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広島G7サミットの「G7広島首脳コミュニケ」 新車販売の電動化やバイオ燃料などのカーボンニュートラル燃料を促進

2023年5月19日~21日 開催

G7に加え、EU議長らも加わって発出された広島G7サミットの「G7広島首脳コミュニケ」

G7広島首脳コミュニケ

 5月19日~21日に広島で行なわれたG7広島サミットでは、カーボンニュートラルともかかわる気候・エネルギーなどの問題についても数多く討議された。

 その1つが5月20日に発出された「G7 Hiroshima Leaders' Communiqué(G7広島首脳コミュニケ)」であり、19日に発表されたコミュニケの付帯文書となる「G7 Clean Energy Economy Action Plan(G7クリーン・エネルギー経済行動計画)」になる。

 全文は関連記事を参照していただきたいが、大きな方針としてうたわれているのが「ロシアによるウクライナに対する侵略戦争が世界のエネルギー市場とサプライチェーンに影響を与えているが、遅くとも2050年までに温室効果ガス(GHG)排出ネット・ゼロを達成するという我々の目標は揺るがない」ということ。「世界のGHG排出量を2019年比で2030年までに約43%、2035年までに約60%削減することの緊急性が高まっていることを強調」している。

 この目標を達成するための手段は、「我々は、国の状況を考慮して、多様かつ現実的な道筋を通じた気候変動に強靭で、循環型で、ネイチャーポジティブな経済及びネット・ゼロGHG排出への移行を支援することを含め、排出削減を加速するために、開発途上国及び新興国に関与する」としており、G7先進国が支援することで地球規模の排出量削減を目指していく。

 その際には、特定のエネルギーに依存せず強靭・廉価・持続可能性を重視することを付帯文書で発表。

 コミュケのほうでは、「2035年まで又は2035年以降に小型車の新車販売の100%又は大宗を排出ゼロ車両にすること、2035年までに乗用車の新車販売の100%を電動車とすること、関連するインフラ及び持続可能なバイオ燃料や合成燃料を含む持続可能なカーボンニュートラル燃料を促進することを目的とする国内政策を含め、我々のそれぞれが保有車両を脱炭素化するために取る様々な行動を強調する」としており、電動車やバイオ燃料、カーボンニュートラル燃料車を新車販売においては促進していく。

 既販車については、「我々のそれぞれが保有車両を脱炭素化するために取る様々な行動を強調する」としており、上記の技術を用いながら、あらゆる手段で低炭素・脱炭素化を図っていく。

 ロードマップとしては、国際エネルギー機関(IEA)の「エネルギー技術の展望2023」の調査結果を考慮し、「ネット・ゼロ達成への中間点として、2035年までにG7の保有車両からのCO2排出を少なくとも2000年比で共同で50%削減し、また、その進捗を年単位で追跡する可能性に留意する」としており、G7が積極的に低炭素・脱炭素化を進めていくことを宣言している。

 水素は小型車というよりも、運輸や発電などのエネルギー分野において言及されており「低炭素及び再生可能エネルギー由来の水素並びにアンモニアなどのその派生物は、摂氏1.5度への道筋と整合する場合、産業及び運輸といった特に排出削減が困難なセクターにおいて、セクター及び産業全体の脱炭素化を進めるための効果的な排出削減ツールとして効果的な場合に、温室効果ガスであるN2Oと大気汚染物質であるNOxを回避しつつ、開発・使用されるべきであることを認識」と位置付けている。

 その上で、水素のルール作りにもふれ、「炭素集約度に基づく取引可能性、透明性、信頼性及び持続可能性のための水素製造のGHG算定方法及び相互認証メカニズムを含む国際標準及び認証を開発する重要性を認識」と、行動指針を示していた。

 G7首脳の共同宣言である「G7広島首脳コミュニケ」および付帯文書となる「G7クリーン・エネルギー経済行動計画」では、電動化に加え、バイオ燃料・合成燃料のカーボンニュートラル燃料、水素などを用いて強靭・廉価・持続可能性を重視したエネルギーを目指していくようだ。