約60%にテールパイプのない(排出ガスの出ない)パワートレーンを搭載する予定であることが語られた。

 加えて、2026年からディーゼルエンジンを段階的に廃止し、2036年までに排出ガス量を実質ゼロにすると語る一方、「水素経済が世界の産業界でクリーンな脱炭素化のソリューションとして加速していく中で、燃料電池技術は理にかなった補完的なステップになります。将来の自然エネルギーの採用に備え、今年、英国の道路でプロトタイプを使ったテストを開始します。私たちが電動化を加速することは、2039年までに企業としての炭素排出を実質ゼロにするという目標の実現につながります。そして、その目標に向けて私たちの活動すべての中心にあるのは、サステナビリティ(持続可能性)です。マテリアリティ、エンジニアリング、マニュファクチャリング、サプライチェーン、R&D投資、サービスなどが1つのチームとしてすべてのチャネルやビジネスのタッチポイント、ブランド、そしてカスタマーエクスペリエンスを横断して活動していき、すべて私に直接レポートがくる体制とします」と述べている。

E-PACEのPHEVを日本初導入

 今回の発表会では、日本で予定している電動化に向けた取り組みについても紹介が行なわれた。

 現在、ジャガーのラインアップにはBEVとMHEV(マイルドハイブリッド)という2種類の電動パワートレーンが用意されるが、5月21日には新たにPHEV(プラグインハイブリッド)のコンパクト・パフォーマンスSUV「E-PACE」を日本初導入した。同日より限定20台の特別仕様車「E-PACE PHEV LAUNCH EDITION」の受注を開始しており、価格は933万4000円となっている。同モデルには、購入特典としてジャガー推奨の家庭用充電器(戸建て向け標準工事費用含む)が無料で付帯されることもアナウンスされた。

 また、ハンソン社長は今後もPHEVモデルの拡充を図っていくとともに、EV「I-PACE」の2020年モデルを今夏に導入することも発表した。

E-PACE PHEV LAUNCH EDITION

 さらに日本でBEVを導入する2025年に向け、充電設備への投資を行なっていることを報告。今後、全国で展開するすべてのジャガー正規ディーラーには充電設備を完備するとともに、ウェスティンホテル東京や静岡県の川奈ホテルなどと協力し、充電器の設置を行なっていくとしており、提携先は今後も拡大していくとのこと。

 また、BEVのスペシャリストの育成にも取り組んでおり、現時点で全国に47名のスペシャリストがいるところ、2023年末までに100名体制に拡大させるとしており、ハンソン社長からは「お客さまの電気自動車に関する疑問や心配なことに瞬時に対応できる販売体制を構築していきます」と語られた。

充電設備への投資やBEVのスペシャリストの育成にも取り組んでいる

 そのほか、日本初の新たなファイナンス・プログラム「NEW JAGUAR FINANCE FOR YOU PROGRAM」を7月1日に導入することも紹介。これは4年間で4台のジャガーの最新モデルに乗り継ぐことができる日本初のファイナンス・プログラムで、車両本体価格の1%相当の月額使用料でジャガーの全ラインアップの中から好みのモデルを選ぶことができ、さらに頭金や残価清算負担金は発生しないというもの。

ジャガーユーザーに向けたサポート・サービスの新コンセプト「NEW JAGUAR SERVICE FOR YOU」

 同時に、ジャガーユーザーに向けたサポート・サービスの新コンセプト「NEW JAGUAR SERVICE FOR YOU」も合わせて展開。オンラインによる入庫予約、入庫時の代替交通手段の提供、無料の簡易車両チェック、認定テクニシャンによるメンテナンス、品質の高い純正部品、入庫時の無料洗車/車内清掃サービス、使用部品や作業内容まで明確に記載した見積り、24時間365日のトラブル対応、3年間のメンテナンスという幅広いサービスを9つにまとめ、正規販売ディーラーネットワークならではの充実したサポートや要望に合わせた迅速なサービスを提供していくという。