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フェラーリ、2023年に開催する「フェラーリ・チャレンジ・ジャパンシリーズ」を紹介する「THE NEW FERRARI CHALLENGE JAPAN KICK OFF」
2022年12月15日 08:00
- 2022年12月13日 開催
フェラーリの顧客レース部門であるコルセ・クリエンティは12月13日、富士スピードウェイホテルで「THE NEW FERRARI CHALLENGE JAPAN KICK OFF」を開催し、2023年に「フェラーリ・チャレンジ・ジャパンシリーズ」を創設することを発表した。
このフェラーリ・チャレンジとは、世界中のフェラーリドライバーが参加するワンメイクレースで、使用する車両は「488 Challenge Evo」となる。
開催するサーキットは4か所。4月8日~9日が富士スピードウェイ、5月6日~7日がオートポリス、7月1日~2日が富士スピードウェイ、7月15日~16日が鈴鹿サーキット、8月19日~20日がスポーツランドSUGOとなっている。
セットアップまで同一条件で行なうフェラーリ・チャレンジ
富士スピードウェイホテルで開催された「THE NEW FERRARI CHALLENGE JAPAN KICK OFF」では、フェラーリ・ジャパン代表取締役社長のフェデリコ・パストレッリ氏が最初に登場し、「フェラーリはユーザーの皆さまにドライブをしていただく、そしてスピードを体験していただく、レースカーの本領を体験していただくという機会を提供します。そのために立ち上げたのがチャレンジカップというモータースポーツイベントです。こうしたイベントを日本で開催する理由としては、日本が世界のトップ市場の1つだからです。世界的にも日本という市場の認知度は高いものです。また、日本はモータースポーツに興味を持つ人が多いことも理由です。そうした国でフェラーリ・チャレンジを行なえることをうれしく思っています」と語った。
フェラーリ顧客レース部門であるコルセ・クリエンティの活動についてはフィリッポ・ザニエール氏から解説された。
ザニエール氏は「日本のフェラーリオーナーの多くがレースに興味を持っています。そしてフェラーリのモータースポーツは近年で大きく進歩していて、ユーザーの方々にとってレース活動がとてもやりやすい環境になっているのです。この点について詳しく解説していきましょう」と前置き。
続けて「フェラーリのレース部門について紹介します。フェラーリでのレース部門は2つに分かれています。1つはコルセ・クリエンティ。こちらはフェラーリ・チャレンジ、コルソ・ピロタ、XXプログラムといった顧客向けの活動を担当しています。そしてもう1つがコンペティツィオーニGTで、専門的なレースを担当する部門となっています」と説明をした。
フェラーリが行なうモータースポーツへの入口は「コルソ・ピロタ」というものだ。これはフェラーリによるスポーツ走行をこれから始める人をサポートするプログラムとなっている。講習は3つの段階に設定されていて、まずはサーキット走行を体験することから。続いてはなるべく速く走りたいという要求に応える内容にステップアップする。そしてレースを走るために必要な専門的なドライビングを学ぶコースが用意されている。
コルソ・ピロタの上には「クラブ・チャレンジ」が用意されている。こちらはフェラーリ・チャレンジ用の車両を所有するオーナー専用のドライビング・プログラムとなっていて、レーシング フェラーリでサーキットを走行するものだ。内容はタイムアタックとなるので、他の車両と同時走行での競い合いはない。リラックスした状態で自身のドライビングができる。その上で個別のドライビング指導が行なわれる。アジア太平洋地区、それぞれの国で開催されているが、開催回数、開催サーキットの数は日本は中東と並んで活発に行なわれているという。
クラブ・チャレンジは他の車両との競い合いがないタイムアタックだが、レース仕様車を手に入れたのだからやはりレースがしたいというオーナーもいる。そのために用意されているのがフェラーリ・チャレンジだ。
