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アウディ、2024年のダカールラリーに向けて「RS Q e-tron」のテスト走行をサウジアラビアで実施

2023年5月31日(現地時間) 発表

アウディは2024年のダカールラリーに向けて「RS Q e-tron」のテスト走行をサウジアラビアで実施した

 2023年1月のダカールラリーに参戦したTeam Audi Sportは5月31日(現地時間)、2024年のダカールラリー参戦に向け、レース中に「RS Q e-tron」に起きたトラブルを調査するため、サウジアラビアでテスト素行を実施し、トラブルの原因調査を完了したと発表した。

 Team Audi Sportは1月のダカールラリー終了後から、サスペンションおよびタイヤの問題の分析を開始。電動パワートレーンは完璧に機能し、15日間で合計14回の表彰台を獲得した一方で、タイヤのパンクなどさまざまなトラブルに見舞われ、マティアス・エクストローム/エミール・ベリークヴィスト組、ステファン・ペテランセル/エドゥアール・ブーランジェ組、カルロス・サインツ/ルーカス・クルス組の各チームは、上位争いからの後退を余儀なくされたとしている。

RS Q e-tronは電気モーター駆動のラリーカーだが、砂漠に充電ステーションがないため走行中に高電圧バッテリを充電するためのエネルギーコンバータの役割を担うTFSIエンジンを搭載している

 Audi Motorsport責任者のロルフ・ミヒェル氏は、「私たちのテクノロジー、チーム、そしてドライバーとコドライバーは、優勝争いに参加できるポテンシャルを秘めています。それぞれのステージにおける結果は、それを証明するものです。そのため、タイヤのパンクやその他の小さなトラブルによって順位が後退してしまったことを、非常に残念に思い、解決策を見つける必要がありました。私たちが体系的に計画したテストでは、理論的な分析を行ない、来年に向けての重要なステップとなりました」と語っている。

Audi Motorsport責任者のロルフ・ミヒェル氏

 チームは、公式タイヤサプライヤーであるBF Goodrichの2種類のタイヤを使用してパフォーマンスを比較し、1月のレースで発生した状況を再現するために、さまざまなテストコースを走行。エンジニアは、グラベル(砂利)と砂を含む約13kmの高速コースでパフォーマンス面の調査を行ない、石の多い約11kmのコースでは耐久性とダメージの種類に重点を置いてテストを実施。また、シャシーは荒れた路面でも効率よく安定して動作する必要があるため、ショックアブソーバーにも焦点を当て、シャシーに設置した荷重および加速度センサーも活用して分析したという。

整備中のRS Q e-tron

 アウディのダカールラリー参戦パートナーであるTeam Q Motorsportのスヴェン・クヴァント代表は、「今回のテストは、非常に過酷な条件下で実施されました。Audi Sportがこのテストを完璧にサポートしてくれた結果、走行中のタイヤのパンクを再現することができ、これにより1月のレース中に発生した状況をより深く分析できました。サスペンションの設定がタイヤのトラブルに密接に関係していることが判明したために変更を加えました。まだ完璧な解決策を見出したわけではありませんが、このテストは大きな価値があり、私たちは正しい方向に進んでいます」と述べている。

Team Q Motorsportのスヴェン・クヴァント代表
RS Q e-tron

 サウジアラビアで行なわれたテストには、1月のアクシデントで負傷したカルロス・サインツ選手は順調に回復していて、コドライバーのルーカス・クルス選手とともに参加。また、マティアス・エクストローム選手も、ペアを組むコドライバーのエミール・ベリークヴィスト選手と参加した。

 ロルフ・ミヒェル氏によると、「今回のテストは肉体的に非常に過酷なコースで実施されたため、1月に負傷したステファン・ペテランセル選手のコドライバー、エドゥアール・ブーランジェ選手は参加を見送りました。彼の体調はまだ万全ではないため、さらなる治療のため、過度なストレスは禁物です。これは、正しい判断だと思います」と述べ、テストでは、ステファン・ペテランセル選手もサインツ選手のコドライバーであるルーカス・クルス選手とコンビを組んで走行したという。

カルロス・サインツ選手
カルロス・サインツ選手のコドライバーを務めるルーカス・クルス選手
コドライバーのエミール・ベリークヴィスト選手(左)とドライバーのマティアス・エクストローム選手(右)
ステファン・ペテランセル選手

 Team Audi Sportがサウジアラビアで行なったテストでは、最高42℃の気温と度重なる強風に見舞われ、チームスタッフにとっても条件は厳しいものだったが、電気ドライブシステムとreFuelを使用した低エミッション エネルギーコンバータを搭載したRS Q e-tronはトラブルなくテストを完了。2568kmに渡り高い信頼性を示したRS Q e-tronは、2024年のダカールラリーに向けて、さらなる開発が進められるという。

RS Q e-tron