ニュース

トヨタ、液体水素カローラを富士からオートポリスへ向け進化 出力向上と40kgの軽量化を実現し給水素時間短縮

トヨタが開発を続ける液体水素カローラ

富士24時間以来のスーパー耐久参戦となった液体水素カローラ

 トヨタ自動車は7月29日、スーパー耐久第4戦オートポリスにおいて液体水素カローラの進化点を発表した。世界初の液体水素レーシングカーとしてデビューした液体水素カローラは、2024年5月の第2戦富士24時間を完走。初めての挑戦にもかかわらず無事に24時間レースを走りきった。

 この液体水素カローラでは、従来の高圧気体水素と異なり常圧でありマイナス253℃の液体水素を燃料として使っているのが特徴になる。このために必要となっているのが液体水素燃料タンクと、それを圧縮して送り出す燃料ポンプで、重量増に直結。試作車の段階では、高圧気体水素の水素カローラの約1700kgと比べて300kgほど重い2000kg程度のクルマとなっていた。

水素充填ユニットも改良された

 富士24時間参戦時までにタンクまわりなどで50kg軽量化。1950kgへの軽量化を果たしていたが、今回のオートポリス戦では燃料の圧力データを最適化することでポンプの駆動負荷を低減。負荷低減に伴い、さらに40kg軽量化し1910kgの重量を実現した。

 さらに燃料圧力の最適化を図れたことで、出力の向上も実現。すでに市販ガソリン車同等の出力は発生しているが、さらに数パーセント積み増すことができたという。この軽量化&出力向上により戦闘力は間違いなく向上しているものと思われる。

キーシステムである液体水素ポンプも改良

 トヨタの液体水素システムでは、液体水素を圧縮しながら燃料系に送り込むポンプがキーとなる技術だが、このポンプはマイナス253℃かつ水素燃料へ不純物を送り込まないために潤滑なしで動作する必要がある。そのため動作時間が短くなっており、富士24時間参戦時で10時間程度。今回は、その寿命をポンプの歯車部とベアリング部に、ギヤ駆動の負荷を低減する緩衝構造を採用することで30%ほど寿命を長命化。13時間程度の寿命にしたという。

 これにより、5時間レースであるオートポリスの決勝レースはもちろん、練習走行、予選、決勝を通じてのレースウィークにおいての無交換を実現したいとのことだ。

 また、水素の給水素についても改良。富士の知見を活かしてある程度の給水素の自働化を図ったほか,給水素のための充填機構の軽量化も果たした。さまざまな改良を施したことで、富士の時点で1分40秒だった給水素時間も、1分へと短縮。100秒が60秒になったため、給水素時間を40%も短縮した。