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トライアル世界選手権 日本GP、モビリティリゾートもてぎで4年ぶりに開催 表彰台はブスト、ボウ、ラガの3強が独占
2023年5月22日 13:30
- 2023年5月20日~21日 開催
2023 FIMトライアル世界選手権シリーズ 日本GPが4年ぶりに開催された
2023年5月20日、21日の2日間に渡り、「2023 Hertz FIMトライアル世界選手権 第3戦 大成ロテック 日本グランプリ」がモビリティリゾートもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)で開催された。日本国内での世界選手権開催は実に4年ぶり。日本人選手も全日本トライアル選手権などで活躍する11名が参戦した。
トライアル世界選手権では2日間ともにレースの本戦が実施され、1日目は2022年まで16年連続チャンピオンのトニー・ボウ選手(Repsol Honda Team、Montesa)が貫禄の優勝。2日目は近年頭角を現しつつある若手ライダーのハイメ・ブスト選手(GASGAS Factory Racing、GASGAS)がボウ選手を抑えて勝利した。ここでは2日目の内容を中心にレポートする。
競技会場には選手にアドバイスする藤波氏の姿も
コース難易度の違いにより、TrialGPクラスを筆頭にTrial2、Trial3およびTrialGP Women(女性のみ)の3クラスに分けられている同選手権。2023年の日本グランプリでは、そのうちTrialGP、Trial2、TrialGP Womenの3クラスが実施され、もてぎの自然体験施設「ハローウッズの森」や山の斜面に作られた12のセクション(コース)が戦いの舞台となった。
レースは12セクションを2周して争われる。1セクション内でのミスは加点(最大5ポイント)の対象となり、片方の足つきは1ポイント(最大3ポイント)、停止や後退などでは5ポイントが加算され、その合計がトータルのスコアとなる。したがって、上位を狙うには各セクションでできるだけ少ないポイント数で通過し、12セクション×2周を走りきることが求められる、というルールだ。
今大会は2019年の日本グランプリよりセクションが3つ減って12となり、さらに森の中のセクションが削減されて山の斜面を中心とした舞台構成となった。4年ぶりの開催ということで大会規模が縮小された感もあるが、観客にとっては移動や観戦がしやすい環境になったと言える。1日目は雨の影響で滑りやすく苦戦する選手が多かったものの、2日目は好天に恵まれ、路面コンディションも比較的良好だったようだ。
これまでは、世界選手権に唯一日本人選手としてフル参戦していた藤波貴久氏が日本グランプリの「顔」ともなっていた。が、同氏は2021年シーズンを最後に現役を引退、選手としての活躍は見納めに。それでも、現在はRepsol Honda Teamの監督としてチームに帯同しており、選手とともにセクションを回りながらアドバイスを送る姿が見受けられた。
ボウ選手、最後に追い上げ同点フィニッシュも、クリア数でブスト選手に軍配
大会2日目のTrialGPクラスは、ブスト選手が序盤から2ラップ目の終盤までミスを少なく抑え、ボウ選手に9ポイントの差を付けて優勝は盤石かと思われた。が、最終盤のセクション11、12を連続でミスし、10ポイントが加算。一方のボウ選手はどちらもノーミスで走りきり、土壇場で同ポイント数で並ぶ。ボウ選手が意地の逆転勝利を手中にしたかと思われたが、レギュレーション上、ノーミス(クリア)の回数が2回多かったブスト選手が優勝し、今季3勝目を手にした。
結局2日目の2位はボウ選手、3位は1日目と同じくアダム・ラガ選手(TRRS)。ボウ選手のチームメイトであり、藤波貴久氏の後継とも言えるガブリエル・マルセリ選手(Repsol Honda Team、Montesa)は2日間とも4位だった。
日本人選手11名は全員がTrial2クラスへの参戦。1日目の最高位は野崎史高選手(Yamaha)の5位で、2日目は黒山健一選手(Yamaha)の4位。黒山選手は3ポイント差で惜しくも表彰台に届かなかったが、出場全選手のなかで唯一、ヤマハの電動バイク「TY-E 2.1」を使用し、他車とは違うモーターの甲高い音と、それでいてエンジン車のようなアイドリング音もあるという、ユニークなサウンドを響かせて観客の注目を浴びていた。