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日産、EVオープン「Max-Out」初公開イベント e-4ORCEや全固体電池の搭載が前提のコンセプトカー

2023年2月2日 発表

Max-Outの実車を日産グローバル本社ギャラリーで初公開

 日産自動車は2月2日、EV(電気自動車)オープンのコンセプトカー「Max-Out」(マックスアウト)の実車を日産グローバル本社ギャラリーで初公開した。日産は2月4日~3月1日の期間、同社が考える持続可能なモビリティと革新的なデザインの未来を体感できるイベント「Nissan FUTURES」を同ギャラリーで開催する。期間内であればMax-Outを誰でも見学できる。

 日産は2021年11月に長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」を発表。このときに「アリア」と同じCMF-EVプラットフォームを使った新コンセプトモデル「CHILL-OUT」とともに、今後のBEVビジョンを示すコンセプトカーとして今回のMax-Out、そしてマルチSUV「ハングアウト(HANG OUT)」、ピックアップトラック「サーフアウト(SURF OUT)」の3台をデジタル上で公開していた。

 そのMax-Outの実車が今回公開されたわけだが、開放感とダイナミックなドライビング体験を予感させるデザイン、4輪制御技術「e-4ORCE」を採用するといったことに加え、自社開発中である全固体電池の搭載が前提となっているのが新しい。

 日産では2028年の市場投入を目指して、2024年に横浜工場内に全固体電池のパイロット生産ラインの導入を計画しており、この全固体電池のエネルギー密度は現在のリチウムイオン電池の2倍を目標にしている。さらに充電時間は現在のリチウムイオン電池に比べて3分の1に短縮することが目標として掲げられており、EVのゲームチェンジャーになり得る存在として期待がかかる。

全固体電池の搭載が前提となるEVオープンカーのMax-Out
1990年代を想起させるグラフィックを採用したインテリア

 はじめに登壇した日産自動車 グローバルプロダクトマーケティング部 理事(VP)のパンディクシラ・ポンズ氏は長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」について触れ、「これは移動と社会の可能性を広げる長期ビジョンの発表でした。今は次のステージに進んでおり、二酸化炭素の排出削減、インテリジェントなドライビングシステムの開発、そして新しい電動化製品であるアリアなど直実に成果を上げてきました」と報告するとともに、2月4日からはじまる「Nissan FUTURES」についてさまざまなイベントやパネルディスカッションを実施するとし、「日産の社員、外部の専門家、インフルエンサーの方々に将来の社会におけるモビリティのニーズや、私どもの日常生活においてモビリティの技術がいかに重要な役割を果たすか、そういったことについて議論していただきたいと思っております」と述べ、イベントへの参加を呼び掛けた。

日産自動車株式会社 グローバルプロダクトマーケティング部 理事(VP)のパンディクシラ・ポンズ氏
「Nissan FUTURES」ではさまざまなイベントやパネルディスカッションが実施される

 また、ビデオレターで登場した日産自動車 第二プロダクトデザイン部 シニアデザインダイレクターのアローバ・ジオバーニ氏は、「2021年のNissan Ambition 2030では当社の将来ビジョンを表現した3タイプのEVコンセプトカーをデジタルで公開しました。世の中のトレンドは急速に変化し続けています。私たちはお客さまの心を揺さぶり期待を上まわる商品を開発し続ける必要があります。新しいスタイリング手法を私たちは『Japanese Futurism』と呼んでいます。EV全盛の時代においてお客さまがクルマにロマンを感じていただけるようなデザインの方向性を示すものです。私はMax-Outが日産の次なる芸術的ステージを体現するものであると確信しています。Max-Outは『運転者や同乗者がクルマと一体化する』ことを基本コンセプトにデザインされました。優れた解放感、そして高い安定性と快適性でこれまでにないダイナミックなドライビング体験を提供します。日産には先進的でお客さまをあっと驚かせるさまざまなクルマを開発するイノベーションがあり、それが人々や社会全体にどんな価値をもたらすかというビジョンも明確です。Max-Outは私たちがデザインと開発に注ぐたゆまぬ情熱の象徴なのです。さながらタイヤの付いた3D映画館のようであらゆる感覚に訴えます。まるで渋谷の街で感じられるワクワク感です」と、Max-Outについてアピールした。

日産自動車株式会社 第二プロダクトデザイン部 シニアデザインダイレクターのアローバ・ジオバーニ氏

 そして日産コンセプトカーのデザインを担当する、第二プロダクトデザイン部 デザインマネージャーのユー・リーハオ氏はMax-Outのデザインコンセプトが“駿”であり、Japanese Futurismや全固体電池によって流麗で未来的な外観を作り出すことができたと報告。また、ホイール内側から外に向けてグラフィックが映し出されるパラボリック・ホログラム・ホイールが、クルマをさらに躍動的で刺激的なものにしていると紹介した。

 一方、2シーターレイアウトのインテリアでは物理スイッチを使用せず、シンプルなものに仕上げており、これによってドライバーにドライブする楽しさに集中してもらうようにしているという。また、デザインについては1990年代を想起させるグラフィックを採用していることが特徴になるとのこと。

日産自動車株式会社 第二プロダクトデザイン部 デザインマネージャーのユー・リーハオ氏
2月4日~3月1日の期間、日産が考える持続可能なモビリティと革新的なデザインの未来を体感できるイベント「Nissan FUTURES」を日産グローバル本社ギャラリーで開催。Max-Outの展示とともにMax-Outのシミュレーター体験、アリアのカットモデルなども展示される
プロパイロットコンセプトゼロ試作車など普段なかなかお目にかかれないモデルや、e-POWER車など多数の電動車も展示される。その中でGT-R NISMO ニュルブルクリンクタイムアタック車は異彩を放つが、将来の電動化を示唆したもの?