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パイオニア、米国CerebrumXへの出資と業務提携でコネクテッド領域の事業を強化

2023年6月6日 発表

 パイオニアは6月6日、AI(人工知能)を活用したモビリティデータサービスを展開するCerebrumX Labs(米国ミシガン州)への出資および業務提携を決定し、モビリティサービス事業の成長加速に向けた取り組みを推進していくことを明らかにした。

 両社は戦略的パートナーシップを締結し、OEM向けコネクテッドサービスをはじめ、保険、フリート管理、整備メンテナンスなど、アフターサービス提供企業向けにデータに基づく革新的なモビリティサービスを開発することに合意。これにより、両社は北米と日本を起点にグローバルに協業事業を拡大し、今後普及拡大するコネクテッドカーとパイオニアのコネクテッド商品を搭載した既販車の両方に対応するワンストップのコネクテッドサービスプラットフォームの提供を目指していく。

 今回のパートナーシップにおいて、パイオニアは未来の移動体験を生み出す独自のモビリティAIプラットフォーム「Piomatix(パイオマティクス)」を活用したモビリティサービスや既販車に後付け可能なコネクテッド製品を提供。

 CerebrumXは、OEM各社との連携により、北米市場におけるコネクテッドカーの70%、1500万台以上の車両からリアルタイムデータを収集、統合、分析するプラットフォームを運用し、保険、フリート管理などの3rdパーティーパートナー向けに革新的なサービスを提供しており、今回のパートナーシップではコネクテッドカーのデータを取得、統合し、AI/ML(機械学習)アルゴリズムによりさまざまな企業に適した高度な分析を行ない、有用なインサイトを得られる業界初の「Augmented Deep Learning Platform(ADLP)」を提供する。

 このパートナーシップにより、コネクテッドカーと非コネクテッドカーの両方に対応するCerebrumXの単一プラットフォームとなるADLPを活用し、フリートオペレーターのリアルタイムモニタリングによる総所有コスト(TCO)の最適化、ドライバーの行動に基づく自動車保険会社の個別保険プランの開発、EVエネルギーマネジメントによるグリーンモビリティの推進、車両のダウンタイムとメンテナンスに対する効果的なソリューションなどを共同で開発。

 パイオニアは、このOEMの新たなコネクテッドサービスや保険会社による新しい保険や保証、さらには需要が拡大するEVフリート管理やエネルギーマネジメントなど、幅広いパートナー企業とともにモビリティの新しい体験、サービスを創出し、ソリューションサービス事業をグローバルに拡大していくとした。

 パイオニア 代表取締役 兼 社長執行役員 矢原史朗氏は「CerebrumXに出資し、パートナーになることを大変喜ばしく思います。私たちは、コネクテッドAI自動車サービスが、未来の新しいモビリティ体験を促進すると確信しており、同社のチームとともにその未来を実現するために積極的な役割を果たしてまいります」とコメント。

 CerebrumX CEO Sandip Ranjhan氏は「コネクテッドカーと非コネクテッドカーの両方に単一のプラットフォームを導入するという当社の事業構想を進めるにあたり、パイオニアのサポートを得られたことを大変うれしく思います。また、このマイルストーンは、グローバル市場への参入を意味し、当社にとって大きな前進と考えています」とコメントしている。

 パイオニアは長年にわたり膨大なモビリティデータを蓄積し、分析することで、交通渋滞の解消や交通事故削減のためのサービスソリューションを自動車保険やフリートマネジメント向けに提供してきた。モビリティの電動化とコネクテッド化は今後ますます進み、これまでになかった新しいモビリティのユースケースが生まれることにより、モビリティデータの利活用は、個別車両に最適化された保険やリモートメンテナンスにとどまらず、EVルーティングや充電マネジメント、新しい車載アプリの開発やユーザーエクスペリエンスの向上まで、あらゆる面で大きなイノベーションの可能性を秘めているとした。