フェラーリ・チャレンジは30年前にイタリアで始めた取り組みで、現在では2023年からスタートする日本を含めて、世界中で4つの選手権が開催されるものとなっている。なお、エリアでなく「国単位」の選手権として、日本はイギリスに次ぐ2つ目のシリーズとなる。ザニエール氏によると「これはフェラーリが日本市場を重要としている証明」という。
フェラーリ・チャレンジは年齢、経験、タイムを元にいくつかのクラスに分けられている。フェラーリ・チャレンジで使用する車両は仕様もセットアップもすべて同一のものなので、そこには同レベル同士のドライバーによる競い合いの面白さがある。そのためにドライバーのスキルに合わせたクラス分けが重要になるのだ。
設けられているクラスは下位クラスがコッパ・シェルで上位がトロフィオ・ピレリとなり、それぞれにアマチュアドライバーのためのAMクラスが設定されているので、参加ドライバーは自分に合ったクラスを選択する。
最後はフェラーリ・ジャパンの稲垣氏が登場。2023年に日本で開催されるフェラーリ・チャレンジ・チャンピオンシップについて解説した。
稲垣氏によると、日本はモータースポーツファンが多く、F1やWEC、SUPER GT、スーパーフォーミュラなどの大きなレースが数多く開催されている環境であり、フェラーリもサーキット専用車を多く販売している世界有数のマーケットであるとのこと。そうした国でのフェラーリ・チャレンジの開催はとても意味があることなのだという。
2022年までのフェラーリ・チャレンジは3つの地域で開催され、世界中で100名以上の参加者がいるとしている。ここに組み込まれる日本ラウンドであるが、フェラーリ・ジャパンが意識したのは「これは日本のお客さま向けのレースである」ということ。
フェラーリ・チャレンジはプロが参加できないジェントルマンオンリーのレースなので、エントラントは普段は本業の仕事をこなしている。そんな多忙なエントラントが参加しやすくするために、レースは週末の2日間で行ない、エントリーからホテルの手配、レーシングスーツの用意、開催中のホスピタリティ、リラクゼーションラウンジの設置、専用更衣室、レーシングスーツのランドリーサービス、ヘルメットドライヤー、パーソナルロッカーなどが用意されるので、エントラントは金曜日、仕事が終わったらヘルメットとHANSのみを持ってサーキットへ向かえばいいという体制なのだ。
フェラーリ・チャレンジは同一の車種で競うものであるが、他のワンメイクレースで見られるような「ドライバーごとにセットアップを変える」ということは禁止されている。つまりは本当の意味でのワンメイクレースだ。
こうしたルールを成立させるためにテクニカルアシスタントとしてフェラーリのセミワークスとも言える存在の「AFコルセ」からエンジニアが来日し、エントリー車の状態をチェックする。そしてメカニックも個々のチームで用意するのでなく、AFコルセのエンジニアの下にディーラーから派遣されたメカニックが付いて作業を行なうこととなる。マネージャーの下にエンジニアとシニアエンジニア(ともにAFコルセのスタッフ)がいて、その下に4名のメカニックが付く。このユニットで4台の車両を担当する仕組みだ。
フェラーリ・チャレンジへのエントリーは自身でレースに参加できる488 Challenge Evoを所有している人が対象。これはフェラーリ・チャレンジ自体が、フェラーリオーナーが抱くレース参戦希望の気持ちに応えるものであることが根底にあるため。とはいえ個人所有のクルマなので他人にレンタルすることも可能とは言うが、前記したコルソ・ピロタやクラブ・チャレンジといったステージを見てもフェラーリのこの取り組みは“自分で走る”ことがもっとも“らしい”と言えるものなのだ。
そして気になるエントリー費だが、フルシーズン、5つのレースすべてにエントリーするケースでは1360万円。希望のレースだけに出るシングルエントリーは1戦370万円となっている。なお、この金額はただレースに出るだけのものでなく、予選、決勝用のタイヤ2セット、燃料代、インストラクターとレースエンジニア、メカニックサポート、スペアパーツサポート、オフィシャルレーシングスーツキットにパドックでのカジュアルウエアなどなど、特別な待遇も含まれたものとなる。
このようなフェラーリ・チャレンジ・ジャパンシリーズ。2023年は4月8日~9日の富士スピードウェイから開幕となるので、興味がわいた方は観戦に出かけてみてはいかがだろう。