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TOYOTA GAZOO Racing、2連覇を目指しダカールラリー2023に「GRダカールハイラックスT1+」3台体制で出場

2022年12月5日 発表

 TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は12月5日、2023年の年始早々に開幕するダカールラリー2023に「GRダカールハイラックスT1+」の3台体制で出場すると発表した。

 また、トヨタ車体のチームランドクルーザー・トヨタオートボデー(TLC)をサポートし、ダカールラリー2022では市販車部門において9連覇を達成したTLCは新型「ランドクルーザー300 GR SPORT」の2台体制で、日野チームスガワラはハイブリッドシステムを搭載した「HINO 600シリーズ」1台体制でトラック部門に挑む。

 ダカールラリー2023は、2022年12月31日にサウジアラビアの北西海岸部でスタートし、内陸部の都市ハイルへと向かったのち、サウジアラビア南東方向へと進み、エンプティ・クォーター(空白地帯)と呼ばれる地域を通過したあと、北へと向きを変え、翌年1月15日にサウジアラビア東海岸のダンマームでゴールを迎える。

 2019年、トヨタに初のダカールラリー優勝をもたらしたナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組は2022年大会も制し、2023年大会では2連覇を目指す。この王者に2022年の南アフリカ・ラリーレイドシリーズチャンピオンと同2位のジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組、ヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組が加わる強力なドライバーラインアップで、世界一過酷なラリーと言われる伝統のイベントに挑んでいく。

 ダカールラリーは、FIA世界ラリーレイド選手権(W2RC)の2023年シーズン開幕戦でもあり、アル-アティヤ/ボーメル組は、昨年世界選手権として新設された、この世界一タフなクロスカントリーラリーレイドのシリーズで初代チャンピオンを獲得。アル-アティヤ/ボーメル組はこのW2RCシリーズに2023年シーズンもフル参戦し、連覇を目指す。

 なお、2023年シーズンのW2RCは全5戦で争われ、1月のダカールラリーを皮切りに、2月末のアブダビ・デザートチャレンジ、4月にメキシコを舞台に行なわれるソノラ・ラリー、8月末のアルゼンチンで戦われるデサフィオ・ルータ40と続き、10月半ばに予定されているラリー・オブ・モロッコで最終戦を迎える。

 ド・ヴィリエール/マーフィ組とラテガン/カミングス組はダカールラリーを戦ったあと、南アフリカラリーレイドシリーズ(SARRC)にTOYOTA GAZOO Racing南アフリカ(TGRSA)から参戦。このシリーズ参戦で、GRダカールハイラックスT1+の主なテストと開発が続けられる。

 2022年シーズンのSARRCは全7戦で競われ、ド・ヴィリエールがシリーズチャンピオンを獲得。2021年のチャンピオンであるラテガン/カミングス組はシリーズ2番手で続き、世界で最もタフなラリーレイドシリーズの1つである同シリーズでTGRSAはランキング1位、2位を独占した。

Marcin Kin/Red Bull Content Pool

 ダカールラリーで勝利を挙げたあとも、2022年のタフなシーズンを戦い続けたことで、GRダカールハイラックスT1+は品質と耐久性、信頼性にさらなる磨きをかけ、トヨタの理念である「もっといいクルマづくり」に基づき、チームはW2RCとSARRCを戦う中で走破してきた通算2万5000km以上にわたるラリーとテストでの経験を十分に活用。そして、この計130日におよぶ走行でクルーはさらにパフォーマンスの向上を果たし、W2RCとSARRCの両タイトルをチームにもたらしたとしている。

 2023年シーズン、FIAはGRダカールハイラックスT1+を含むT1+クラス車両と、その直接的なライバルとなるT1U(アルティメット)クラスの性能調整でバランスを取るために、双方の性能を接近させ、より競争の激しいラリーとなるよう、規則をアップデート。例えば、T1+クラスとT1Uクラスの車両はどちらも最高出力を30kW削減し、それに伴いエンジン出力カーブも調整され、ガソリンターボエンジンを搭載するT1+車両の高地での補正機能は禁止された。

 同時に、TGRはGRダカールハイラックスT1+の品質と耐久性、信頼性をさらに向上させ、ダカールラリー、W2RCおよび、SARRCの過酷な戦いに立ち向かえるように、常に改良を続けているとのこと。デファレンシャルやウィッシュボーンといったサスペンションの部品が強化されているほか、シングルダンパーのセットアップやトランスミッションのシフト特性も最適化。最新のレース用燃料に対応するとともに、FIAが設定し要求する性能調整に適合するようにソフトウェアの調整も行なわれた。

 なお、GRダカールハイラックスT1+は、プライベーターにも提供され、ダカールラリー2023では、7台のGRダカールハイラックスT1+がプライベートチームから参戦する予定。これらの車両は、TGRの参戦車両と同じ仕様とセットアップで出場することとなるとしている。

チーム代表、選手コメント

TGR W2RCチーム代表 アラン・デュハディン氏

 今年はわれわれにとって素晴らしいシーズンでした。ダカールラリー2022の勝利でシーズンをスタートし、初代のW2RCチャンピオンという栄冠も加えることができ、また、ジニエルがSARRCでのチャンピオンを獲得しました。この偉業を成し遂げてくれた3台のクルー全員に感謝します。彼らは常に限界への挑戦を続けていますし、技術面でもグリン・ホールがGRダカールハイラックスT1+の絶え間ない改良を続けてくれているので、来るダカールラリー2023への準備はこれまで以上に整っていると思います。

TGRダカール&SARRCチーム代表 兼 テクニカルディレクター グリン・ホール氏

 ダカールラリー2023を目前に控え、世界で最も過酷な自動車レースに3台体制で挑めることが楽しみです。われわれはこの1年間、懸命な作業でGRダカールハイラックスT1+の改良を進めてきたので、あの過酷なラリーへ向けての準備は万端整っており、力強く戦えると確信しています。

ナッサー・アル-アティヤ選手

 2022年のW2RCチャンピオン獲得は私の最初の目標だったので、それを達成できて本当に誇らしく思います。また、GRダカールハイラックスT1+はシーズンを通して着実に進化を遂げており、ナミビアでの最終テストを経て、間違いなく最良のGRダカールハイラックスT1+に仕上がったと思います。あとはサウジアラビアへと向かうだけです。

ナッサー・アル-アティヤ選手(ドライバー)
マシュー・ボーメル選手(コ・ドライバー)

ジニエル・ド・ヴィリエール選手

 今年は、特にSARRCで大変な挑戦でしたが、2022年のタイトルを獲得し、チームとしても大きく成長できました。GRダカールハイラックスT1+もわれわれと共に進化してきたので、来るダカールラリー2023にまた出場できるのが本当に楽しみです。SARRCのチャンピオンを獲得したことで、ダカールラリー2023でも優勝を争えるという自信がつきましたし、スタートが待ちきれません。

ジニエル・ド・ヴィリエール選手(ドライバー)
デニス・マーフィ選手(コ・ドライバー)

ヘンク・ラテガン選手

 ダカールラリー2022は私にとって学習の年だったと思いますが、素晴らしい経験でした。ダカールラリー2023は、その経験を活かしての挑戦となりますし、GRダカールハイラックスT1+も進化しています。サウジアラビアのラリーに全力で挑みたいと思います。

ヘンク・ラテガン選手(ドライバー)
ブレット・カミングス選手(コ・ドライバー)

GRダカールハイラックスT1+(2023年仕様)

エンジン:V35A 市販仕様
エンジンベースモデル:ランドクルーザー300
エンジンタイプ:ツインターボガソリン
コントロール規則:FIA規定パワーカーブによるブースト制限
最大出力:266kW/5100rpm
最大トルク:620Nm
エンジンマネージメント:モーテック
トランスミッション:Sadev製6速シーケンシャル
ディファレンシャル:前後および中央全てLSD
クラッチ:セラミックツインプレート、直径215mm
シャシー構造:チューブラーフレーム
ボディサイズ:4810×2300×1890mm(全長×全幅×全高)
ホイールベース:3140mm
車重:2000kg、FIA規定最低重量(ドライ車重)
車体:トヨタ ハイラックスダブルキャブピックアップ 複合素材ボディ
フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン、ストローク350mm
リアサスペンション:ダブルウィッシュボーン、ストローク350mm
ホイール:Evo Course、17インチ
タイヤ:BFグッドリッチ、37インチ
燃料タンク:FT3安全セル、540L